京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

むのたけじ101歳 ・・人生とは

2016年08月22日 | こんな本も読んでみた

21日 むのたけじさんが亡くなられた。101歳。

むのさんといえば、今は亡き二つ違いの弟の本棚から拝借し、抜いたまま返さずじまいになった『詞集たいまつ 人間に関する断章604』(三省堂新書 1967年)につながる。弟がこの本をいつ手に入れたのかはわからないが、私が彼のところから持ち出したのは24、25歳のときだった。
一代「反戦ジャーナリスト」と称される方だが、生き方、ものの考え方を何度も何度も読み返すことで学んできた気がする。借り出した当時は奉職中にあって、日々教え子への導きにも助けられた部分があるのを記憶している。

昨年11月21日、京都にある真宗大谷派しんらん交流館で「今は人類のどんな時代か」の演題で講演会があった。行ってみたいと予定した。その思いは強かったのに午後6時半からということで出にくくて、あきらめた経緯があった。最後のチャンスだったのを思うと大変に惜しい。

後日、講演に関する記事とともに記者が人生観についてインタビューした内容が新聞に掲載された。
「人生とは何か、楽しむためだ。花の咲くように生きることですよ。そうでなきゃ、意味ないと思う」
「生まれるということは、喜びをつくったということ。本当の喜びは、みんなで喜ぶ。自分が生きることと、他人が生きることを結びあっているから生きることが楽しくなる」

実は今、やはり弟つながりから高橋和己著『日本の悪霊』(河出文庫)を読んでいるところだった。この一作が並んでいたかは記憶にないが『悲の器』『我が心は石にあらず』の背表紙は目に残っている。吉本隆明の全集とともに、当時はいずれも私が見向きもしなかったものばかりだが、なんの縁だか今になって私は手に取っているのだ。京都が作品の舞台になっている。

  京都国際会館の東側から比叡山にかけて、虹が出た。会館の西側からもう一本、2本の虹がかかっていた。

コメント (4)
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