彼は FlashDevelop を起動するとおもむろにコードを書き始めた。
実験のあいだに時間ができたので、副業でやっている仕事を少し進めようと思ったのである。
少なくともその時点で彼の頭の中では完成品の動く様子が明確にイメージできていたに違いない。
しかしコーディングを進めれば進めるほど、そのイメージは虚しく次第に形を失っていった。
不思議なことに、当初の目標に対する進捗率はソースの記述量と経過時間とに反比例し、もはやコードを書いている本人でさえいったい何を作りたいのか分からない状態となっていった。
ふと我に返るといつの間にかエラーや警告が全て消えていた。きっと小人の仕業であろう。
彼はその動作を全く予想できないまま F5 キーを押下した。
コンパイルが通り FlashPlayer が立ち上がるとそこには奇妙な形のオブジェが現れ、その物体はやはり予想通りに予測不可能な挙動を示していた。
(CLICK!)
艶めかしく動き回るそのオブジェを呆然と眺めた後、しばらくして彼は「ああそうか、僕はこの数10分をムダにしたんだ」と初めて気づいたのである。
間池留出版 イサベラの「困ります、ブラウンさん(第二版)」より
実験のあいだに時間ができたので、副業でやっている仕事を少し進めようと思ったのである。
少なくともその時点で彼の頭の中では完成品の動く様子が明確にイメージできていたに違いない。
しかしコーディングを進めれば進めるほど、そのイメージは虚しく次第に形を失っていった。
不思議なことに、当初の目標に対する進捗率はソースの記述量と経過時間とに反比例し、もはやコードを書いている本人でさえいったい何を作りたいのか分からない状態となっていった。
ふと我に返るといつの間にかエラーや警告が全て消えていた。きっと小人の仕業であろう。
彼はその動作を全く予想できないまま F5 キーを押下した。
コンパイルが通り FlashPlayer が立ち上がるとそこには奇妙な形のオブジェが現れ、その物体はやはり予想通りに予測不可能な挙動を示していた。
(CLICK!)
艶めかしく動き回るそのオブジェを呆然と眺めた後、しばらくして彼は「ああそうか、僕はこの数10分をムダにしたんだ」と初めて気づいたのである。
間池留出版 イサベラの「困ります、ブラウンさん(第二版)」より