北の森から眺めてみれば

北海道に移り住んで十数年。ここから眺めた身近な世界、遠い世界の出来事をつづる日々雑感。

大津市のイジメについて

2012-07-14 | ニュース斜め読み
大津市のイジメによる自殺が公になり、社会問題となっている。

言うまでもない事だが、人がいじめられても良いいかなる理由もありえない。

社会人として未成熟な中学生は叱られたり諭されたりしながら成長するものである。

しかし、批判される事はあっても「いじめられて当然」などという事はありえない。

なぜなら、イジメというのは「人権に対する犯罪」だからである。

教師が生徒を指導するとき、時として指導の枠を超えてしまう事もあるかもしれない。

つまり、怒りに支配されて行き過ぎた罰を与えてしまう場合である。

しかし、教師の生徒に対するのはあくまでも「指導」でなければならないし、

根底には将来を担う若者に対する愛が(我が子に対すると同じように)なければならない。

教師が生徒に「いじめられている」と感じられる指導をする事は論外であるし、

教師は教え子との間にそうした人間関係を築いてゆくのが仕事と心得るべきである。

生徒間のイジメを見落としたり、軽く見たりするのは重大な過失である。

そういう教師は職業に対する適正を欠いていると言える。

教師が生徒に理解してもらわなければならないのは、「人権を尊重すること」である。

「他人の人権を否定する者には、自分の人権を主張する事はできない」という事である。

大津市の被害者、加害者をめぐるニュースは、その事を教えてくれている。


震災のがれき処理

2012-05-28 | ニュース斜め読み
今朝のNHKアサイチは「広域がれき処理」の問題を取り上げていた。この問題については「何を今更…」というのが私の印象である。

民主党・細野大臣(もどき)の無知なくせに格好つけばかりのパフォーマンスをNHKがまことしやかにそのまま放映するのを見ていると無性に腹が立ってくるだけである。

このがれき処理の問題については、You Tubeでもう何度も指摘されているとおりである。
参考までに 
http://www.youtube.com/watch?v=PbaPles54N8
http://www.youtube.com/watch?v=Tayr21AfpJM

ところが政府、民主党政権は官僚や利権業者の主張を鵜吞みにして、被災地と他府県の対立図式を描き、本当の批判の矛先をかわそうとしているのである。それにテレビ・新聞の大マスゴミが官と大企業の広告料を目当てに加担しているのである。

大多数の日本人はどうしても新聞、テレビの報道に全幅の信頼を置いていて、世論もその方向に流されてしまう傾向が強い。欧米諸国やアラブ革命の諸国、旧ソビエトから独立した諸国の市民は「政府の管理するテレビやメディアは信用できない」という意識が強い。

民主党を批判しながら、その先棒を担いでいる東京のバカ知事、自民党の元総理のバカ息子など、無知・不勉強なただのパフォーマーの典型である。

「小市民」社会の憂鬱

2012-01-12 | ニュース斜め読み
 恒例により方々で新年の挨拶を交わすが、心してか知らずか「今年もよろしくお願いします。」とだけの挨拶が多い。あんな事があったから「明けましておめでとう」とはなかなか言いずらいのは確かである。
 国と国策企業の「共犯」となった人為的災害=原発事故で年が暮れ、この国の抱える問題点が、任をなさない「指導者たち」によって放置され続ける予感の中、新しい年を迎えた。

 長年経済界から尻を叩かれてきた消費税増税を「復興支援」を大義名分にすることで実現しようという政府・マスゴミ一体となった宣伝が繰り返され、物事を人任せにする習性の染みついた「小市民」が「それもやむを得ないだろう」と同調し、増税決定が目前である。しかしこれには絶体反対である。反対する大義は以下の通り。

 従来「社会福祉のため」という口実で創設された消費税は、過去1989年の創設から2011年までに(当初3%、97年より5%)238兆円が徴収されている。その一方で法人税率は1990年に40%から37.5%に、98年には34.5%に、さらに99年には30%に引き下げられるという大幅な減税処置が採られ、その間の大企業の減税額は223兆円に達している。庶民の増税が「社会福祉」にではなく実は「大企業減税」に使われたことが明らかである。こんなシステムのままでは、いくら消費税を増やしても、社会保障は良くならず、トヨタやソニーや東芝、キャノンなど大企業ばかりが内部留保を増やし、格差が拡大するばかりである。

