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「タバコ自動販売機の撤廃」に関する要望書(日本小児科学会・小児保健協会・小児科医会)

2005年12月20日 | 禁煙・防煙
タバコ自動販売機の廃止を要望します。

 昨今、子どもたちへの健康教育の一環として喫煙防止教育が進められていますが、いまだに多くの子どもたちがタバコに手を出しているのが現状です。その大きな原因はタバコの自動販売機にあります。タバコ自動販売機は、子どもたちが容易にタバコを購入できる状況を作り出しており、実際に子どもたちがタバコを入手する先は、自動販売機が最多です(総務庁青少年対策本部・青少年とタバコ等に関する調査研究報告書、平成13 年1 月)。

 薬物に手を出した者のほとんどが子どもの時に喫煙を始めていることから、タバコは「入門薬物」と呼ばれており、喫煙行為は子どもたちを非行や犯罪に走らせるきっかけにもなっています。全国の63 万台ものタバコ自動販売機は、子どもの健全育成を妨げる大きな要因となっているのです。

 そもそも「未成年者は吸ってはいけない」と法律で決まっているものを、自動販売機で誰でも買えるように販売している光景は世界の中でも異様であり、法律に違反しています。

 「健康日本21」においては、2010 年までに未成年者の喫煙をなくすことが目標とされていますが、タバコ自動販売機が存在する限り、この目標の達成は不可能と思われます。たとえ自動販売機に年齢識別装置を設けても、これはカードを識別するのみで、使用している個人を識別するものではないため、多くの抜け道があり、未成年者による購入を防ぐことは困難です。

 タバコ自動販売機は、子どもたちが様々な害悪からしっかり守られていない現在のわが国の社会を象徴するものと言えます。子どもたちを様々な危険や害悪から守り、子どもたちが健やかに育って行ける社会環境を築くことが、大人の大きな責任です。そして、子どもたちの健全育成こそ、現在のわが国にとっての最重要課題です。子どもを大切にしない国に未来はありません。

 子どもたちを本当に大切に育む社会を築く第一歩として、我々小児に関わる医師や保健関係者はタバコ自動販売機の廃止を要望します。

 2005 年2 月に発効した「たばこ規制国際枠組み条約」では、タバコ自動販売機に対する厳しい規制を定めています。この条約にはわが国も批准していますが、この条約の下で、わが国のタバコ自動販売機に対して今後どのような対策を講じられるのか、貴省の御見解を伺いたいと存じます。

  年 月 日までにご回答いただければ幸甚です。

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注:要望書提出先の案
たばこ対策関係省庁連絡会議「未成年者喫煙防止対策ワーキンググループ」の構成員である
内閣府(政策統括官(共生社会政策担当)付青少年育成第2担当参事官)
警察庁(生活安全局少年課少年保護対策室長)
財務省(理財局総務課たばこ塩事業室長)
文部科学省(スポーツ・青少年局学校健康教育課長)
厚生労働省(健康局総務課生活習慣病対策室長)

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「子どものための無煙社会推進宣言」採択
 日本小児科学会、日本小児保健協会、日本小児科医会は平成17年3月に「子どもをタバコの害から守る」合同委員会を立ち上げ今回平成17年12月6日に「子どものための無煙社会推進宣言」を採択しました。
 この宣言を基にして、子どもが成育していく場での無煙化社会を実現していくために今後も3団体で協力していく予定です。
 今回、目標達成の一歩として「タバコ自動販売機の撤廃」に関する要望書を関係省庁に提出いたします。

「子どものための無煙社会推進宣言」 (A4/103K)    ←12/10当ブログ掲載
「タバコ自動販売機の撤廃」に関する要望書 (A4/90K)

委員会構成(委員氏名、所属または団体役職)
〔日本小児科学会〕別所文雄(杏林大学)、杉原茂孝(東京女子医大第二病院)、加治正行(静岡県立こども病院)
〔日本小児科医会〕小川英治(副会長)、神川 晃(庶務担当常任理事)、竹本桂一
(公衆衛生常任理事)
〔日本小児保健協会〕○衞藤 隆(庶務担当常任理事)、齋藤麗子(東京都町田保健所)、原田正平(国立成育医療センター) ○:委員長


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