持続する夢

つれづれにふと気づいたことなど書き留めてみようかと
・観劇生活はえきさいてぃんぐに・日常生活はゆるゆると

トランス

2005-09-15 00:43:24 | 演劇:予告編
KOKAMI@network vol.7 『トランス』
作/演出:鴻上尚史
劇場:紀伊國屋ホール
期間:2005/11/8 ~ 11/27
出演:<youth version>高橋一生,すほうれいこ,瀬川亮
     <elder version>松本紀保,みのすけ,猪野学


3人芝居といって。思い入れが深いのは、やっぱりこの演目。『ビューティフルサンディ』も良いね。初演(1993年)は、長野里美、小須田康人、松重豊の三氏。このときの、鴻上氏の言葉は。たしか。。3人というのは、役者さんが楽しく集まって芝居のできる最小単位で。今後いろんなアレンジで上演しようと思えばできるように書いた、と。実際、その後。キャストをかえ、演出家をかえ、繰り返し再演されているから。まさしく、そのとおりの作品となっているわけだ。そして。今回は久しぶりに、鴻上氏本人が演出を手がける。

20代俳優と、30代俳優による2バージョン。あなたはどちらを見ますか? それとも見比べますか? な状態で。テーマは普遍なのに。きっと、同じ台詞が。こんなにも、というほど違ったふうに響くのだろう。それにしても。10年以上も前に、このテーマ(癒し)を書いてたのって。コーカミさんのすごいとこだよね。

鴻上氏の作品は。答えを示さない。幾万の言葉を並べても、決して答えを言葉にしない。そのことを、わかり辛いとする評もある。かっちりと「完」の文字で締めくくられる作品のほうが、わかりやすいのは当然で。でも。ひとりの受け手として言わせてもらえれば。こちらの着地点を決定されずに、余地を残しておいてもらえるのが安心だったりする。答えという場所に、決して追いつめない優しさに。いつも、ほっとする。

心に痛みを持たないで生きている人は、いないのじゃないかと思う。もしかすると。みんな、少しづつ病んでいたりするのじゃないかと思う。みんなが病んでしまったら。なにが正しいのか、わからなくなってしまうかもね。なんてことも思う。
だいじなのは。誰が正しいのかでなく、誰を責めるということでなく。みんな、ちょっと寄り添ってみようよと。ちゃんと傍にいて、心を添わせて。そうすれば、そこから何か始まるかもしれない。・・・こういうふうに、未来を信じる気にさせてもらったんだよ。この作品には。

だぁ・かぁ・らっ。一本くらい、関西に持っていらしてもよろしいんでなくてっ?