伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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幼児教育・保育の無償化?

2019-10-04 18:58:03 | 教育・PTA・児童福祉
先日閉会した市議会9月定例会の一般議案のうち、
一番疑問に思った課題についてご報告します。
北島議員もこの問題について指摘されました。


国の制度により、10月から幼児教育・保育の無償化が行われます
一見、良いことのように思えますが、問題があります。
国の無償化制度が始まることで、
無償だった部分が、新たに保護者負担になる場合があるのです。

 「無償化なのに、なぜ逆に有償になるの?」

これから解説します。
なお、国の制度なので自治体では変えられません。


子どもを幼稚園や保育所に預ける保護者は、
所得により分類されます

A階層の方は、生活保護世帯なので、
これまでも、そして制度改正後も無料です。






所得が高い方のC階層の認定者は、
これまでは、ピンク色の保育料に加え、
オレンジ色の副食費+主食日が実費として保護者負担でした。

それが今回の改正により、
ピンク色の保育料が無償になりました。
一番所得の高いC8階層は、3号認定保育標準時間の場合
月額42,000円が無償化されます。(年間50万4,000円減額)


一方で、保育施設のおかず代(副食費)は、
これまでは保育料に含まれていましたが、
無償化に伴い実費徴収対象に変更されました。



生活保護世帯の次に所得が低いB1、B2世帯にとっては、
これまで払っていた減免後の保育料は、1,500円、3,000円ですから、
副食費の実費負担が4,500円だとすると、今回の無償化は
とんでもない負担増なのです。(年間54,000円増)

「無償だったのに、逆に有償になる」という事態が発生しました。



(多田コメント)

・幼児教育無償化と言っても、保育園等においては
 もともと保護者の所得に応じた負担額だったし、
 生活保護世帯などは前から無償、減免でした。
 
・つまり、今回の改正で保育料無料化の
 大きな恩恵を受けたのは所得が高い世帯です。
 今までは、『所得に応じて』つまり『負担能力に応じて』
 利用料金が決まっていたのに、負担能力が高い世帯を全部
 無料にしたという構造です。

・無料化の恩恵を受ける世帯にとっては喜ばしい改正ですが、
 ではその分の負担をだれがするのか?という問題が残ります。

・結局は税金で補てんしますので、
 「今回の消費税増税により、
  一番貧しい世帯からも、幼児や年金暮らしの高齢者からも
  税金を余分にとって、そのお金で負担能力の高い世帯の
  保育料を無償化した」
 というのが全体の構造です。
 (最高ランクの高額所得世帯は年間50万円以上減額で、
  逆に生活保護に近い困窮世帯は年間5万4千円負担増)
 
・国も自治体も限られた税収、財源の中でやりくりしなければなりません。
 道路のように誰もが使う公共財なら、税金で作るのが良いでしょう。
 しかし保育所や幼稚園は、利用する人としない人に分かれます。
 もともと幼児保育に対する行政の負担部分もありますので、残りの財源は
 「使う人が払う」という「利用料」で確保することが、
 社会全体の同意を得やすい仕組みだったのです。

・これまでどおり所得に応じた負担額を維持すれば、
 高所得世帯の無償化のために投じられた税金を、
 他のもっと必要なことに回せました。

・低所得者を社会全体で支えるため、行政の役割として
 税制や社会保障などを通じて、高所得者から低所得者へ富を移転させる
 「所得の再配分機能」があるといわれています。
 消費税により、低所得者からも無差別に税金を徴収し、
 その一方で、高所得世帯の負担を無料にする今回の改正は、
 行政が果たすべき「所得の再分配」という社会的役割に逆行します。

・国は税収の足りない部分を借金して、負担の先送りをしていますので、
 現在の納税者である私たちは、税金の使われ方や、支出総額などに
 無頓着になってしまいました。
 しかし、借金を無限に膨らますことはできません。いつか反動がきます。













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