畑を掘り、木を彫り、石を刻り、の自然人!

退職後、自分に気ままな課題をちょっと与えて遊んでいます。

メニコン創業者・田中恭一氏3人展

2016-06-12 20:24:14 | 美術


開催期間は残り僅かとなりましたが6月17日(金)まで名古屋駅前・大名古屋ビルジング33階で
田中華山氏・田中恭一氏・田中勇輝氏の3人展が開催中です。
(AM10~PM6・最終日はPM1まで)
オフィス棟で直接、33階までエレベーターで行けます。
ご存知、新規オープンのビルです。

田中恭一氏はコンタクトレンズ開発者で、弟の勇輝氏は技術担当。故・華山氏は父上で竹細工で有名です。

超多忙なお方が余技とは全く思えない本格的な作品ばかり。
長年に亘り、仕事の合間を縫って制作されていることに驚嘆です。

恭一氏は達磨の刻画を45点ほど、勇輝氏はボトルアーキテクチャー3点と仏像10点余り、華山氏の名品も
展示されています。

以前にも同氏たちの作品を拝見しておりますが、今回は恭一氏におはなしを伺うことができました。
お聞きいたしますと毎朝3時には起床、4~5時間は制作に励んでおられる由、その後、本来の業務に精励
されているそうで、一流の方の生き方はさすが違うことを痛感いたしました。
同氏は福祉活動にも尽力され、またスポーツや音楽関係にも支援されています。
昭和一桁生まれの方ですが、矍鑠とされエネルギーをいただいた気持ちです。


今回、多分秘書の方と思いますが小生の名前をご記憶されていて会長を紹介いただきました。

どなたも鑑賞自由ですのでご都合次第でご高覧をお勧めいたします。

コンクリートの時代

2016-06-10 12:18:40 | 日記


新国立競技場の設計で一躍、脚光を浴びられた隅研吾氏。
隅 研吾 建築都市設計事務所主宰、スタッフは200人弱の大所帯。

8年程前の著書でコンクリート素材について語られています。

「コンクリートという素材が20世紀の都市を作り、文化を作った。
その産物の上に、今も僕らは暮らしているのである。
20世紀のテーマはインターナショナリズムでありグローバリゼーションであった。
ひとつの技術で世界を覆いつくし、世界をひとつにすることがこの時代のテーマであった。
建築、都市の領域で、それを可能にしたのがコンクリートという素材だったのである。

コンクリートの材料は砂・砂利・鉄・セメントであり、セメントは石灰石が主原料である。

コンクリート素材は場所を選ばず、どんな造形をも可能にする。
型枠を変えるだけで、どんな曲面も自由に作れる。
この形の自由さにプラスして、表層の自由というオマケもついてくる。
豪華でお金がかかったふうな建物にしたいときは、コンクリートの上に薄い石を貼り付ければいい。
ハイテクっぽく、未来っぽく味付けしたいときには銀色のアルミの板を貼り付け、エコロジー派を
気取りたいときは木の板を貼り付ける。

しかし、強いはずのコンクリートは、永遠であるかのように感じられても、数十年後には最も処理の
しにくい、頑強な産業廃棄物と化す。
その劣化の度合いが表面からは見えにくい。
内部の鉄筋が腐食していても、あるいはコンクリート辞退の強度が失われていても表面からはうかがい
知れない。

木の場合、時間が経てば傷む。しかし、傷みがはっきりと目に見える。
だからその部分を取り換えることで建築を長持ちさせることができる。

中身が見えないことに、コンクリートの本質があったのである。
それゆえ、コンクリート建築で、必要な鉄筋を入れない偽装が行われたとしても、少しも不思議ではない。
偽装とはコンクリートの不透明な本質の帰結である。
偽装者がコンクリートの暗黒をターゲットとしたのは、ある意味で必然であった。」

コンクリートは偽装しやすいことは当然だったのですね。

専門家の見る目は確かです。

隅研吾氏は燃えない木材を栃木県の安藤 實氏の協力で採用された模様で、その後広く木材を建築材料として
使用され、更に竹も建築材料として採用されています。
氏のホームページには素晴らしい作品が掲載されています。
今では和の建築家として著名で、海外でも活躍されており今後も注目したいものです。

話は変わって最近の一戸建て住宅はまるで箱を並べたようなデザインが主流になっているようです。
真夏の灼熱の太陽光や風雨は、屋根の部分が露出しているため遮ることなく建物に注ぎます。

奈良の元興寺は1,400年も前に作られた建物ですが、当時の瓦が今も屋根の一部に使用され、長年の太陽光や
風雨にも耐えて守っています。
庇が長い程、その建物を保護してくれますが最近の住宅は日本の気候をあまり考慮していないように見えます。
日本の住宅は梅雨時や真夏を想定して建てよ、と言われていますがコスト優先なのでしょうか。

岐阜県美術館の円空大賞

2016-06-08 18:45:06 | 円空


以下、写真も含めて「円空大賞に寄せて」という岐阜県美術館発行の図録から引用です。

円空大賞は岐阜県で生まれた円空の名を世界に発信すべく平成11年に設けられた。
隔年の選考ながら回を重ねるうちに評価は高まり・・(中略)

円空の名を冠した賞である以上、円空のイメージを想起させる何かが作品に望まれる。
「何か」を箇条書きにして定義するのは難しいが、ごくかいつまんでいえば、自然、風土または土着性につながる
個性豊かな表現、ということであろうか。
ただし、この場合、円空が木を素材としたことにあえてこだわる必要はない。
選定作品もこうしたことを踏まえたものが多くなったようだ。

