【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【6/2】立法爆発2000法律の日本で、役所焼け太りの不要不急の法案審議順調

2020年06月02日 19時58分27秒 | 第201回通常国会(2020年1月から6月)「コロナ感染症」
[写真]衆議院第二議員会館、左側はプルデンシャルタワー(旧・ホテルニュージャパン跡地)、先週2020年5月下旬、宮崎信行撮影。

 残り会期12営業日。法案が終わった環境委員会をのぞく参議院の10委員会が動いて法案審査。でも、本当に必要な法律案はあおり運転を規制する道路交通法改正案とリーチサイトなどの著作権法改正案の2つだけではないでしょうか。平成元年に1000本だった法律が令和元年に2000本になったことを「立法爆発」というようですが、不要不急の法律案ばかり。秋の臨時国会も開く必要は無さそうです。

【衆議院本会議 令和2年2020年6月2日(火)】

 馳浩さんの衆参あわせて25周年の永年在職表彰がありました。馳さんは「森喜朗先生から、何か専門を持ちなさいと言われて、議員立法をライフワークにした」と語りました。

 「改正道路交通法」(201閣法38号参先議)は全会一致で可決し、成立しました。おそらく令和4年2022年4月施行の方向性でしょうか。急ブレーキや車間距離を狭めるあおり運転をしたばあい、ぶつかったりけがをしたりしなくても、逮捕し、処罰できる法律。一般道では懲役3年以下、高速道では懲役5年以下。抑止力は絶大だと考えられます。高齢者自動車運転免許に関する改正条項も盛り込まれました。なお、私は7年前に「警察庁の国会対策は不自然なのか?見習うべきか? 道路交通法改正法案が4たび参議院先議の怪
」とい記事を書いていますので、ご参照ください。

 「無人ドローンを規制する航空法改正案」(201閣法29号)が全会一致で可決し、参議院に送られました。ドローンに機体番号をつけるという恒久極の仕事を増やす改正に思えますが必要かもしれません。ドローンを規制する法律が複数にわたることの指摘もありました。

 「中小企業促進法案」(201閣法50号)が全会一致で可決し、参議院に送られました。信用保証協会の保証で個人保証をいらなくする法案ですが、そもそも倒産しなければ代位弁済率が80%か100%か、個人の保証がいるかいらないかは関係ない話であり、異次元の金融緩和のもと、活用する金融機関の融資実行の審査に影響をあたる話とは思えず、不要不急の改正だと考えます。中小企業庁所管の法令は、半分以上改正が意味をなしていないと認識しています。

 「平成30年予備費使用総調書その1」は全会一致で承諾され、参議院に送られました。「平成30年度予備費使用総調書その2」は共産党反対、自民党・公明党・立国社・維新の賛成多数で承諾され、参議院に送られました。その2に共産党が反対したのは、東電原発訴訟横浜地裁判決で国が控訴する費用が盛り込まれたことが不用だと判断したためです。

 「町村選挙に公営性を導入する公職選挙法改正案」(201衆法16号)は共反対、自公立国社の賛成多数で可決し、参議院に送られました。町村長・町村議の成り手の多様化(成り手不足)と合併による広域化を理由に供託金とポスター・自動車・ビラを公費負担する改正法案。ところで、総務省の労働力調査で不動産・物品賃貸業の従事者が139万人に達しました。比較できる2002年以降で最多となりました。亡父と私は個人の立場で41年ほど従事しています。東京都では都民ファーストの会を媒介に新旧激突が水面下で続いていますが、不動産・物品賃貸業者が過去最多となったことは、自由民権運動に端を発する我が国議会制民主政治の成り手の未来を明るくする兆候だと考えます。

 「科学技術基本法改め科学技術・イノベーション基本法の改正法案」(201閣法47号)は共産党反対、その他の賛成で可決し、参議院に送られました。これもまるっきり不要不急です。

【参議院第1種常任委員会 同日】

●参議院環境委員会だけは法案が終わっており開かれませんでした。

●参議院内閣委員会
 「個人情報保護法改正案」(201閣法48号)が趣旨説明され、散会しました。公文書管理法や情報公開法と合わせ鏡になる民主主義の柱となる法律ですが、この改正法案も役所が得る罰金を上げるだけの話で、まったく不要不急です。 

●参議院総務委員会
 「聴覚障害者による電話リレーサービス法案」(201閣法27号衆修正)が趣旨説明されました。総務大臣と山花郁夫衆議院議員が政府原案と衆議院修正部分を説明しました。質疑は次回。

●参議院法務委員会 同日
 「自動車運転重過失処罰法改正案」(201閣法42号)の参考人質疑がありました。経緯は知っていますが、あおり運転の規制が警察庁の改正道交法と法務省の自動車運転重過失処罰法に分かれていることは、経緯があるとはいえ、2030年頃にはシンプルに一本化してほしいところです。おまわりさんもこんがらがっちゃいます。

●参議院外交防衛委員会 同日
 「日本スウェーデン社会保障協定」(201条約12号)と「日本フィンランド社会保障協定」(201条約13号)は全会一致で承諾すべきだと決まりました。この後、2領域3条約が残っており、理事会協議となりましたが、きょうの審議は採決のみで終わりました。

●参議院財政金融委員会 同日
 「金商法改め金融サービス提供法とする改正法案」(201閣法40号)が趣旨説明されました。法案審査は後日。これに先立つ質疑の中で、麻生太郎副総理・財務大臣は来週提出する補正予算案に「新型コロナウイルス感染症予備費」10兆円を盛り込んだことについて、天皇陛下を呼んで臨時国会を開くのは手間がかかるからだと明言しました。

●参議院文教科学委員会 同日
 「著作権法などを改正する法律案」(201閣法49号)について、対政府質疑や参考人質疑があり、採決は次回以降に持ち越しました。

●参議院厚生労働委員会 同日
 「社会福祉法改正案」(201閣法43号)の参考人質疑がありました。

●参議院経済産委員会 同日
 「電気事業法改正案」(201閣法26号)の質疑が第一委員会室であり、次回に持ち越しました。持続化給付金の支給事務を、経済産業省が電通主体のトンネル会社に丸投げしたことが分かりました。電通は民放テレビ局に対してCMの売掛金を先に払うしくみをとっており仮にそれを電通が回収するとおそらく全国すべての民放テレビ局の現預金が尽きてしまうというしばりつけをしてきました。しかし、この問題は、フジテレビ、NHKなどで「電通」の固有名詞を出して、きょうのニュースで報じられました。電通などという国民生活に不要不急の会社が年商2兆円だった戦後閉鎖的日本社会の膿を出す良い機会です。電通が押し付けた価値観クリスマスイブまでにホテルが予約いっぱいになるほどコロナが回復するのなら、その方がいいですけど。私は、初詣の人出が気になるけどね。

●参議院国土交通委員会 同日

 上述の通り、私たち個人の不動産・物品賃貸業者が139万人と過去最多になりましたが、法人である不動産開発業者と国の結託を進める「都市再生特別措置法改正案」(201閣法21号)が審議され、共産党反対、その他の賛成で可決すべきだと決まりました。

 なお、5月26日に衆議院から送られてきた「サブリースなど賃貸住宅管理業務等適正化法案」(201閣法44号)の審議入りは委員長に一任することが理事会で決まりました。その後、上述の衆議院本会議後に「無人ドローン規制のための航空法改正案」(201閣法29号)が送付されてきました。




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Ⓒ2020年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki

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