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原発ゼロでも核燃サイクル堅持を喜ぶ青森県の悲喜劇 中間貯蔵施設をどうするか 最低→最悪政権の次の選択は

2012年09月20日 | 東日本大震災・原発事故
 昨年の福島原発事故以来、子どもの低線量内部被曝の問題についてずっと考え続けてきた。この原稿もそれに関連した内容にするつもりだったが、締切直前に飛び込んで来た呆れ果てた一連のニュースに触れざるを得ない。経緯をざっと見直してみよう。

 九月六日、三村知事が細野原発相と会談したが成果なく、七日、六ヶ所村議会がガラス固化体受け入れ拒否・使用済み核燃料搬出の意見書を可決。十三日、原発ゼロ目標を掲げるも再処理事業は継続。十四日、大間原発・中間貯蔵も継続、MOX工場建設も容認。十六日、東電の東通原発には慎重姿勢(完全には否定せず)、という県内原子力施設の全面解禁宣言と言える結末だ。

 原発ゼロ目標と核燃サイクル推進とが両立し得ないことは小学生でもわかる理屈であり、どちらの立場から見ても無責任・無定見で、選挙目当ての方便としか言いようがない。

 原子力ムラでは、嘘・まやかし・空約束・問題解決先送りによる虚構の上に神話を築き上げてきた。福島原発事故によって神話が崩れ去り虚構が明らかになったにも関わらず、恥ずかしげもなく同じことを繰り返そうとしている。しかもその選択は、敗戦が決定的となった後も本土決戦を叫んで犠牲者を増やし続けた旧日本軍と同じように、青森県にとって最悪の結果を招く可能性が高い。

 全くの絵空事である「第二再処理工場」を前提としたむつ市の中間貯蔵施設をどうするかが今後一つの焦点になるだろう。

 個人的意見としては、この空約束を盾として全国の原発からの搬入を拒否すれば、六ヶ所のプールはすぐに満杯になり、原発の再稼働はほとんど不可能になる。その上で、六ヶ所の使用済み核燃料は返還せずに金蔓として残しておき、少しでも安全性の高い中間貯蔵施設に移していくという案を考えている。

 無論、脱原発を目指す人の多くはこの意見に反対するだろう。私自身、自宅から車で十五分のところにこんな施設ができるとすれば絶対に反対する。解決不能の問題の一つだ。

 ここまで書いたところで、十九日には原発ゼロ目標が棚上げとなり、もんじゅ廃炉も覆された。昨年夏のポスト菅政局の時に「最低と最悪の選択」と書いたが、末期状態にある野田政権の後に、どのような選択を示すのか、見通しは暗いが希望を捨てることは出来ない。

(青森県保険医新聞掲載予定)