La Ermita の記録

メキシコ隠遁生活の私的記録と報告
 @ユカタン半島。

ユカタンの野菜・チャヤと、スナック・キビ

2021年04月13日 | ユカタン諸々

3ヶ月くらい前から、朝の9時前後にかすかに「東ー大ー寺ー」みたいな売り声がきこえてくるようになった。何かを売っている声だとはわかる(ってか、他にない)んだが、3ブロックくらい離れたとこを走っている海岸沿いの小道を移動しているらしく、あっという間に遠ざかる。

長らく謎だったのが、セマナサンタの休暇(イースターみたいなもん?)で呼び止めて買う人が多かったのか、いつもより近づく(音量が多少大きくなる)のがゆっくりだったので、これは追いつけるかもと思い、声の主のところまで駆けつけてみた。

「東ー大ー寺ー(とおーだいーじー)」に聞こえたのは、トールター・イ・キービ(トルタとキビ)であった。トルタは、ハンバーガーに使うバンズに何か挟んだもので(村以外ではラグビーボールの形のパン)、キビは中東の食べ物(カタカナではクッバとかクッベとか書かれることが多い)。トルタの具はいろいろあるんだが、この売り子のトルタはそのキビをパンに挟んだものであった。

 お姉ちゃん二人のバイクによる移動販売

 買ったトルタとキビ

 付け合わせのキャベツとハバネロはおまけ

メリダでも道の角なんかでよく売ってるんだが、彼女たちのはめちゃくちゃ美味しかった。本場中東のものとは多少違うだろうが(中東でも地域によってバラエティがある)、なんとこのキビ、ユカタンだけでしか売っていないと判明した。

 メリダでは持参のテーブルで場所は固定ってのが多い

メキシコ中で売ってると思っていた理由は、レバノン移民が多いと聞いていたから。日本と同じく100年以上前に移民団があった。子孫(2世3世…)なのかその後も移民として増えているのかは知らないが、たしかに多い。有名どころでは世界長者番付け常連の起業家とか、コロンビアだと歌手のシャキーラとか。

メキシコ中に移民はいるが、彼らのソウルフードの1つが売られているのはユカタンだけだったのである。詳しい友だち曰く、まだ植民地だった頃に移住してきた人が、同じくクッバがあるギリシャの移民に、生計を立てるために作って売れと勧められたという。

そうじゃなくてもメキシコ料理だと思い込んでたらユカタン料理だったってことがよくあるんだが、まさかキビまでそうだとは知らなかった。

 

同じく2年ほど前にユカタン料理だと知ったものに、ブラソ・デ・レイナ(女王/王妃の腕)がある。

 こんなの。

こちらは、他州に住む人たちがいつもブラソ・デ・レイナだと紹介しているのがロールケーキであることに気づいて、調べて判明した。トウモロコシの生地でゆで卵を包んだタマレスみたいな料理で、この緑の葉野菜がチャヤ(下のはバナナの葉)。村では、ゆで卵とチャヤを混ぜてチャヤの葉っぱで巻いたものもある。

で、そのチャヤも他州ではほとんど知られていないと判明した。

 こんな葉っぱ。

料理に入れたりジュースにしたり…と万能。ほうれん草みたいな硬さで、もっとクセのない味で、とてつもなく栄養が豊富という優れものです。

ちょっと調べたら2メートル弱くらいの高さまで育って、かつじゃんじゃん葉をつけるらしく、近所の家々が見えなくなるように進めている「敷地の内外に木を植える」計画にもってこいじゃないか。村の友だちに聞いたら、枝をぶった切って地面に刺したら結構簡単につくという。雑な挿し木である。

  枝をもらって植えた

 早くつくように、葉は収穫

 さっそく草餅

ヨモギに似たような草で作ったりいろいろ試したんだが、これはうまく行った。ほのかに苦くて春の味がする。

栄養を考えると緑のものはいつも欲しいんだが、しなしなじゃない葉野菜を選んで買うのは難しい。そういうのは他州やユカタンの内陸部から来るので、海沿いの村ではなかなかお目にかからない(輸送技術が発展してない)。これでしなびた葉野菜を買わなくて済むし、目隠しになるし、最高だ。早く育ちますように。


最近した外出あれこれ

2021年04月11日 | メキシコ 日常生活

こないだ、久しぶりに車を使わずにプログレソまで行った。

うちから200メートルくらい歩くと、舗装された道に出る。そこを、コンビという小型乗合バス(営業形態でいうと本当はタクシー)が走っている。

 舗装された道路に出るまでの小道の道端

以前、ゴミをその辺に捨てないように遺跡風に並べておいた石が、見事に遺跡化していた。道がきれいで土地が売れやすくなるのを避けようと、しばらく放ってあったため。この辺の遺跡の、ピラミッドなどの建物はともかくとして、道の跡なんてのは、みんなこんな感じ。

