持続する夢

つれづれにふと気づいたことなど書き留めてみようかと
・観劇生活はえきさいてぃんぐに・日常生活はゆるゆると

アンシス

2005-09-17 23:54:44 | チョコレート
Unsix アンシス
森永チョコレートより新発売


パッケージから中味まで。16世紀のフランスそのものをイメージし、チョコレートに織りこんだということで。テレビでは、竹内結子氏が姫様になり。「フランスを食べた女」というナレーションがかぶる。『Cho-pan』に並び立つ、贅沢なCM。(ショパンについては→こちら
というわけで。フランスを食ってみる(←単純)。

16世紀、フランスのフィヤン修道院から生まれた焼き菓子フィヤンテーヌ。小麦粉などを薄くのばして焼きあげたこのお菓子を細かくくだき、チョコレートに織りこみました。名前の「アンシス」は16世紀にちなんで、フランス語の1(un/アン)と6(six/シス)をあらわしています。

ベースとなるのはヘーゼルナッツ風味のチョコレート。砕いたフィヤンテーヌは適度に混ぜ込まれていて、すっきりいただける。表面をコーティングするのはハーフビターチョコ。
このところ、アレンジチョコが続いていたので。久しぶりに正統なチョコが新鮮。ビターチョコはけっこう苦いんだけど、ハーフのミルクの主張も強くて。「あー。森永の味がする・・・」なんて、思わず口走ったら。となりで友が吹き出してた(笑)。

女系家族 最終回

2005-09-17 00:47:04 | テレビドラマ
TBSテレビ 『女系家族』 最終話:崩れ落ちる家
演出:酒井聖博


遅れた詫びも、慇懃無礼に。文乃が矢島家乗り込んできた。差し出すのは、胎児認知届の写しと認知受理証。これで子どもは、非嫡出子という存在になるらしい。財産は、嫡出子の半額が保証されるらしい。その額、10億円。それだけでなく、20年後の株の分配と会社共同経営者としての地位を記述した遺言状。「とうとう本性をあらわしたわね」と言われていたけど、はなはだ同感。米倉涼子氏演じる文乃、無敵の女。。

昔なら。愛人の子は日陰の立場で当然で。それどころか。嫡出子であっても長子以外には、ほとんど相続権利などなかったのに。現代法律下では、すべて平等に分配。こうやって、名家はどんどん解体されていくんだなぁ。いや、それより遺言状の法的効力のすごさは初耳。総領娘を家から追い出し、末娘には分家への養子や婿取りを許さず。・・・まぁね。各自20億もあれば、ひとりでも生きていけるわな。冷徹な仕打ちはないか。

「この上さらに女系を重ねることは、矢島家のために固く戒めること」。生涯、しきたりに従うのみだった婿養子が。遺言で、すべてを思うままに操る。あれほど慎重に水面下で進んでいた画策が、白日のもとに晒される。まぁ、みなさま、ぶちまけるぶちまける。宇市(橋爪功)さんの名言。「老舗だ名門だとおっしゃいますが。手前に言わせれば、ここは金と欲に眩んだ亡者の巣窟みたいなもんでございますな」「手前も同じ穴のムジナでございましたな」

場が姉妹だけになり。憑(つ)かれたように遺言状を取り上げ、大きく読み上げる総領娘。父の復讐だと断言する娘。父は。娘達が、しきたりという呪縛から解放されて欲しいと願った。だけど。名家を守るための教育を受け、それを使命と信じて生きてきたことを、根本から否定されるのは辛いね。先祖の遺影を見上げ、矢島家の終焉を口にせざるを得ない藤代姉さんは哀しい。寄り添って慰める妹達の優しさに。虚勢を捨てて、泣くことができてよかったね。高島礼子姉さんの、渾身の女優泣き。うーん、綺麗! 柵(しがらみ)から解き放たれて、自身の価値観で生きはじめた3姉妹が。最後に、幸せを感じている穏やかな微笑をみせてくれてよかった。俳優さんたちの本気の演技に惹きこまれたドラマだった。

    <特記事項>
  • 改心しない梅村流の若さま、懲りてないなぁ。・・・素敵(←え?)
  • 文乃さん、一度くらい息子を抱きしめてよ。あんなにかわいく育ってるのに
  • やっぱ、今井美樹さんの歌声はいいなぁ。心が洗われるなぁ
  • と、思ったら。文乃の悪い微笑み。お父さんの含み笑い。で終わるの? 不気味っ

