くまぷーの海外ドラマblog

海外ドラマを脇役チェックなどしつつ
あれこれ見ています。

「ザ・パシフィック」試写会 1話「Guadalcanal/Leckie」、2話「Basilone」

2010年05月11日 | その他海外ドラマ
昨日、WOWOWでこの夏放送の新作ドラマ二本の試写会(プレス向け)に行ってきました。
一本は太平洋戦争を描いた「ザ・パシフィック」、もう一本はセレブ達のコンシェルジュドクターのドラマ「救命医ハンク セレブ診療ファイル」(原題 Royal Pains)です。

「ザ・パシフィック」の方は1、2話で、「救命医ハンク」の方は1話を見てきましたが、連続3本はさすがに腰がキツイ~。
でも、この夏の話題の2本だけあって内容が充実していて、期待していた通りのものでした。

まずは「ザ・パシフィック」のレポートを。

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ザ・パシフィック』(全10話)

 字幕版:7月18日(日)22:00~
 吹替版:7月19日(月)23:00~

☆これに合わせて「バンド・オブ・ブラザース」が7月15日(木)22:40~放送予定

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1941年12月8日、日本がハワイのパールハーバーを攻撃し、太平洋戦争が始まる。アメリカ国内では戦意が高揚し、三人の若者レッキー、バジロン、スレッジも戦地へ赴く。
ガダルカナル、ペリリュー、沖縄と数々の戦地にて、昼も夜もなく敵に攻め込まれる恐怖と戦い、仲間を失ううちに、彼らの精神は蝕まれていく・・・(WOWOW資料より)

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かつて第二次世界大戦におけるヨーロッパ戦線を描いた名作ドラマ「バンド・オブ・ブラザース」のチーム:スティーブン・スピルバーグ、トム・ハンクス、HBOと「マンマ・ミーア」などの製作のゲイリー・ゴーツマンが手を組んで、今度は太平洋戦争を描いたドラマを制作。
総製作費200億円というスケールの超大作で、若き海兵隊員たちの目を通して描かれる、今まで兵士たちが語ることができなかったリアルな太平洋戦争戦線のドラマだ。
ホワイトハウスで完成試写会が行われ、オバマ大統領が見たということでも話題になった。アメリカでも視聴率はなかなか好評のようだ。

第二次大戦となると、「日本人」としてはどうしても「一方の当事者」という立場は避けられず、しかも敗戦国という現実を突きつけられると、あまりそれを直視するのは快いものではない。
「戦争を知らない子供たち」どころか孫世代にいたるまで学校では近現代史は置き去りにされ、映画やドラマのヒロイズムで塗り固められた戦場しか知らない昭和と平成の「子供たち」は、ガダルカナルといってもタレントの名前?くらいにしか思わないだろう。
終戦から65年。毎年夏になると特集される戦争ものに重苦しさと億劫さしか感じない多くの人々に、このドラマが改めて目を向けさせるきっかけとなるだろうか。

このドラマでメインとなって描かれる3人の海兵隊員は、実際に太平洋戦争を戦った実在の人物だ。
大家族で賑やかに出征を送り、教会で出会った女性ヴェラに手紙を送り続ける青年ロバート・レッキーは、後に「Helmet for My Pillow」を著し、心臓の雑音を理由に両親から出征を禁じられていたユージーン・スレッジは、日本でも翻訳されている「ペリリュー・沖縄戦記」の筆者。
チェスティ隊の一員として訓示を誇らしく聞いたジョン・バジロンは、太平洋戦争の英雄として名高い。
海兵隊といえば米軍の中でもエリート集団というか、鍛え抜かれたプロのイメージがあったのだが、当時は素人の青年たちの志願従軍だったわけで、まだ筋肉もしっかりしていないような色白の青年たちが怯えた目で戦場に投入されていくのは見ていて心が痛くなる。ユージーンの父が2話目で、戦場への情熱が消えない息子に対して「お前の目から愛や輝きが消えるのが怖い」と語るのだが、すでに先に戦場に出ていたレッキーたちはその言葉通り、目から輝きを失い笑顔は失われてしまっている。
戦場にあっても詩人然としていたレッキーは、日本兵の荷物の中に写真と人形があったのを見て「自分自身を許せるだろうか」と思い、自分自身の軍功に対する賞賛を耳にしても目を伏せるばかりだった。
ただでさえほっそりと優しげに見えるユージーンが、さらに激しくなる南方戦線の泥沼の中でどうなっていくのか、考えるだけでも辛い。
実は、今回の試写会で放送に先駆けてメイキング映像をいただいた。その中に、3話目以降のすっかり兵士として成長したユージーンの姿が登場していたが・・・まさにそれはトム・ハンクスがその映像の中で語るこのドラマのテーマ「戦争が人間をどう変えるか、どう生き延びるか」を体現しているような感じだった。彼の変化がこの戦争の悲惨さそのものであるように思われる。