 原発に対する政府の方針にも疑問である。「絶体安全な原発」が保障できない以上、将来的に廃止すべきである。今後も活断層地震や津波、可能性としては原発へのテロ攻撃もあり得る現代においては早急に廃止に取り組まなければならない。今回の事故で福島県の浜通り地区は「人が住めない」地域となった。領土を失ったのと同じである。さらに、福島の子供たちの健康被害も深刻である。本当に影響が出るのは5年後くらいからである。

 避難区域が20キロ圏から30キロ圏に拡大という政府方針も杜撰である。原発から30キロの同心円を画き、線引きしている。これも本当におかしな話である。原発から放出された放射性物質は、いつも同心円に広がるわけではない。地形とか季節の風向きとか天気によって30キロ圏内でも無害なところもあれば50キロはなれていても高濃度汚染されるところもある。なぜ行政はそうした具体的条件によって避難区域を設定し、避難指示を出すと言うことをしないのか。仕事が「おざなり」なのである。9時から5時までの勤務時間中にテキトーに策定しているだけなのである。

 新年早々、事件自体は小さいが、広島刑務所から収監されていた囚人が脱獄・逃走するという事件が報じられている。日を追ってその詳細な内容が報道されているが、知れば知るほど「あきれてしまう」刑務所側のずさんな管理体制が明らかになる。早々と刑務所の責任者が3人、揃って最敬礼し「申し訳ありませんでした」と謝罪を口にした。
 こんな場合、普通の感覚ならこの刑務所の幹部は「懲戒免職」であるべきだと思う。「訓告」とか「戒告」と言った処分で済まされることではない。
 工事中の足場が組まれていて、逃げやすい環境を作りながら、きちんとした囚人監視を怠った刑務所の任官全員が「クビ」と言っても良いと思う。国民の血税によって仕事を与えられているのに、その任を果たしていないのである。テキトーな仕事しかしていないのである。

 これは今日の日本社会に蔓延するサラリーマン病と深く共通する問題であると思う。放射能漏れを引き起こした東電の広報的役割にありながら、不倫で職を解かれた西山審議官もそうである。高学歴の学生に人気の「安定した職業」と言われる国家公務員を筆頭に、日本全体がそうした「サラリーマン」に仕切られているような気がする。公務員は国民の税金から労働報酬としてサラリーを受け取り、国民のために何が出来るか、どう役立つかを考え続け実現する仕事である。絶体に「小市民」になってはならない職業である。

中国「反日デモ」の背景

2010-10-24 | ニュース斜め読み
尖閣諸島における中国漁船の不法行為に起因して連日のように「反日デモ」が行われていると報道されている。中国に関するこの種の報道は様々な意味で注意深く見なければならないと思う。
元中国の俳優で日本に帰化した東海大学の教授・葉千栄氏は「中国にいると日本で報道されるようなデモが一体どこで起こっているのか分からないし、普通の中国人が日本に対する感情を悪化させているという雰囲気など微塵も感じない。中国におけるマスコミというのは、政府が完全に統制しているので、あのようなデモに集まるのはネット交流で情報を共有する極一部の人々に過ぎない」と言っている。
日本のマスコミにこの情報が流れるとあっという間に全国に広がり、誰もが知る事実となるのとは大きな違いがあるというのである。従ってまず心にとめなければならないのは、あのニュース映像を見て、反日デモが中国全土で広がっていると思い込まない方がよいと言うことである。

次にこの間の中国の国内事情を見てみると、東海岸都市部の経済発展に比べて内陸部の経済は極端に遅れており、その格差があまりにも激しいため内陸地域の不満、特に苦労して学校を出たのに仕事に就けない若者の不満が沸騰点に達していると言うことである。この背景にはさらに極一部の共産党幹部の子弟が優遇されており、一般国民の中でパソコンを使いこなす比較的高学歴な若者たちの不満が特に強く渦巻いているという現状もあるという。そうした不満のはけ口として、「反日デモ」は現在の独裁国家中国においては最も「安全な」抗議行動であるらしい。

