2月21日の週末金曜の夜、久しぶりに映画鑑賞。勤め先のある神田神保町1丁目から5分のところにある映画館「岩波ホール」で上映中のポルトガル映画「家族の灯り」です。ヨーロッパの港町の小さな家の家族愛の物語。
実直な主人公の父親と息子に盲目的な愛で信じる妻、家族を捨てた息子と置き去りにされた嫁が失踪した息子の帰りを待ちわびています。誰もが貧しい現状にどうにもならない不満を持ちながら変化のない毎日を送る人生に価値はあるのか。
この問いかけを淡々とした動きのないカメラワークと絵画を見るような美しい映像の映画です。正直、舞台劇を見るようで少々退屈する時間もありますが小津映画に通じるところを感じました。
マノエル・ド・オリベイラ監督は105歳、主演女優がジャンヌ・モローとクラウディア・カルディナーレ。特にジャンヌ・モローと聞くとすぐに頭に浮かぶ映画は「死刑台のエレベータ」。恋人に富豪の夫の殺人を頼んだ妻が夜の街をエレベータに閉じ込められた恋人を探し回る焦燥感を表情を抑えた演技と白い襟の黒いスーツ姿がモノクロ画面とともに印象に残っています。
その彼女は現在86歳、カルディナーレが76歳。カルディナーレは主人公の妻、
ジャンヌ・モローは妻の茶飲み友達です。実はご両人が存命していたことも知らなかったのですが、赤い羽飾りのついた帽子をかぶった姿はなかなかチャーミング。さすが大女優の存在感を感じます。テーブルのコーヒーカップを前に二人並んだ明るい笑顔は人間生きていればいいこともある。人生は平凡・平穏な生活を続けることが幸せなのだと言っているようです。
人間60.70代になると人生を振り帰ることが多くなります。そんなときにこの映画の問いかけている人生は生きる価値に値するのか。自分の人生について考えさせられる映画でした。4月4日まで上映。シニア料金1,500円です。(写真はクリックすると拡大します)。
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