トランス

2005-09-15 00:43:24 | 演劇:予告編
KOKAMI@network vol.7 『トランス』
作/演出:鴻上尚史
劇場:紀伊國屋ホール
期間:2005/11/8 ~ 11/27
出演:<youth version>高橋一生,すほうれいこ,瀬川亮
     <elder version>松本紀保,みのすけ,猪野学


3人芝居といって。思い入れが深いのは、やっぱりこの演目。『ビューティフルサンディ』も良いね。初演(1993年)は、長野里美、小須田康人、松重豊の三氏。このときの、鴻上氏の言葉は。たしか。。3人というのは、役者さんが楽しく集まって芝居のできる最小単位で。今後いろんなアレンジで上演しようと思えばできるように書いた、と。実際、その後。キャストをかえ、演出家をかえ、繰り返し再演されているから。まさしく、そのとおりの作品となっているわけだ。そして。今回は久しぶりに、鴻上氏本人が演出を手がける。

20代俳優と、30代俳優による2バージョン。あなたはどちらを見ますか? それとも見比べますか? な状態で。テーマは普遍なのに。きっと、同じ台詞が。こんなにも、というほど違ったふうに響くのだろう。それにしても。10年以上も前に、このテーマ(癒し)を書いてたのって。コーカミさんのすごいとこだよね。

鴻上氏の作品は。答えを示さない。幾万の言葉を並べても、決して答えを言葉にしない。そのことを、わかり辛いとする評もある。かっちりと「完」の文字で締めくくられる作品のほうが、わかりやすいのは当然で。でも。ひとりの受け手として言わせてもらえれば。こちらの着地点を決定されずに、余地を残しておいてもらえるのが安心だったりする。答えという場所に、決して追いつめない優しさに。いつも、ほっとする。

心に痛みを持たないで生きている人は、いないのじゃないかと思う。もしかすると。みんな、少しづつ病んでいたりするのじゃないかと思う。みんなが病んでしまったら。なにが正しいのか、わからなくなってしまうかもね。なんてことも思う。
だいじなのは。誰が正しいのかでなく、誰を責めるということでなく。みんな、ちょっと寄り添ってみようよと。ちゃんと傍にいて、心を添わせて。そうすれば、そこから何か始まるかもしれない。・・・こういうふうに、未来を信じる気にさせてもらったんだよ。この作品には。

だぁ・かぁ・らっ。一本くらい、関西に持っていらしてもよろしいんでなくてっ?

ショパン 第7番

2005-09-14 23:00:53 | チョコレート
Cho-pan 第7番/重ね焼きクレープとノアゼットが香るキャラメルショコラ
明治製菓より


夏木マリ氏と松本莉緒氏で繰り広げられるCMが大仰で素敵な商品(←誉めてるつもり)。

それにしても。商品名、長っ! 絶対に覚えられないって(←断言)。
さっくりクレープとまろやかなキャラメル風味。ノアゼットの香りといっしょに広がる華やかなハーモニー。ほろにがショコラのカップでめしあがれ。

チョコカップが、お気に入り。カップの中に流し込まれたチョコは、ノアゼット(ヘーゼルナッツ)入りのキャラメルチョコ。ええと、やわらかなキャラメルが入ってる感じ。冷やしたほうがいいのかな? 斜めにささったクレープは。舌ざわりが良いので、あり。だけど。一箱8個入りで200円、一個あたり25円(税抜)は。コンビニチョコにしては、かなり贅沢だよね。

それにしても。『ショパン』って連作可能なネーミングだったんだね。いままでのが、『第5番/二度焼きパイのプラリネショコラ』。こっちは、ずっと好きなのに。この数字に、まったく気づいてなかったよ(←相変わらず前方不注意)。

ちなみに。Cho-pan(ショパン)は造語らしい。「Chocola(チョコレート)」と「Pan(小さなお皿)」を組み合わせたとのこと。音楽家のお名前は『Chopin』と綴るのだとか。

たけのこの里

2005-09-13 00:29:32 | チョコレート
・たけのこの里 メープル&マカダミア
・MACADAMIA ロイヤルミルクティ
・ストロベリー プチプチ粒いちご
明治製菓より、「今だけのおいしさそろいました」シリーズとして期間限定発売中


