持続する夢

つれづれにふと気づいたことなど書き留めてみようかと
・観劇生活はえきさいてぃんぐに・日常生活はゆるゆると

第59回 トニー賞授賞式

2005-06-20 23:49:39 | 演劇:いろいろ
普段は見られないBSを、無理矢理視聴。審査対象は、ブロードウェイ作品の数々。長い時間をかけて準備される演目は、長く愛されて上演され。こうして賞揚される機会がある。

始まりは。話術の達人、ビリー・クリスタル。ヒュー・ジャックマンとの、携帯電話コント(ごめん)は爆笑で。つかみは万全。一流の授賞式はプレゼンターにもエンターティメントを求め。ヒュー(昨年の主演男優賞受賞)は、芝居で歌でダンスで応える。
驚いたのは。プレゼンターのクリスティーナ・アップルゲート。「プレビューで足を骨折しながらも初日を迎えた」と紹介されて。登場と同時に、見事にコケて(本人?)這い上がってみせる。美人なのに、イブニングで決め込んでるのに。なんて素敵なコメディエンヌ。

そして。舞台では、授賞の発表とともに。完成された最高傑作品が披露される。華やかな式の中でダイジェストが見られるなんて、なんて、贅沢!
印象的だったのが。「ミュージカルの音楽は、ダンスとジョークの間の物語を進める装置」という言葉。こういう番組が地上波で放映されて。ミュージカルなんてありえない、といまだに言い続ける皆様の目に、もっと触れればいいのにな。

馬鹿馬鹿しく聞こえるだろうけれど。演劇には。演じる側と、観る側のふたつが在る。
番組ゲストで出演していた、俳優の山本耕史氏の言葉の数々は。適した単語を誠実に選びながら話すため、少したどたどしく聞こえるくらいなのだけど。それ故に、とても素直に受けとれて。ハードなパフォーマンスの『ラ・カージュ・オ・フォール』の放送後。「舞台裏では、ほぼ無傷な人はいないですね」という発言など。その視点がいつも、演者以外の何者でもないことが。とても好ましいと思った。多分この人は客席にいても、意識は完全に板の上にあるのだろう。
こういう人を見ると。こちらにも気合が入る。いつまでも、ずっと客席視点で舞台を観ていようと思う。中途半端に彼らの領分を侵すことなく。余計なうがった見方を避け。純粋に観劇を好きでいようと思う。そうやって、真逆の立場からでた感想が。彼らと気持ちを共有できるものであれば、最高に幸せだと思う。