(日本は財政破綻するのでしょうか?)
一昨日行った富塚町の市政報告会で、
「日本は財政破綻するのでしょうか?」
という重要な質問が会場から出ました。
私のブログ読者の皆さんならば、
日本の財政状況がいかに厳しいものか、
よくお分かりだと思います。
そして借金を減らす以前の
これ以上増やさないための方策、
つまり、借金ではなく税収の範囲で国家財政をやり繰りする事が、
ほとんど不可能な目標であることも、御承知でしょう。
日本は確実に少子高齢化と人口減少が進みつつあります。
高齢者を何人の勤労者で支えるのかを考えると、
昭和30年代には、11人で一人の高齢者を支えていました。
40年後には、一人の勤労者で一人の高齢者を
支えなければなりません。
上に乗っかる高齢者が、今までと同じ
医療・年金・福祉などの水準を要求するならば、
支えている人は、昭和30年の人と比べて
理論上は、11倍の税金を支払わなければなりません。
もし、かつて払っていた税金が所得の10%だとすれば、
11倍、すなわち110%の税金は、どうやっても払えません。
では、税収の範囲で国の行政を行おうとするならば、
平成24年度の国家予算(補正前)で考えると、
厚生労働省と、地方交付金だけで終わりです。
他の省庁に回すお金は1円も無いくらいです。
(詳しくはこちら)
表題にある質問を受けて、私は次のように回答しました。
「このままでは、財政破綻は避けられないと感じています」
(日本人が持っているから大丈夫か?)
この回答を受けて、次の質問が来ました。
「外国と違って日本の国債は、日本人が持っているから
大丈夫だという意見があるが?」
日本国債を持っている人が売らなければ、
国債の値段(流通価格)は下がらないだろうと
考える人がいるかもしれませんが、そうとは限りません。
国債の金利が上昇すると、売らなくても
持っているだけで国債の価値が下がります。
IMFの試算では、日本国債保有率の高い地方銀行は、
たった1%の国債の金利上昇でも26%も自己資本が毀損するようです。
国債の金利が上昇すると、
すでに大量の国債を保有している日本の銀行や生命保険会社に
莫大な損失が発生します。
そうなってからでは手遅れなので、あぶないと感じた銀行や生保は、
どんどん長期国債を手放すことになります。
特例公債法案が成立しなければ、国債が発行できないので
国は今年度の借金が出来ず、11月末に現金が枯渇します。
これでは国債の支払いも出来ませんので、
格付け会社の日本国債に対する格付けは下がるでしょう。
そうなると、次に国債を発行するときは
金利を上げなければ売れなくなるはずです。
現在の日本の政治は、財政再建に役に立つどころか
「リスク要因」になっています。
(先物の空売り)
国債を保有している人が売らなくても、
国債を暴落させる術はあります。
それはカラ売りです。
株取引などでも行われる手法ですが、
今後値段が下がると判断したら、
今まったく国債や株券を持っていなくても
将来ある値段で国債を売る約束はできます。
売る約束の期日までに、市場でその国債や株券を
購入してから、あらためて約束の日に約束の値段で売るのです。
このような仕組みなので、約束した値段よりも、
国債や株券の価格が下がれば、下がるほど、
安く買って、約束の金額で売れるので利益が出ます。
怖いのは、海外のヘッジファンドの空売り攻撃です。
いつ、どのタイミングで仕掛けてくるのか。
日本国債の格付けが下がり、
もし投資不適格なランクにでもなったら大変です。
(破綻するのか、しないのか)
経済学者や金融の専門家、その他の方も
「破綻する、しない」の様々な意見をお持ちだと思います。
それは各個人の考え、判断です。
財政破綻すると主張されている藤巻健史さんと、
破綻しない論者が、10月11日発売の「週刊新潮」p27~p29の
「『日本沈没本』VS『日本常勝本』著者たちの批判大合戦」で、
誌上討論したそうです。
誌上討論でしたので、一部議論がかみ合っていない所があると、
藤巻さんはご自身のブログ補足されています。
その中に、日本国債に対する
ヘッジファンドの売り崩しについてかいてあります。(多田要約)
詳しくはリンク先の本文をご確認ください。
(破綻しない論者)
「藤巻さんは、外国の年金資金がヘッジファンドを使って
日本国債を売り崩しにやって来ると言いますが、
そもそも米国のパースなどの“年金資金”は
“から売り“が許されていません。
バイ&ホールドしか出来ないのに、
どうやって日本国債をショートするのでしょうか」
(藤巻さんの補足)
こんなことを言うのは勉強不足。
意見の相違は尊重するが事実誤認を世に広めるのはよろしくない。
“年金資金”がカラ売りが許されていないからと言っても
年金資金が国債をダイレクトに空売りをするわけではない。
年金資金はヘッジファンドが運営するファンドを買う。
そのファンドが日本国債を売って儲けるだけである。
年金資金は「ヘッジファンドが運営するファンド」を
“から売り”は出来ないが、
「国債先物を売り持ちにする」ファンドを買う
(バイ&ホールド)することは出来る。
(藤巻さんの本)
「経済のことはみんなマーケットで学んだ」徳間ポケット [新書] 24.10.23千円
「日本大沈没」幻冬舎 (2012/8/24) 千円
「なぜ日本は破綻寸前なのに円高なのか」幻冬舎 (2012/1/27)千円