【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

衆・憲法審で維国有があっけにとられる大波乱、入閣の新藤義孝さんをついだ中谷元筆頭幹事「岸田さんの任期中の改憲発議の日程は来年9月の総裁選前でなく、岸田さんが総理の職にとどまる期間という意味だ」

2023年11月16日 16時40分45秒 | 第212回秋の臨時国会 2023年秋
[写真]中谷元さん、おととし2021年9月、都内で、宮崎信行撮影。

 あす(今週末)給与法が成立して、来週月曜日(20日)から補正予算案審議。この日程だと、12月13日(水)まで8営業日ほど「自然休会」のような期間ができそうで、ここに議員立法が駆け込んでくるイメージとなりそうです。

 衆議院憲法審査会は、「ネット右翼」の父・新藤義孝筆頭幹事が、経済財政相の要職で再入閣。岸田文雄さんと平和安全法制でコンビを組んだ在職33年の中谷元さんが後をつぎましたが、かなり頓珍漢な見解を示して、維新・国民があっけにとられる事態が発生しました。

【衆議院憲法審査会 きょう令和5年2023年11月16日(木)】
 今国会3回目で、初めての自由討議となりました。
 維新、国民、有志の会がよりどころとする「岸田さんの任期中の改憲発議」の日程感・中谷さんは次のように語りました。「任期中の考え方ですが、私としては、その方がその職にとどまっているというのが任期だと思っておりますので、その間にしっかり仕事をしてもらいたいというふうに思ってます」と語りました。
 これは非常に歴史的な発言で、岸田さんの来年2024年9月30日の総裁1期目の任期中に改憲発議すると受けとめていた、維・国・有ははしごを外されたようにあっけにとられたでしょう。
 玉木雄一郎さんが更問いし、「仮に岸田総理が再選された場合は、来年9月の任期にこだわらない、つまり憲法改正はその先でもいいという理解でしょうか」としました。改めて中谷さんは「もちろん来年9月までの現在の任期中に実現すべきかまえで努力するのはもちろんでございます。ただ総理は9月ということを言っておりません。私の認識でありますけれども。自分の任期中ということは、自分が総理にとどまる間というふうに私は受け取っております」と再び強調しました。
 中谷さんは1990年から33年連続当選。岸田首相、新藤前幹事より先輩です。入閣は防衛大臣しかなく、永田町に大臣室を持ったことがないともいえます。国会審議では、自衛官の「ハニートラップ」のことを「ハニードロップ」といったのは、おそらくわざとかばったのでしょうが「33年連続当選しているセンセイだから何かお考えがあるに違いない」と思うでしょうが、おそらく何にもないと思われます。そういう人は永田町にいっぱいいます。
 岸田首相とサシで打ち合わせたことを認めた中谷さんですが、岩盤保守層回帰とレガシーづくりでも座礁しそうな岸田政権となりました。

【参議院外交防衛委員会】
 「防衛省職員給与法改正案」(212閣法5号)が全会一致で可決すべきだと決まりました。あす午前10時からの本会議では令和が反対に回りますが賛成多数で可決し、成立し、施行するはこび。きょうの委員会での審査では、岡田克也外務大臣の下で副大臣をつとめた福山哲郎さんが「アップ額が少ない」との意見を述べました。

●三宅防衛政務官「人魚」

 福山さんは、三宅伸吾・防衛政務官の「セクハラ「人魚」報道」を取り上げました。
 まず、大臣は福山さんに「防衛省としては現在、省一丸となってハラスメント対策に取り組んでいるところでありまして、三宅政務官におかれましては引き続き説明責任を果たしつつ、政務官として職責をしっかりと果たしていただきたい」と述べました。続いて、三宅さんは「私が事務所の女性スタッフに対し、10年前にセクハラを行ったとの報道については、全く身に覚えがございません。その旨は週刊文春に対してもお答えをいたしております。その女性スタッフは、2013年10月27日に電子メールで私宛に退職することを伝えて参りました。本件記事では、その女性スタッフが私に相談のメールを送ったとありますけれども、そのメールは私に相談したいとの内容ではなく、既に退職したいと申し出る旨のメールでございます」と語りました。
 そのうえで、「前後におけるその女性スタッフと私、そしてまた事務所との間のメールを確認をいたしました。セクハラをうかがわせるようなやり取りは全くありません」と述べ、すべてのメールを見返しても証拠はなく、本人も覚えていないとしました。
 世間の関心はさほど上がっていないような気もしますが、今後、三宅政務官が単独で、駐屯地・基地を視察し、栄誉礼、儀仗、訓示をするさいに、笑ってはいけない自衛隊のような雰囲気になってもいけないので、来週の補正予算案審議にもくすぶり続けそうです。