もう一つ注目しなければならないのは、中国指導者の次期後継者争いである。現在、中華人民共和国のポスト胡錦濤の権力レースで二大巨頭と目されているのが「習近平」と「李克強」という人物。習近平は中華人民共和国の建国の功労者たる習仲勲の子で、いわゆる「太子党」(=幹部のボンボン)なのだが、軍歴や地方勤務経験も豊富に持つ。太子党は中国の経済界にコネがあるため、新興富裕層を権力基盤に持つ江沢民系の上海閥とは利害が一致。ゆえに習近平は政治的には上海閥への接近を強めており、北京オリンピックの運営責任者を担当するなど後継者レースの事実上トップにあった。現在、国家副主席である。

一方ライバルの李克強は、胡錦濤の出身団体である赤いボーイスカウト・中国共産主義青年団の直系である人物。共青団系の人材は研修なんかで党のイデオロギーを徹底的に叩きこまれるため、政治姿勢の面では比較的清廉な人が多く、環境問題や弱者対策にも熱心。だが、反面で頭でっかちな傾向もまま見せるという。事実、李克強は北京大学の経済学博士のくせに中国国内の行政改革や金融危機への対策では微妙な動きしかできず、党内部からは「李克強は能力が足りん」と言われる始末なのだという。だが、現在の中国のトップたる胡錦濤は、自派のホープである彼を支持している。

この内部の「権力争い」の有効な道具になる得るのが「対日政策」であり「尖閣問題」と見ることが出来る。どっちにとっても日本に対して強硬な態度で臨み、東シナ海の権益を確保することが課題の一つと言えるのである。現在の胡錦濤・温家宝も「大陸棚=領海」論を根拠として「尖閣諸島は中国領土である」と言い張っているし、次期主席と目される習近平もおそらく同じ論理で日本に対して強硬な態度に出てくることは間違いないところだろう。何れにしても「反日デモ」は利用価値があり、もともとデモが禁止されている中国で「反日デモ」である限りは黙認する姿勢である。これがちょっとでも「反政府的な」傾向を帯びると、きっちり弾圧せざるを得なくなる。

尖閣諸島がどれほど中国に近く位置していても、島の領有権に関しては歴史的経過があり、国際法上日本の領土として認知されてきているのであり、そのことは冷静に世界に向けてきっぱりと根拠を示して主張しなければならないのである。こんなことまでアメリカ頼みで解決しようなどとは思わず、日本国の主張をし、国土防衛権(自衛権)を行使しなければならないのである。泥棒の論理に屈してはならない。

裁判員制度について

2008-04-29 | ニュース斜め読み
 裁判員制度の実施を一年後に控えて、テレビ各局が街角の声として紹介するのを見ていると、一様に「専門的知識もないのに人を裁くのは難しい」と戸惑っているという声が支配的に見える。私は大体テレビのリポートなんか全然信じない、それどころかバカにしている人間であるが、確かにそのような「皮相」な感想を持っている人間が確かに多いであろう事は容易に想像できる。テレビ報道がそのような一般市民を育てていからである。

 この問題に対する市民の反応として最も妥当なのは、
「今日の法曹界においては民意とかけ離れた判断が時々なされている」
「市民感覚を司法界に知らせる意味はあると思う」
「機会があれば是非裁判委員をやってみたいと思います」
であると思う。

 市民が裁判のことをもっと身近に考える必要があると思う。本来裁判というのは他人事ではないのだ。誰もが世の中で日々起こっている様々な事件の被害者、加害者に成りうると言う自覚を持たなければならないと思う。それだけでなく、加害者を産み育てて社会に送り出してしまう可能性も誰にでもあるのである。山口・光市の母子殺害事件被害者、本村さんが死刑判決の後「こういう犯罪が起こらない社会を作るにはどうしたらよいのか、考えて欲しい」と語っていたのもそう言うことだと思う。