安倍晋三首相(自民党総裁)は衆議院での予算通過直後に、厚労相と、自民党と公明党の幹事長、政調会長の合計5名を呼び、「働き方改革関連法案」(未提出)から、「裁量労働制」の部分を削除するよう、命令しました。
厚労省の「平成25年度調査」で、裁量労働者の方が一般労働者よりも労働時間が短い、という、私はねつ造だと思う誤りにより、野党の攻勢をうけたため。
ゆうべ、平成30年2018年2月28日(水)深夜に首相が発表。これを受けて、けさの新聞各紙は1面トップで「政権に打撃」とまで報じました。
【参議院予算委員会 平成30年2018年3月1日(木)】
「平成30年度予算案」。趣旨説明を既に聴いていますから、きょうは総計2日目になります。基本的質疑1日目。ゆうべ遅くまで、衆本だったので、閣僚もご苦労だなと言ったところです。なお、福井照大臣への質疑はありませんでした。
働き方改革。一夜明けた参議院予算委員会の基本的質疑の冒頭での大塚耕平・民進党代表は、残りの(1)労働時間の罰則付き上限規制(2)同一労働同一賃金(3)高度プロフェッショナルーーの3本柱のうち、高プロの削除も求めました。
大塚さんは「高プロをやめれば、私たちも労働法制の審議をしやすい」とし、加藤勝信厚労相に検討状況を質問。厚労省は、「労政審に示した法案要綱では、平均給与の3倍程度上がる割合を法律成立後に省令で規定する。おおむね年収1075万円以上になるだろう」としました。加藤大臣は「研究職の人などは、2日で繰り返す研究を1日でやった方が効率が良い場合もある」ことなどが現行の高プロの利点だとし強調しました。
ただし、問題があります。高プロは、会社員の弁護士が入っていましたが、その後になってから、会社員の税理士が入りました。これは別の法律、労働者派遣法に後から、製造業が入り、日雇いは外れたことをほうふつとさせる、労働法制改悪の常とう手段。そして、省令とは「労働基準法第14条第1項の厚生労働大臣が定める基準」として、関係分野の六法に載っています。つまり法律に準じるほど大事なルールが、国会ではなく、大臣一人の署名で変えられます。1075万円の年収要件を、500万円に引き下げれば、かなりの人が残業代ゼロになります。法律が成立すると、そのあと、もう1段階の改正で、「大学の商学部を卒業して、経理部に延べ5年いた、年収数百万円の社員」が高度プロフェッショナルになってしまうかもしれません。
ですから、裁量労働だけ削除して、高プロを残したら、高プロで、残業代ゼロの人を増やす方向になることが予想されます。この辺、ゆうべのSNSの反応や、新聞の朝刊1面を見て、どれだけ理解されているか気がかりでしたが、今朝の大塚代表の冒頭の質疑で、やはり私の懸念がだいたい同じ方向性にあることを確信しました。
川合孝典さんは、森友と働き方を質問。
吉川沙織さんは、公文書管理、統計、会計検査院、働き方に加えて、別記事に書いた通り、就職氷河期世代の低賃金による、国と自治体の減収を聞きました。
自民党は、丸川珠代さん、二之湯健史さん。その後、全国商工会青年部の、宮本周治さんが質問。「地元石川で、北陸豪雪を経験して、みんなが驚いたのは、休まず運行した、北陸新幹線の強さだ。早く関西まで開通してほしい」と呼び掛けました。自民党は全体的に緩みまくった雰囲気でした。あすは、いろいろな会派が登場。きょうは午後5時に散会しました。
【衆議院 同日】
空転しました。
首相は、1月4日に伊勢神宮で「働き方改革国会だ」と設定。一方、最大野党の辻元清美さんは1月10日の最初の国対委員長会談後、「立憲主義を守り忖度を決着する国会だ」と設定。予算審議の最後に気を吐き発信力をいかした、辻元さんの設定に近づきながら、中盤国会に突入しました。
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