まずは、『たけのこの里 メープル&マカダミア』から。
メープル風味のチョコと、クランチマカダミア入りのさくさくしたクッキーが絶妙なコンビネーションです。
こんもり型のクッキーのなかに、小さく砕いたマカダミアナッツ。メープル風味のホワイトチョコレートと、仕上げのミルクチョコレートが2層になってて。スタンダードに比べるとかなり大粒で、食べ応えあり。たけのこの里は、スタンダードが常にナンバーワンなのだけど。これは好み。もともとメープルシロップもマカダミアナッツ(ナッツの控えめ具合も良)も好きなので。イイトコロを突かれた感じ。
でも。文字面をみてると、たけのことメープルの取り合わせってなんか変だよね(笑)。

次いで、『MACADAMIA ロイヤルミルクティ』を。
ロイヤルミルクティー風味の芳醇なチョコで、大粒にクラッシュしたマカダミアナッツを包みました。
ロイヤルミルクティ味のチョコ。茶葉が入っているわけではないけれど。思ったより、紅茶がきいてて美味い。ナッツに合うのはコーヒーだろう、と思い込んでいたけども。紅茶もいける。新発見。ちょっと冷やすと、濃い甘さが和らいで良し。

もうひとつの『ストロベリー プチプチ粒いちご』は未体験。
濃厚ないちごとまろやかないちご、2層のいちごチョコが爽やかな味わいを醸し出し、さらにプチプチッとしたいちご種が食感にアクセントを加えます。
プチプチ粒食感、に迷ってしまうんだよね。そのうち、機会があれば試してみよう。

サマータイムマシン・ブルース

2005-09-12 03:11:16 | 映画
監督:本広克行
原作/脚本:上田誠(ヨーロッパ企画)
出演:瑛太,上野樹里,川岡大次郎 ,永野宗典,本多力,佐々木蔵之介 他


映画のタイムトラベルもので、ここまでスケールの小さなものってあるのかなぁ。
夏、真っ盛り。頼みの綱のクーラーが、リモコンを壊してしまったために動かない(←本体操作不可)。修理は望めず。自治会は休みで。みごとに八方塞がりなところに。なんと、タイムマシンが現われた! そうだ。昨日に戻って、壊れる前のリモコンをとってこよう!!

壮大な設定に、ゆるい展開。元気をムダに消費してる学生たち。安易に始めてしまったアレコレの。拙(まず)さに気付き。後追いで、修正するべく奔走するも。わからず突っ走る輩もいて。限られた時間(←なんせ、昨日と今日だからね)に収拾をつけるのは至難で。ミッションコンプリート(笑)には果てしなく遠い。

上映開始からオープニングテロップ表示まで、かなり時間が割かれている。ここが、映画ならではの親切設計。その間の映像が、とってもだいじだったことが、あとでわかってくる。はたまた、結末を知りつつ観るこの部分は。いろいろ埋め込まれていて、けっこう面白い。映画ならではといえば。タイムトラベル時のCG。画面分割も効果的。舞台版では、想像するしかない部室の外の実景がいい。大学構内や、いきつけのお風呂屋さん。道中にただよう陽炎。あと。忘れてならない、ワンコのケチャ! (舞台版の感想は→こちらに)

『踊る大捜査線 THE MOVIE』や『交渉人 真下正義』で有名な映画監督による、「プレイ・バイ・ムービー」企画(←シリーズらしい)。芝居の映像化の難しさは、ご本人の口からも語られているけれど。今回はすごく楽しめた。脚本が上田氏(劇団作家)によるものだったことと、主要出演陣に劇団員さんがいたことで、舞台の空気が壊れずに。舞台には居なかった大人を配置することで、映画としてなくてはならない現実感が補えていた。蔵りん(←蔵之介氏愛称)、おいしい役やん~。標準語を喋ってるのに、京都を連想させるなぁ。

映画版は、事前から狙っていたわけではないのだけど。クーラーのリモコン提示で、1000円に割引との情報があり。持参の上、鑑賞することに。関西では、9/17(土)に舞台挨拶が。しぶとく居座る残暑のなかで。酷暑の映画に嵌まるのも一興かと。

女系家族 #10

2005-09-10 00:42:48 | テレビドラマ
TBSテレビ 『女系家族』 大逆転!復讐の切り札
演出:竹村謙太郎


文乃、早産ながら男児出産。矢島家の人々には、誰ひとり望まない子といわれていたけれど。両親に、これだけ望まれていれば幸せといってもいいんじゃないかと思った矢先。
望みのうちには、やはり財産が絡むのかと思わせる展開はヤだな。これだけ、敵だらけのなかで。子どもの出生届から胎児認知の手続きまでを、人に託すには。そうとうな勇気が必要だったことだろう。なんだけど。米倉涼子氏の文乃は、誰に任せるかを周到に値踏みし続けていたように見えてしまう。

