手話通訳者のブログ

田舎の登録手話通訳者のブログです。

手話通訳者派遣制度

2015-02-23 05:22:15 | 日記
手話通訳者の派遣は、各地方が定めた要綱に従って実施されている。
「要綱って何?」
とか、
「なんで法律じゃなくて要綱なん?」
とか、「要綱」に引っかかりを感じる方は、
http://www.masse.or.jp/
ここに要綱行政についての詳しい資料があるので、ご覧ください。

さて、ある地方の要綱に書かれている、制度の目的をご紹介しよう。

「聴覚障害者及び音声又は言語機能障害者に対し、適当な意志伝達の仲介機能の任に当たる者がいない場合、手話通訳者を派遣することによりコミュニケーションの円滑化を推進し、身体障害者の福祉の増進に資することを目的とする。」

高松市の裁判で争われた争点の一つが、ここにある。
行政側が手話通訳者を派遣してくれるのは、「適当な意志伝達の仲介機能の任に当たる者がいない場合」なんや。
だから、聴覚障害者が手話通訳者派遣を申し込んだ場合、当日、現地にその親族が同行する合、断られる場合がある、ということ。

この争点をさらに掘り下げると、、「適当な意志伝達の仲介機能の任に当たる者」とは誰か、とうことになる。

行政側の主張は、平たく言うと、
「家族が同行するんやろ? なら、家族に通訳してもらえばええやんか」
ってことになる。
アホな話や。
聴覚障害者の家族が、「適当な意志伝達の仲介機能の任に当たる者」に該当する、と主張するなら、聴覚障害者の家族には無条件で手話通訳者資格を与えなければ、言ってることとやってことが完全に矛盾するわけや。

上記の裁判は昨年10月に和解決着した。
和解という形ではあるが、原告側の全面的勝利と言ってよい。




たいしを卒業したろう者

2015-02-22 06:36:11 | 日記
「たいしさん、気を悪くしないで聞いてもらえますか?」
なんや、改まって・・・
「今まで、ずっと、たいしさんを指名して手話通訳者派遣申込をしてきました」
うん。
「私にとって、たいしさんの手話が一番わかりやすいからです」
ありがと。
「でも、よく考えてみると、これはよくないと思うんです」

「手話通訳者の誰が来ても困らないように、多くの手話通訳者に会って、私自身、通訳者の手話を読み取る力をつけていく必要があるんじゃないか、と。」
おお! なんという前向きな考え方!
「だから、たいしさんを指名するのはやめようと思うんです。すみません」
謝る必要ないやんか。素晴らしい考えだと思うで。
「ありがとうございます」

こうして、ろう者のRさんは卒業(?)していった。




手話で寝言

2015-02-21 07:46:12 | 日記
手話で独り言を言う(表す)ことがある。このことは、以前、書いた。
実は、独り言程度では済んでいない。
手話で寝言を言う(表す)こともある。

ろう者のAさんと手話で話していた。
なんだか、頭がぼんやりする・・・
やがてAさんの姿が消えて、白い壁が見えた。
あれ・・・
布団に横になったまま、手を動かしている自分に気づく。
・・・・・

同業者(手話通訳者)にこのことを話すと、冗談だと思って爆笑しておしまいだったり、
「いくらなんでも、それは作り話でしょう」
と白い眼で見られる。

手話通訳者のみなさん、こういう経験、ない?




ホームドクターと手話通訳者

2015-02-20 06:59:11 | 日記
「ホームドクターを持とう」
と、よく聞く。つまり、かかりつけの医者。

手話通訳者は、申請者さんにとって、かかりつけの医者に似ていると思う。
申請者さんが体を壊し、病院に行く。
手話通訳者にとって、申請者さんがどんな方で、どんな暮らしをしていて、どんな悩みがあって、など様々なことを知っていれば、
「心因性のものではないか」
と直感的に閃いたりする。
何もない状態で通訳に行くより、はるかに通訳の正確性が高まる。

自分がろう者だったら。
真剣に、信頼できる手話通訳者を探すと思う。
そして、そういう通訳者を見つけたら、指名する。
有資格者だからと言って、どこの誰だかわからない人に、自分のプライバシーを覗かれるのは御免や。

ろう者たちと話していて、
「手話通訳者の指名なんて、必要ないでしょ」
という人が多いのが、不思議でならない。




手話で独り言

2015-02-19 06:58:46 | 日記
地元のろう者に、
「ははは! たいし、聴者のくせに、手話で独り言いってる!」
と爆笑されたことがある。

冗談みたいな話かもしれないが、これは事実である。

手話の独り言・・・
いつから始まったのか、まったく自覚がない。
ただ、なぜ、手話の独り言が始まったのか、は判る。

若い頃の発案した「ひとり手話」という練習のためである。
この練習を何百回、何千回と繰り返しているうちに、クセになった。
一人になると、スイッチが入ってしまう。
エレベーターの中が、一番、危ない(笑)

エレベーターがチン、と止まってドアが開くと、エレベーターの壁と向かい合って手話で話しているたいしがいる。

マンションの住人は、
「たいしは頭がおかしい」
と思っているに違いない。