 

話は戻って、コンビは隣村からプログレソまでの唯一の公共交通機関で、自称20分に1本だが、座席が埋まると出発…なのと例によって時間に無頓着なんで、いつ来るかは絶対にわからない。ちょうど通ったらラッキー。通らなかったら、炎天下を歩く、あるいは道端で太陽に焼かれることになる。

うちの村の中心部からも同じ形態のバスが出ていて、でも中心部はうちから2キロ近く離れているのでそこまでトゥクトゥクで行く。以前、仕事で毎週1回メリダの学校まで通っていた頃は、相棒に村の中心部まで車で送ってもらっていた。

 トゥクトゥク(バイクタクシー)からの眺め

 足元はこんな感じ。

隣村から一人乗せてきたのに便乗した。どうだろ?排気量250ccくらいはあるんだろうか?ボロバイクのハンドルの前に、座席を作ったリヤカー(前だけど)みたいのがついている。でも、朝なんか、とっても快適。

 ちなみに、最近の朝。

 プログレソ – メリダ間のバスのターミナル。

メリダまで行く公共交通機関は、この大型バス以外に村間を走ってる例のコンビと同じのもある。この大型バスには当然エアコンがついてるが、壊れる(結構ある)と窓が開かないので、地獄。かんかん照りのメリダ – プログレソ自動車道で一回壊れたときは、乗客みんなで停めてくれと頼んで、一旦外(38℃くらい)に出た。

 奥に見える建物が、プログレソ市役所庁舎

人と待ち合わせをしていたら変な時刻に鐘が鳴り始めたので建物の大時計を見たら、狂っていた。どのみち変な時刻だったんで、鐘とも連動していないと思われる。不思議。

  横断歩道の標識に落書き。 

こないだも、プログレソの別の場所で見た。頭部に書かれた立ち小便の絵が可愛い。

 

 最近、作った手ぼうき。

全然別物だがススキみたいな雑草で正月飾りの注連縄を作ったときに種がついてる部分が残ったのを乾燥させておいた。窓枠のレール掃除などに使う。

 最近、相棒が作った餃子タコス。

これは美味かった! 売ってる皮は、フニャフニャだし中国製だし保存方法も悪いらしく不味いので、うちではだいたい皮も手作りする。豚肉は美味しいし、餃子は大好きなんだが、皮まで作ると結構な作業量になる。そこで相棒が考え出した。

タコスの皮(トルティーヤ)は村でも粉で生地を作って焼いてるものを紙に包んで売ってるが、スーパーには工場生産の袋入りが売られている。村で売ってるのは圧倒的にトウモロコシの皮ので、スーパーのは小麦粉の。それを買ってきて餃子の具を挟んで焼いた。

手作り皮と違ってパリパリして美味しかった。

 コチニータのタコスを作った。

普段は村で売ってるのを買う。こちらは我々好みに変えたバージョン。その方が美味しいという意味ではなくて、それぞれ違って美味しい。

 アチオテ。

ユカタン料理の代表格コチニータに限らず色んな料理に使う調味料。去年見学したピブの地中焼きにも使う。奥に写ってるのが種で、潰したものが左。潰しても酸性のものにしか溶けない。ユカタンの柑橘類ナランハアグリア(酸っぱいオレンジ)の汁に溶かして、他にもいろいろ足して、肉の漬け汁にする。

 野生のトマト。

うちの前の小道に生えていた。チェリートマトより小さい。野生なんで少々酸っぱくて、味はともかくサイズのせいで皮の主張が強い。世の品種改良ってすごいなーと思わせる味。

 

 メリダの私立病院でワクチン接種をしていた。

メキシコでは連邦政府の事業になっているが、例によって細かいところは州ごとにコントロールしている。ユカタンでは医療従事者と高齢者の第2回目が進行中。知事や市長はワクチンが到着するたびにSNSに書き込むが、ファイザー製のときだけそうと言う。どこ製か記述がないときは中露製だが、聞かれたら答えるだけマシ。

ここはキレイで高度医療も対応していてメリダで最上級の私立病院(高い!)の1つで、このワクチン接種も当然有料である。無料のは、だいたい小学校とかが使われる。

引退ガイジンが「我々も打ってもらえるんだろうな!」と村役場に押し寄せた以外、接種自体は問題なく静かに進んでいるようで、他州の「空の注射器だった!」とか「中身が水だった!(ホントか?)」とか「人がいっぱいで安全距離もへったくれもなかった!」とかの話は聞かない。

ユカタン州は基本的に平和。スーパーの入り口では消毒…とか、ビーチは閉鎖…とか、州政府が出している規制は守っているが、人々は結構普通に暮らしている。ただし、連邦政府が発表する指標では、他州が状況改善している中、まだ最悪の次のグループに入っている(最悪はゼロ)。