片や、お月見に興じる矢島家の姉妹たち。お席での会話は不穏すぎて怖いよ。でも、総領娘の藤代は嫌いじゃない。尊大だけれど、躾どおりに育った素直さが感じられるから(←高島礼子さん、好き)。お友達にはなれないだろうけど(笑)。そうだ。回想シーンで、婿養子を使用人と言い放った大奥様(おばあさま)は貫禄だったなぁ。明治の女、というか。自尊心のかたまりのようだった。

父は。愛する女性の妊娠を、初めて心から嬉しいと思い。その子を待ちかねて。生まれるまで持たない自分を体を憂い。思いを託す。「古いしきたりでがんじがらめになった矢島の家を、解放してやってくれんか」「驕りたかぶった哀れな女たちの巣を。すべて焼き尽くしてやって、欲しいんだ」という言葉は。婿養子だった父の復讐でなく。娘たちを思う真心であればいいと願う。「親としてできる最後の仕事なのかもしれない」と言った、森本レオ氏の。優しい言葉の響きを信じていたい。

遺言を果たすために。親族会の前日に、本宅伺いを実現させる文乃。思いっきり、宇市さんの弱みを突いてたね。そして、時間を過ぎていても尚。ゆっくりと矢島家に向かう彼女の姿に。母の誇らしさだけでない、どこか勝ち誇った雰囲気を感じとってしまって。気持ちは、ちょっと三姉妹寄りになっている。次回最終回、録画も万端。観るよぉ。

    <特記事項> ←久しぶり(笑)
  • 藤代さんっ。いつの間に、梅村流の家元と将来の約束を!?
  • それにしても。『おとなの夏休み』とは対極にあるドラマだね(汗)
  • 早くも、秋のドラマの予告が。主題歌はポルノグラフティ!?(←好きなの)

おとなの夏休み 最終回

2005-09-07 23:22:03 | テレビドラマ
日本テレビ 『おとなの夏休み』 離婚届という恋文
脚本:一色伸幸
演出:雨宮望


帰宅してテレビをつけた瞬間。寺島しのぶ氏が、海原の真ん中で声をあげて泣いていた。漕ぎ出したボートの上で、たった独りで。全身から搾り出される嘆きは激しくて。息をつめて見守ってしまった。こうやって体のなかのドロドロを吐き出すんだと。その後、元通りの優しい顔立ちに戻れた彼女を見て、思う。
長く、こんなふうに声をあげて泣いてないなぁと穏やかに考えた。そんな必要がないから幸せなんだろうと、自分の内側を見たら。わずかづつ溜まっている澱を見つけてしまって、ちょっと悲しい気持ちになる。ちゃんとお掃除しなきゃ、と思う。

夫の浮気が発覚して、離婚届を記入する。目の前で破り捨ててくれることが望みなのに。そういう恋文なのに。夫は、自分の名前を追加して役所に提出してしまう。それを知ったみゆきの、「書いたけど、出しちゃうとは思わなかったなぁ」はのんびりしてて。あぁそうか、絆と書類は別物なんだと感じ入る。「じゃ、同棲しよう」「ゼロから始めよう」という解決策は。太平楽なみゆきらしく。それに頷く夫も、なんだかんだいっても似たもの夫婦だったよね。

本日(ドラマの締め)の音楽『高気圧ガール』は、爽やか過ぎるくらいにキレが良く。なのに。画面の片隅には、おぼろげな虹が映ってて。不思議にふわふわしたドラマだったなって思う。その、ふわふわが心地よかった。しっとりと流れてた『テネシーワルツ』が好きだなぁ。
海の家は、少し赤字だったらしい。ちょっと高級な化粧品代くらい。でも、化粧品で表情までは美しくならない。まさか、夫が妬いたりうろたえたりはしない。
誰かの何かが、劇的に変わったわけじゃない。だけど。誰もの何かが、確実に変わってる。うん、きれいな「リセット」だったね。

レ・ミゼラブル

2005-09-05 23:00:51 | 演劇:予告編
『Les Miserables ~ レ・ミゼラブル』
劇場:梅田芸術劇場 メインホール
期間:2005/12/8 ~ 2006/1/15
作:アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク
潤色/演出:ジョン・ケアード,トレバー・ナン
出演:山口祐一郎,別所哲也,今井清隆,石井一孝(クワトロキャスト) 他


