北の男は石州銀黒！

ここ兵庫県北部ではいまだ根強い人気を誇っている。その名を石州銀黒。

その昔、瓦と言えば石州銀黒。この瓦一種類だった。

俺が小さい頃、親に連れられ瓦工場を見学に行ったことがある。
その瓦置き場の三段積にされた瓦が巨大な塊となってどこまでも続く様が圧倒的だった。


時代は流れ洋瓦がもてはやされるようになると和瓦はじわじわ少なくなる。
さらに洋瓦は陶器平板瓦にとって代わられる頃、石州の和瓦製造メーカーは弱体化していった。


昔から付き合いの深かった　石州の会社も時代の流れに逆らえず、産業再生機構に経営をゆだねた。
東京から来た経営陣は粘土瓦のことなど知らぬド素人の集団だった。
工業製品とは言うものの粘土や焼成窯には一筋縄ではいかない癖があるのだ。
結局、ウスラバカどもは会社をすっちゃかめっちゃかにして去って行った。
そのウスラバカさ加減を見抜けなかった俺も同じウスラバカだったのだろう。

その後、主流は三州瓦になっている。

今も石州では主に２社ほどが製造している。
質実剛健。
山陰の厳しい寒さに耐えてきた。
そんな言葉が似合う瓦である。






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