政府は、平成28年2016年1月に召集される通常国会に、「特許法改正案」を提出する見通しとなりました。日経新聞などの報道によります。
特許法の第67条は「特許権の存続期間は、特許出願の日から20年をもって終了する」とあります。
これについて、TPP条約=大筋合意=の第18章「知的財産」では、「特許期間延長制度」が盛り込まれ、「出願から5年、審査請求から3年を超過した特許出願の権利化までに生じた不合理な遅滞につき、特許期間の延長を認める制度」を導入するよう、大筋合意12か国に義務付けています。
今の法律でも特許庁長官が期間を延長することができるようになっています(第4条)が、審査による遅れを算入して延長するよう義務付ける条文を国内法に落とし込むことになるようです。日経新聞(2015年10月22日付5面)によると、12か国の中には、審査に5年以上かかる国もあり、日本の1年半、ベトナムの4年半など平均の審査期間がまちまちのようです。日本の特許法のみならず、全加盟国が特許期間延長制度を法律化することで、日本企業などの特許の優位性を保つねらいがあるようです。
TPP条約第18章「知的財産」では、商標法も改正する見通しで、これの法案は束ね法案(一括法案)として提出されることも予想されます。また、たいてい議長は衆参とも経済産業委員会に付託するところですが、仮にTPP特別委員会が設置された場合は、そこに付託される可能性もあります。
これとは別に、先の通常国会で成立した改正特許法(平成27年7月10日法律55号)は、報道によると、平成28年3月ないし4月に施行される見通し。この改正では、会社員の特許の帰属が個人から会社に移ります。これについて、複数の特許を持つ会社員は、「その改正は知らなかったが、今までも会社と契約書を結んでいたので、変わりないのではないか」 と語っています。しかし、実際には、これまで、個人名で登録されていたものが会社名で登録させることで、Google検索で引っかからなくなります。仮に大学教授などへの転職をはかる場合などに業績の明示がしにくくなります。中期的に会社からのボーナスや人事評価に少なからぬ影響があるかもしれません。来春の施行前に、労働組合で確認してみるといいのかもしれません。
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