La Ermita の記録

メキシコ隠遁生活の私的記録と報告
 @ユカタン半島。

ユカタン料理の語源

2023年08月21日 | ユカタン諸々

ユカタン料理を紹介するとき、必ずというわけじゃないが10品のリストなら入ってくる程度の料理にパパツレスというものがある。

 こういうの。

村で売ってたやつ。薄緑のはかぼちゃの種の粉末で作るサルサで、くるくる巻いたタコスの中身は、シンプルなものだとゆで卵、凝った(というほどじゃないが)バージョンだと肉入り。赤いのはおなじみのトマトサルサ。レストランだとゆで卵は輪切りにしてその上に乗せたものもある。

スペイン語というかアルファベットで綴ると(現代マヤ語には独自文字はない)、papadzules で、この dz はマヤ語にあるツァツィツツェツォの発音になる。来たばっかりで最初見たときは、どう発音するのかわからなかった。地名などに結構残ってるんだが、グーグルマップを日本語で開くと、dzi はドシになっているがこれは間違い。

スペイン語にはない綴りなのでこれが入ってるとマヤ語だとわかるんだが、数年前に「パパツレスは今でこそ dzu と書くが実は語源は papa azul=青いお父さん?で、マヤ語は関係ない」という見解が出た。料理自体は昔から伝わるマヤの料理だが、スペルは後付けだという。見解というより、どこかから昔の記事を見つけてきて「ここに証拠が!」って感じか。

で、今回、それより古い日付で語源はマヤ語だと書かれた記事を発見した!という文章に出くわした。

 証拠。「元の言葉はマヤ語の何それ…」

マヤ語は植民地時代に焚書があったりその後メキシコ政府によって使用を禁止されていた時期もあった。執筆者が見つけたのは印刷されたもので、そもそもそんなに古いものではない。まして研究レベルの話なんかじゃなくて、あくまでもユカタンの伝統や文化に興味がある人たちの間での話題。でも、この語源議論ってものが結構ホットなのである。

 似たようなものが最近出てきた。

こちらはコツィートといって要はタコスなんだが、半分折りじゃなくてくるくる巻いてある。メキシコの他の地方ではタキート(ミニ・タコスあるいはタコスちゃん)と呼ぶらしい。【追記:すみません、違いました。何らかの中身が入ってるロール状タコスにサルサ…じゃなくて、本来、コツィートはただくるくる巻いたトルティーヤを揚げてトマトサルサ…なんだそうです】例によってツィ(dzi)と書くが、この「語源、知ってるか?!」とドヤ顔の執筆者曰く、マヤ語の「kots´」が語源だという。こちらの ts は人によっては tz と書くけど(微妙に違う音をごっちゃにしてる可能性あり)サ行とタ行の中間みたいな音 。

でも執筆者曰くのマヤ語がわたしの持ってる辞書にはない。似たような子音並びの言葉が複数あって、それぞれ意味が違う。記事(上の写真)を読んで、ああこれも新たな発見が出続けるパターンだなと思った。

マヤ語には日本語と同じく長音があって、お母さんとカーディガンみたいに同じ伸ばす音でも高さが変わるのと変わらないのとある。その上、子音も、例えばカは2種類あったりする。はっきり言って、スペイン語が母語だと「かあ」と「か」の違いがわからないし、カ行とそれに似た子音に関しては我々も同じ。それでかどうか知らないが、そもそもマヤ語にも「あれ?前見たのとスペル違うじゃん」という言葉もある。アルファベットで書かれ始めた頃からバラバラだったのもあるだろうし、区別がつかないスペイン語人の感覚・不注意でバラバラになってるのもあると想像する。

一方、マヤ語人も、母語話者になればなるほど今度はアルファベットに弱かったりする。教育レベル、つまりひどい歴史のせい。あと、スペイン語や英語などの言語学者でなくマヤ語人自身によるマヤ語の研究がないらしい。

語源が何かの議論なんか、実はほとんどこれが原因なんじゃなかろうか? 上のコツィートだって、記事によると語源はマヤ語の「巻く」だそうだが、村のマヤ人の友達は巻いたものもタコスと言う。

 全部巻いてあった。開いたのはわたし。

メリダのレストランで巻いてあるのにトマトサルサをかけて粉チーズ振ったものが発祥(レストランによる命名)かもしれないw。

この「ユカタン料理の語源探し」自体が、当地の文化とか伝統に興味がある現在のユカタン人の趣味みたいなもんなのかも。好きにしてください…というか、語源への興味がなくなってしまった。

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 コチニータ・マアククン

…と呼んで南部の村で売られていた。似たような子音の言葉がないのでw、マアクは蓋だと思われる。クンは怪しいが、とりあえず鍋を意味する単語がある。有名なコチニータピビルしか知らなかったが、これは試してみたいし作り方も知りたい(作るとは言ってない)。

  おなじみの、キビ

普段と違って中にチーズが入っているのも買ってみた。ボラ・デ・ケソ(ボールのように丸いチーズ、ユカタン名物)が入っている。こちらの語源はクッペとかクベとか言い方は場所によっていろいろの中東料理。こちらはすでにユカタン語 kibi になっている(料理自体もユカタン好みになってるだろう)。

 海のぶどうでジャム。

完成写真を撮るのを忘れたけど、まあジャムなんで必要ないだろう。まだ走りなので、たくさん作って配るつもり。

 

 昔のプログレソ。

観光振興目的で、今は海岸通りには車は入れない。それについて、危なくなくなってよかったという人と、昔の方が自由でよかったという人の両方いる。個人的には、プログレソはつまらない街になった。



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