持続する夢

つれづれにふと気づいたことなど書き留めてみようかと
・観劇生活はえきさいてぃんぐに・日常生活はゆるゆると

クラウディア 2/2

2005-06-14 01:24:30 | 演劇:2005年観劇感想編
6/13のつづき>
あらゆる愛を知らず、戦うことしか知らない民たち。戦を日常として、なんの疑問もなく過ごす民たち。そんななかで。寺脇康文氏演じる細亜羅(ジアラ)と、岸谷五朗氏演じる毘子蔵(ヒコゾウ)両名の。愛情を掻き立てるクラウディアは大役。そのクラウディア役を務める工藤夕貴氏は。ヒロインの名を名乗るにふさわしい可憐さで、ストーリーテラーとしての貫禄もあり。また、続く日常に最初に疑問を抱く、おりえ役の三咲レア氏は。殺陣の動きから歌までとても流麗で。ことミュージカルに関しては、女優層は本当に厚い。なのに。どうにも残念だったのは。民から愛を奪い去るなど、全てを掌握する神親殿(カシンデン)役のYU-KI氏。歌詞が聞き取れないのは、本職(歌手)さんだから譲るとしても。台詞は。。NHKホールの音響も、確かにクセがあるけど。どーも、相性が悪いのかなぁ。

ココロの無い戦いでなく。愛する人を守るための戦いを繰り広げはじめた彼らに。龍の子が気付く。このメンバーの中で存在感を放てる風間俊介氏にはちょっと注目。でも、「美しい戦いに見えてきた」という台詞には頷かない。命を奪い合う戦いに。美しさなんてない。あってはいけない。絶対に。(再演といえども、さすがにラスト部分は隠します:反転表示形式)
ジアラとヒコゾウは。この舞台の主役だけれど、決して無敵のヒーローではなく。たとえ愛する人を守るためであっても。多勢の前には無力で。無情にも尽き果てていく。
それにしても。こんな絶望の上に流れる桑田圭祐氏の声は。やはりすごい、これぞ本職。卑怯なくらい場を攫う。それに合わせてしっかり歌える工藤氏がいて、ちゃんと芝居に引き戻してくれたけど。ラストシーン。小国内での争いの幕が降りて。厳かに開いた扉の奥に見えた青と、聞こえた潮騒は。平和の象徴なのだと信じたい。


久しぶりに関東風味(すたいりっしゅ)なエンターティメントを堪能。
来春は。再びのフェスティバルホールにて新作上演が決定とのこと。うほ。楽しみ。