今回、円空大賞に選ばれた中谷芙二子氏は、ビデオ・アートの先駆者として著名な人である。(以上、引用)


岐阜県という地方から新しい芸術の発信する場所を提供するということは素晴らしいことです。
芸術文化の中心は依然として東京など大都会であり、地方は埋没されがちです。
こうした試みに専門家からは評価も高いようです。

一方、円空仏の崇拝性を求める人からは、「理解は難しいです」という声も耳に入ってきています。
これは所謂円空仏とはイメージが少し異なるからでしょう。
円空仏は大胆な作風で木の持つ本来の性質や姿を生かしながら造仏されている作品が多く、修行僧としての円空、
その仏像作品に生命力を身近に感じて拝む気持ちになり、愛されてもいます。

今年の円空大賞は人口霧でその場所を覆うというイベント作品で、大胆な発想です。

修行僧としての僧・円空の造形性と崇拝性が円空仏ですが、円空大賞は新しい造形性に重きをおいた作品展として
理解するんでしょうね、と鑑賞者はおはなしされていましたが、小生の鑑賞力では評価力に自信がありません。

今の時代、現代アートの世界は鑑賞力を求められる世界かもしれません。
今後も岐阜県美術館の新しい試みが良い方向に発展していくよう期待したいものです。

障子の張り替えのシーズン?

2016-06-07 12:26:37 | 日記



拙宅は応接間・台所を除き、和室ばかり。
畳の部屋でごろりと横になるのが何とも気分良好です。

しかし障子も日焼けや、ちょっとした破れで不定期ながら障子の張り替えが必要となってまいります。

障子紙・糊・ハケ・カッター・モノサシを用意すれば、あとは「さあ、やるぞ!」という気力が湧きあがるまでの
気持ちの高ぶりが最も大切です。

やり始めれば、あとは一気呵成、多少不出来でも自己満足さえあれば大丈夫。
今回、家内も手伝い4枚を張り替え。
古い障子紙を除去し、張り替えまで約1時間。
完成後、自分たちへのご褒美で喫茶店へ。

貼り方の方法はいろいろあるようですが、次の張り替えを考慮しますと昔ながらの「糊」を使うのがいちばん。
両面テープは張り替えのときに接着面の除去が大変、アイロン使用方法も同様のトラブルがあり、最初はカンタンでも
次回が面倒。
糊であれば水洗いで全く問題なし、糊はがし液など不要で、まず水をぶっかけ、数分放置、その後水洗いしながら
タワシなど使用すれば完璧に古い紙はきれいになります。
最初の水洗いに洗濯用洗剤でも台所洗剤でもボデイーシャンプーでもどんな洗剤でもOKですので、少し添加すれば
一層の浸透力が期待できますが、先程書きましたように水だけでも充分です。
洗剤は基本的に主成分が界面活性剤で使用目的によって配合成分が多少違うだけです。

次に建具が乾燥するまで待ち、あとは糊付け、貼り付け、カッターで仕上げで完了。
完了後は障子紙の色のごとく気分は晴れ晴れの純白色。

こうした作業は、つい年末の大掃除時になりがちですが、今が最適の季節。
寒くもなく、汗もでず、こうしたちょっとしたリフォームにとてもやり易い気候と小生は思いますが・・・

愛知県江南市・音楽寺の円空仏

2016-06-05 09:09:10 | 円空



梅雨入りのこの季節は全国各地でアジサイ祭りが開催されていることでしょう。
今朝は雨模様でアジサイもしっとり雨露に濡れて一段と美しいことと思います。

「愛知県江南市村久野寺町73」に音楽寺という小じんまりとしたお寺があります。
境内はそんなに広くもありませんが昨日、6月4日より26日までアジサイ祭りが開かれています。
このお寺はアジサイと共に円空仏の収蔵としても有名です。
村久野区歴史資料館の資料によれば円空は44歳のころ、この地に立ち寄り薬師如来や十二神将を寄進したと
あります。

中國にも江南地方がありますが、ここ江南市も清流・木曽川のすぐ南に位置していますのでこの名が付いたと
考えられます。少し上流には犬山市があります。

十二神将は当に円空仏の代表ともいえる生命力溢れる作品群です。(実際は事情があり十一神将の収蔵)
写真は絵葉書からのものです。ここには掲載しておりませんが力強い荒神像もあります。
26日までは特別公開されています。(有料で300円)
写真は円空仏収蔵の「村国の郷・歴史資料館」です。

円空仏ゆかりのお寺ということで円空仏・仏師による制作実演もされていますが円空仏は庶民的な仏像という
ことで結構人気があります。写真の6体の円空仏は講師作品です。

「各務原円空彫りの会」と「尾張・円空仏を彫る会」有志で自作の円空仏作品が展示されており、小生も
3体出品いたしました。

円空仏を制作している人たちは単に円空仏を真似して制作しているのではなく、修行僧である円空の精神を
万分の一でも取り入れ、制作中の心の充実感に魅せられ鑿などを使って自然から切り出された木に感謝を
込めて一心不乱に造仏しています。
教室は月に2回、各3時間ほどですが、殆どの方は自宅でも制作されています。
円空仏の制作には仏像制作の基礎がなくても体験でき、この入り易さと仏像と向き合う気持ちに人気が
あるようです。
制作中のみなさんは目も生き生きとしています。
造仏中のこの気持ちは多分やってみなければ理解は難しいことでしょう。
出来上がった作品には制作している人の精神が反映されているようで、拙の中に味があります。