【参・内閣委員会】
 「一般職職員給与法改正案」(212閣法1号)と「特別職職員給与法改正案」(212閣法2号)が各々採決され、可決すべきだと決まりました。

【参・法務委員会】
 「裁判官給与法改正案」(212閣法3号)と「検察官給与法改正案」(212閣法4号)を採決。維新と令和が反対しましたが、会派に属しない議員・鈴木宗男さんは賛成し、可決すべきだとなりました。

【参・財政金融委員会】
 「金融商品取引法改正案」(211閣法56号今国会では参議院詮議)と「社債株式振替法改正案」(211閣法57号参先議)はともに、施行日もそのままの政府原案通りに可決すべきだと決まりました。採決では、211閣法56号が「自民・公明・参政党の賛成多数」という表明になりました。

【衆・消費者問題特別委員会】
 自見はなこ消費者庁担当大臣の所信に対する質疑で、「悪質ホスト売掛金問題」が取り上げられました。参院での立憲・塩村あやかさんの警察庁に対する質疑に続き、立憲の早稲田ゆきさんが消費者庁にせまりました。

●立憲・早稲田「悪質ホスト」政調ヒアリングを示し消費者相「取消権」

 早稲田さんは「10代の若年女性(ら)に対して、資力を超えたもう完全に支払不能な多額な飲食代を請求し、そしてそれを売掛金という形で払えなければ風俗、売春を斡旋するという悪質商法の被害が急増しております。連日報道もされております」としました。
 早稲田さんは「青伝票」と呼ばれる明細がない請求書・領収書を提示したかったようですが、10分ほど長引いた理事会で与党からはねのけられたようです。早稲田さんは「こうした青伝票、これ130万円です。そして、その下にあるレシートのようなものは、総合計が341万9000円」と口頭で説明。
 早稲田さんは、立憲政調部会が「被害者の母親のヒアリングをリアルで行ってまいりましたので、その内容をご紹介いたします。学部生をだまして、ホストだったわけですね。そしてそこにはまった女子大生。娘がボロ雑巾のように捨てられました。そして今は恐怖が家族にも及んでいるということなんです。性奴隷扱いされた後、ボロ雑巾のように捨てられました。関東在住の公務員の母親であります。お父様は、ご主人は、亡くなられておりまして、女の子を2人育てて、本当にごくごく一般のおとなしい一般の会社員であったということです。それなのに、ある時SNSで知り合った医学部生を名乗る男性と親しくなってボーイフレンドというように、やり取りをしていた。しかしこの正にホストの方が自分はホストにアルバイトしてるから遊びに来ないというところから始まった」と話しました。
 消費者相は「悪質なホストクラブによる被害や事件は常識に考えて非常に問題がある」「消費者契約法は消費者の利益を守るため、感情などを不当に利用した契約、いわゆるデート商法につきましては、取消権を定めてございます」と述べました。
 前向きな答弁を引き出しましたが、2期生の早稲田さんはじめ長妻昭政調会長率いるチーム立憲は上げ潮ムードで絶好調。遅くとも来年の通常国会序盤までには法案を作成するような流れが予想されます。

【参・厚生労働委員会】
 「大麻取締法及び麻向法改正案」(212閣法7号)が趣旨説明されました。
【参・文教科学委員会】
 れいわ新選組の舩後靖彦さんは山本太郎代表にスカウトされる前は、安倍晋三さんと友達で保守的な思考が強かったと噂されます。きょうの舩後さんは冒頭から「旧統一教会の民事訴訟が1990年代半ばにピークだったにもかからず、経済的被害が長期化したのは自民党を中心とする政治家と旧統一教会との癒着だ」と短時間ながらも厳しく批判しました。

 文教委から離れますが、自公は「宗教法人法改正案」と「法テラス法改正案」を提出するかまえで、召集日に各々提出された立憲の「財産保全法案」(212衆法4号)、維新の「宗教法人法改正案」(212衆法1号)との歩み寄りが終盤国会で注目されることになりそうです。

【衆・情報監視審査会】
 一部がネットでも公開され、大臣が年1回の報告書を読み上げました。

【参・農林水産委員会】
【参・環境委員会】

 一般質疑がありました。

【衆参・議院運営委員会理事会】
 あすの参・本、週明け月曜日の衆・本などの段取り。

【衆・予算委の理事懇】
 21日(火)22日(水)の基本的質疑と、祝日明けの24日(金)の採決の日程で合意。
【衆・拉致問題特別委員会の理事懇】
 あすの委員会について。
●参議院総務委員会は法案がありますがきょうは開かれませんでした。

●あすの予定 衆・文部科学委員会で国立大学法人法改正案(212閣法10号)を採決し、可決へ。野党は付帯決議案で「政令で全大学にできる規定」などに念押しをしたい方向で与党と調整か。

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