対する日本軍だが・・・もちろん敵だから見る側も「ジャップ」連発に耐えないといけないわけだが、ほとんどの日本兵は「顔」が見えない。撃っても撃っても、まるでゲームのパーツのように次から次に兵士が飛び出してくる。見ていると、あまりにどんどん命が浪費されてしまうので、まだ終わらないのか?と途中から気がおかしくなりそうなくらいだ。
米軍兵士視線で「日本兵が戦場でどう見えたのか」という描写として、かえってそれがリアル。1、2話の中で唯一顔を持った人間として描かれていた兵士は、米兵たちが彼を死なない程度になぶって遊んでいる場面という具合だった。
メイキングのインタビューでトム・ハンクスが「”アメリカ対日本”ではなく”戦争”がテーマだ」と言っているのだが、アメリカでそのことがきちんと伝わっているだろうか、ぜひあちらで見ている人の感想が聞いてみたい。
ちなみにアメリカのドラマの常として、日本人役には中・韓国系の俳優か、日系でも日本語のアヤシイ人が起用されたりすることが多いが、今回聞こえてきた日本語の台詞は、みんなちゃんと「日本語」だった。アクセントがおかしいものがなかったことで、制作陣の本気具合が感じられた(というのもおかしな話だが)。

しかし2006年に「硫黄島からの手紙」をイーストウッドに作られた時にも思ったが、なぜこういうのが日本では作れないのだろう。「硫黄島」は日本で作られなければいけないものだと思ったが、「ザ・パシフィック」と同じような視点で日本側からアンサードラマを描く力はあるのだろうか。
変に情緒的でなく、ヒロイズムにも走らず、どこからの圧力にも屈さず、戦争の真実をアジテーションではなく描くことができる映画やドラマが作られ、しかも視聴者がそのテーマを受け止めて評価することができるようになる・・・そんな時代は来ないのかな。

ところで。上に書いた主人公の一人ユージーンだが・・・
彼の心臓を診察するのは医師である父親なのだが、その父を演じているのが、スポたん!ことConor O'Farrellだった。(CSIファンにとっては「ウォリックの仇」の副保安官の彼ですよ)
スポたん・・・息子を戦争に行かせたくない、でも息子は父の期待に恥じない男になろうと出征したいと思っているので、そのプライドを尊重してあげたいという、苦しい親心を演じていてとても素晴らしかった・・・
まぁ常々スポたんはヘンタイの極悪人であればあるほど光る、とか思ってるワタシとしてはちょっと残念だったけれど、スポたんの力の入った感じの演技をぜひ。

戦争ものはどうしても「ヘルメットかぶって泥まみれ」なので、人の顔の区別が難しく脇チェックは困難。
なので、今回はメインの3名のチェックだけで。
・・・この機会に「バンド・オブ・ブラザース」もきっちり見直そうかな・・・


★Joseph Mazzello(ユージーン・スレッジ役)
「CSI:3」14話「狙われた部屋」では、レイプ未遂事件で指紋が出たために容疑をかけられたが、覗きしかやっていなかったジャスティン役。
映画「ジュラシック・パーク」ではパークの創設者ハモンドの孫の姉弟の弟ティム役。別のオーディションでスピルバーグに見出されて、原作の設定(兄妹)を変更させた演技力
「マイフレンドフォーエバー」ではHIVポジティブの少年デクスター役。

★James Badge Dale(ロバート・レッキー役)
「CSI:マイアミ4」7話&「CSI:NY2」7話のクロスオーバーエピでは、NYから護送中に逃亡、ホレイショがマイアミからNYに追い詰める殺人鬼ヘンリー・ダリアス役
「24」第3シーズンではジャックの娘キムと社内恋愛しているチェイス役を演じて3rdでレギュラー出演。
「CSI:5」21話「禁断の味」では、囚人専用精神療養施設に入院している患者で、元々は母親の過剰な執着と近親相姦によって精神を病んでしまったアダム・トレント役で登場していた。
「レスキュー・ミー NYの英雄たち」では、トミー・ギャビンの兄弟で刑事のティモ役で登場している。
「LAW & ORDER: 性犯罪特捜班」第3シーズン22話「母親の資格」では、ダウン症の少女ケイティの妊娠で、自分が父親ではないと理解しつつも父親になろうとした恋人のダニー役。
映画「ディパーテッド」では、コリン(マット・デイモン)の警察学校の同級生で、コステロ(ジャック・ニコルソン)からスパイとして送り込まれた新人刑事バーリガン役。

★Jon Seda(ジョン・バジロン役)
「CSI:マイアミ7」11話「負け犬の家」では、生き埋め殺人で使用された銃弾が一致したため事情を聞かれたヘクター・サラザール役。すでに更生しており、命をかけてホレイショに進んで情報提供を行う。
「ゴースト」第1シーズン21、22話では、ジムが指導している新人の相棒のジョン役。交通事故現場で切断手首を見て失神したりと、かなり頼りない。
「ラスベガス」第1シーズン15話「ジャン・クロード・ヴァン・ダム死す!?」では、ダニーの海兵隊時代の戦友で、ヴァンダムのスタントマンのジュニア・ゴメス役。
「UCアンダーカバー特殊捜査班」では、潜入担当のジェイク・ショー役でレギュラー。
「サードウォッチ」では、前科持ちで自堕落な生活のために家族の鼻つまみ者になっている、ボビーの兄マティー役。

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