日本テレビ 『おとなの夏休み』 離婚届という恋文
脚本:一色伸幸
演出:雨宮望
帰宅してテレビをつけた瞬間。寺島しのぶ氏が、海原の真ん中で声をあげて泣いていた。漕ぎ出したボートの上で、たった独りで。全身から搾り出される嘆きは激しくて。息をつめて見守ってしまった。こうやって体のなかのドロドロを吐き出すんだと。その後、元通りの優しい顔立ちに戻れた彼女を見て、思う。
長く、こんなふうに声をあげて泣いてないなぁと穏やかに考えた。そんな必要がないから幸せなんだろうと、自分の内側を見たら。わずかづつ溜まっている澱を見つけてしまって、ちょっと悲しい気持ちになる。ちゃんとお掃除しなきゃ、と思う。
夫の浮気が発覚して、離婚届を記入する。目の前で破り捨ててくれることが望みなのに。そういう恋文なのに。夫は、自分の名前を追加して役所に提出してしまう。それを知ったみゆきの、「書いたけど、出しちゃうとは思わなかったなぁ」はのんびりしてて。あぁそうか、絆と書類は別物なんだと感じ入る。「じゃ、同棲しよう」「ゼロから始めよう」という解決策は。太平楽なみゆきらしく。それに頷く夫も、なんだかんだいっても似たもの夫婦だったよね。
本日(ドラマの締め)の音楽『高気圧ガール』は、爽やか過ぎるくらいにキレが良く。なのに。画面の片隅には、おぼろげな虹が映ってて。不思議にふわふわしたドラマだったなって思う。その、ふわふわが心地よかった。しっとりと流れてた『テネシーワルツ』が好きだなぁ。
海の家は、少し赤字だったらしい。ちょっと高級な化粧品代くらい。でも、化粧品で表情までは美しくならない。まさか、夫が妬いたりうろたえたりはしない。
誰かの何かが、劇的に変わったわけじゃない。だけど。誰もの何かが、確実に変わってる。うん、きれいな「リセット」だったね。
脚本:一色伸幸
演出:雨宮望
帰宅してテレビをつけた瞬間。寺島しのぶ氏が、海原の真ん中で声をあげて泣いていた。漕ぎ出したボートの上で、たった独りで。全身から搾り出される嘆きは激しくて。息をつめて見守ってしまった。こうやって体のなかのドロドロを吐き出すんだと。その後、元通りの優しい顔立ちに戻れた彼女を見て、思う。
長く、こんなふうに声をあげて泣いてないなぁと穏やかに考えた。そんな必要がないから幸せなんだろうと、自分の内側を見たら。わずかづつ溜まっている澱を見つけてしまって、ちょっと悲しい気持ちになる。ちゃんとお掃除しなきゃ、と思う。
夫の浮気が発覚して、離婚届を記入する。目の前で破り捨ててくれることが望みなのに。そういう恋文なのに。夫は、自分の名前を追加して役所に提出してしまう。それを知ったみゆきの、「書いたけど、出しちゃうとは思わなかったなぁ」はのんびりしてて。あぁそうか、絆と書類は別物なんだと感じ入る。「じゃ、同棲しよう」「ゼロから始めよう」という解決策は。太平楽なみゆきらしく。それに頷く夫も、なんだかんだいっても似たもの夫婦だったよね。
本日(ドラマの締め)の音楽『高気圧ガール』は、爽やか過ぎるくらいにキレが良く。なのに。画面の片隅には、おぼろげな虹が映ってて。不思議にふわふわしたドラマだったなって思う。その、ふわふわが心地よかった。しっとりと流れてた『テネシーワルツ』が好きだなぁ。
海の家は、少し赤字だったらしい。ちょっと高級な化粧品代くらい。でも、化粧品で表情までは美しくならない。まさか、夫が妬いたりうろたえたりはしない。
誰かの何かが、劇的に変わったわけじゃない。だけど。誰もの何かが、確実に変わってる。うん、きれいな「リセット」だったね。