La Ermita の記録

メキシコ隠遁生活の私的記録と報告
 @ユカタン半島。

プログレソの西側

2016年02月25日 | ユカタン諸々

続いてプログレソから西側へ。東側同様、海岸線に平行して道路(21番通り)が延びている。以前は北西端のシサルという町(こちら参照)まで続いていたが、ハリケーンで通行不能になって以来ほうってあるらしい。今は、チュブルナプエルトという小っさい漁港までで、そこから先西へは行けない。

プログレソと西側の村々の間には、ヨットやら漁船やら何に使うのかわからない船やらの結構大きなハーバーがあり、我々の金持ち大家もそこに小型クルーザーを泊めてあるらしい。

西側は東側と違って、少なくともこの21番通り沿いは殺伐とはしていない。シーフードレストラン、小っさい店、ちゃんと住んでそうな家、ホリデーレンタルの看板がある家、建設途中の家などが連なっている。ワゴン車の路線バスも見た。1時間に何本走ってるか知らないが。。。

えーと、東京で言うと、また方角も規模も違うけど、「メリダが23区、プログレソが横浜、西側の村は茅ヶ崎」みたいな雰囲気でしょうか。

西側にも村が2つあり、役場と市場と教会に囲まれた広場と、あとは小さい店、ちょっと離れて学校…という感じ。文字にすると同じだが、東側の村とはずいぶん違って、人々が普通に生活している雰囲気がある。閉店中のココナツ屋台(ジュースとかアイスとか実そのものを売っている)もあちこちにあり、ホリデーシーズンの賑わいも想像できる。

21番通りは、一番近いところで一軒分(つまり道路沿いの家はビーチフロント)、遠いところで5軒分(つまり海まで小道4本と交差する)と、海に近づいたり遠ざかったりする。

この小道に入って海岸線と平行して走ってみると、いかにもカナダ人の別荘といった大きくてオサレな家と、メリダ人のそこそこレベルの別荘と、ちゃんと住んでるっぽい家が並んでいて、たまに朽ち果てたような家や空き地もある。どこも歩いて数分でビーチに出られる。

売家のビニール看板を掲げてある家も結構ある。英語併記の不動産屋の看板がついた大きな家を見ると、「ああ、カナダ人、もう嫌になって帰るのか」と考えたりする。メリダに来て4ヶ月、メキシコ人からあれこれ話を聞いているうちに、「カナダ人=いけ好かないエクスパッツ」のイメージが固定した。ごめんよ、カナダ。

ビニールに印刷した看板だけでなく、その辺の板切れとか壁そのものに「売家」「売地」と手書きのケースもある。だいたい電話番号も書いてあって、不動産屋経由か持ち主との直取引かもわかる。12月にグアダラハラ(メキシコ第2の大都市)に住むメキシコ人友達(大家の息子の嫁の先輩)が遊びに来て、ビーチに行くついでにこのあたりを走って回ったとき、彼が看板を見て何軒か電話してみようと言い出した。「ガイジンと思ったらふっかけて来るから、ボクが話すから。相場を知っていたほうがいい」

1軒は、21番通りの南側(内陸側)の家で、土地は400平米。売主との直取引で60万ペソ(そのときのレートで500万円弱)だった。もう1軒はやはり21号線の海側で、家付きの部分250平米くらいが50万ペソ、更地部分が200平米くらいで29万ペソだった。グアダラハラの彼は、60万ペソの家がとても気に入った。自分だったら即決すると言う。我々に金がないのを知っているので、「将来、商売を始めるなら21号線沿いがいい」とも言う。確かに金はそのうち尽きるんだが、商売のことなんか考えて土地を選びたくないので、適当に返事しておいた。

ただ、持ち主に連絡するときは誰かメキシコ人にコンタクトしてもらったほうがいいのは、彼の電話での会話を聞いていてわかった。なんとなくだけど、雰囲気で。なんちゅうか、とても話がダイレクトでシンプルそうだったのだ。

とりあえずこのあたりは気に入った。土地探しの候補として決めてしまってもいいが、シサルを薦める人がちらほらいるので、一応そちらも見てからにする。

 <海岸線から1キロくらいのところに広がっているラグーン>


プログレソの東側

2016年02月19日 | ユカタン諸々

車を買って、その車で免許の実技試験を受け、晴れてユカタン州の運転免許を手にしたのが2月12日。当初の予定では、そんなことは他の事務手続き同様、メキシコ入りしてひと月ほどで終わらせる予定だったが、結局3ヶ月半かかってしまった。免許の話は改めて。

ようやく遠出が可能になったので、いよいよ土地探しの第一段階、地域の選択に着手した。自宅(メリダ北部)から35キロほどのプログレソを中心に、海岸近くの町や村を見て回るのである。

東側の海岸線は、ほぼ真東に向かっていて、海から200メートルくらい離れたところを海岸線に並行して道路が延びている。プログレソの5キロ東には、恐竜絶滅のきっかけになった大隕石が落ちたというチクシュルブという村がある。そこから30キロほど行くと、「鄙びているのにカナダ人だらけ」のテルチャックという村がある。そこから先にも小っさい村はあるが、あまりメリダから離れると帰国するときや家族友人が来たとき不便なので、候補に入れない。

えーと、東京で言うと、方角は違うけど「メリダが23区、プログレソが横浜、テルチャックが横須賀で、その先もまだ行ける」みたいな感覚でしょうか。

この2つの村はなんともシケている。チクシュルブのほうはサイズ的には結構大きいが、雰囲気がシケている。ちょっと離れると何もない土地が延々と続いていて、プログレソからずっと走って来た道路沿いにも、店などはほとんどない。

何もないように見えるところはすべて、海岸とこの道路の間を縦に割ったロットになっている。その一コマを買った開発業者か誰かが、さらに細かく数ロットに分けて、別荘用地として販売している。道路に面したところに警備員小屋付きのゲートを作ってあるロットもある。が、警備員はおろか、共用道路さえゲートから少し行ったとこらへんで終わっている。別荘で埋まればオサレな別荘コミュニティになるんだろうが、実際は土地もほとんど売れていないのか、売れても誰も何も建てていないのか、ゲート周り以外は「低木で覆われたブッシュか殺伐とした更地が広がっている」という状態のロットばかり。

 <ゲートを入るとこんな感じ>

開いているゲート(つまり失敗した開発であろう)から入ってみると、さすがに海岸近くにはポツポツとデッカい家が建っている。5軒に1軒くらいは人が住んでそうで、残りのうち1軒は労働者っぽい服装のメキシコ人がいて何かしていて、家主の不在中の面倒を見ていると想像する。残り3軒は人の気配がしない。ホリデーシーズンには誰か泊まりに来るんだろうが、どのみち海岸でなく道路寄りの土地は上に書いたような状態なので、全体として寂しげな地域であることには変わりない。

メキシコの小っさい村の、陽気で素朴で粗雑な感じが好きなので、この東側地域は頼まれても住みたくないと判断。ただ、外貨をあてにして「開発しちゃえー!」とゲートだけ作って、売れなければ放っておくというのは、ある意味メキシコっぽいとも言える。

 <趣味の悪いゲート>

というわけで、東側は却下になりました。来た道を戻るんじゃつまらないので、テルチャックから南下してメリダに帰る。内陸には、いかにもメキシコの田舎といった村(広場と教会と学校と診療所とタコス屋と八百屋と酒屋くらいしかない)がポツポツとある。どこもかわいらしかったが、ビーチから離れて住むんじゃ遥々メキシコまで来た意味がないので、通り過ぎるだけで家に帰った。