現在YouTubeで「シンドバッド7回目の航海」という映画が無料公開中です。もちろんソニー・ピクチャーズが行っている公式のものです。埋め込みをしたのですが、できないのでリンクだけ貼っておきますね。
見どころはなんといってもレイ・ハリーハウゼンがストップモーションアニメを駆使して表現したモンスター。巨大なドラゴンやサイクロプスも出ますが、個人的には若干物足りない感はあります。すごいのはクライマックスに登場する骸骨兵! 等身大のサイズで劇中に登場し、シンドバッドと剣で戦うのです。あくまで出演者の演技に合わせ、別途コマ撮りした骸骨兵を合成して表現を行っているのですが、合成画面を見ながら撮影作業を行える現代ならともかく、せいぜいすでに撮影したプリントフィルムを参照することしかできなかった1960年代に、どうやってここまで、と思うほど正確な位置関係で合成が行われているため、本当に両者が剣で打ち合っているように見えてしまうのです。最初のうちは「骸骨だけ明るさやピントが少し違う。ああ、合成だね」って思いながら見れるのですが、途中から「あれ? これって合成だったよね・・・?本当にいるの?」という気分になってきますから不思議。しかも一コマ一コマ少しずつ骸骨人形を動かしながらこの正確さ。気の遠くなるような正確さが求められる作業を手軽に体験できますので、ストップモーションアニメ未経験の方、「コマ撮りなんてぎこちない動きで気持ち悪い」と偏見を抱いている方、ぜひ体感してください。むしろそのぎこちなさや気持ち悪さがいい面で出てくるのが本作の骸骨兵です。
逆を言えばレイ・ハリーハウゼンの特撮は極めて計算高く行われているため、日本の円谷式特撮のような偶然やアイディアによって予想外の効果を生むプラスアルファの魅力はありません。わたしはそういうのを見つけてはゾクリとする方なので、そういう楽しさには欠けます。それでもこれはこれで非常に魅力的。なお、配信動画は29.97fpsで行われているため、Fluid Motion Videoの効果を最大限に発揮できるフォーマットにはなっていません。ストップモーションアニメこそFluid Motion Videoの効果が最大限に生かされる分野だとわたしは思っているのでそこは残念。ただ、最近のRDNA以降のRADEONはFluid Motion Videoの機能が廃止されており、現在のBluesky Frame Rate Converterを持ってしても中間フレーム生成によってフレームレートを2倍にまでしかできません。GCN世代の旧RADEONやAPUを保有している人じゃないと体感できないので、もうそこらへんにこだわっても仕方ないのでしょう。
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