初上演から2000回越え(2005年春)。8年ぶりの大阪上演。
今更な説明だけど。元になるのは、ビクトル・ユーゴーの『ああ無情』。パリで起きた反政府革命を中心に、ジャン・バルジャンをめぐる人々の運命をミュージカルで描いた作品。

大阪初演を観ている。観劇目的は、初恋の舞台男優さんである鹿賀丈史氏で(うすい関連話が→こちらに)。「ミュージカルといえばタカラヅカ」だったころだから(関連話は→こちらに)。なにより男声歌劇に唖然とするばかりだったことを想い出す。

ごく最近。東京再演時(1988年)にテレビで放映された宣伝番組を、ご好意でみせていただいた。きゃ~!鹿賀さん若い!! ・・・は、おいといて。うっわ!山本耕史くん可愛い~!! ・・・も、おいといて。目的は宣伝ではあるけれど。舞台ダイジェストもふんだんに盛り込まれていて。懐かしいったらない。ファンテーヌ役の岩崎宏美氏とエポニーヌ役の島田歌穂氏の『オン・マイ・オウン』を交互に写し、聴き比べてみてはいかがかという展開には。当時の、テレビの容赦なさを感じたりもする。

それにしても。昔のこととは言え、見事に鹿賀さんしか記憶にない。彼の姿を追うだけで精一杯だったんだなぁ。まだまだ観劇初心者だったから。いろいろ見えていなかったんだろうなぁ。どれだけ、もったいない見方をしたことかと考えつつ。それでも、今回の観劇も見送ろうかと悩んでいたりする。上書きするほどの記憶がないにもかかわらず。初心者だからこそ受けた衝撃というものがあって。これを消さずに、大事に持っていたい気がしている。

おじいちゃんの夏

2005-09-04 02:58:18 | 演劇:2005年観劇感想編
G2プロデュース 『おじいちゃんの夏』
劇場:大阪ビジネスパーク円形ホール
作/演出:G2
出演:小須田康人,武藤晃子(TEAM発砲・B・ZIN),廣川三憲(ナイロン100℃)
   ,佐藤真弓(猫のホテル),及川直紀(リリパットアーミーⅡ) 他


友にふられ、迷ったあげく。あいかわらず直前すべりこみ。またもや絶好席での観劇。
この演目。たしか初演時は、お子様向けというあおりがついていたと思う(←友のみ観劇)。今回練り直しが入ったとも聞いたが。案の定、客層はバラバラで。小学生の親子連れ、中学生から、壮年のおじさまたちから、老夫婦まで。さすがにひとりは居心地が悪いやね。

今回の目的は、小須田氏。演目を選ぶ余裕がないくらい(←失礼)、小須ちゃん欠乏症だったんだよ。おじいちゃん役だから、覚悟していたけど。老けて、出てこられた瞬間のショックはでかかった。そしてあっというまにボケてしまわれるので。哀しさでまともに観られません(←上手すぎるんだもん)。。

責任をとらない大人たち。多少ネジのゆるんだ先生。これは、子ども目線の大人なのかな。ボケたおじいちゃんのしでかすことにワクワクするんだ。癒し系と呼べちゃうんだ。
あんなこんなのドタバタに。客席の子どもたちから、明るい笑いがおこる。そっかぁ。こういうのが子どもには面白いんだぁ。なんてしみじみしたり。救われたり。ほら、お葬式で無邪気な笑い声を聞く気分。
デフォルメもあるけれど、てんでに勝手な大人たちは。いちばん年齢が近いこともあって、どうにも受け入れがたい。一見まともな子どもたちも、しょせんは大人の縮図を描いてて。舞台上のバラバラ加減が辛い。演者のもつ空気自体がバラバラだったのは狙いかなぁ。

両親を含む大人たちに絶望する(←させんなよ!)孫を誘い。線香花火を始めるおじいちゃん。あゆみの生まれた喜びの日のことを、ほのぼのと話すおじいちゃん。普段見えないものがある。たとえば昼間の線香花火はどうだ? そんなものが、あるんだよと諭されて。舞台上から漂う火薬の匂いに誘われて。見失っているものを探してみる気にさせられる。

蝉。夕立。雷。花火。夏の風物詩のなかで繰り広げられる物語で。おばあちゃんと孫の二役を難なくこなせる、武藤氏。ボケちゃったりするのに、笑いもストーリーも担える小須田氏。おふたりの関係は常に際立っていて、素晴らしい。これだけで観て良かった。
そうだ。カーテンコールで笑顔で両手を振ってくれた小須ちゃんは、一気に若返ってくれて。よかったぁ、安心したよぉ。