[写真]情報公開法改正法案を提出する左から、民主党の枝野幸男さん、階猛さん、後藤祐一さん、鬼塚誠・衆議院事務総長、民主党の松原仁国対委員長、後藤斎国対委員長代行=民主党ホームページから。。
【衆議院本会議 2013年10月25日(金)】
安倍自民党は「成長戦略実行国会」と銘打っていますが、特定秘密保護法案が今国会最大の焦点となってきました。
きょうの衆院本会議で今国会初めて法案が審議入りし、「国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案」(第183国会内閣提出法案第75号)の趣旨説明(大臣による提案理由の説明)と各党代表者の質疑が行われました。
これに先立ち、政府は閣議で「特定秘密保護法案」を決定。議案番号は(第185閣法9号)になると思われますが、法案の内容はこちらのホームページに載ると思いますが、現時点でアップロードされていないので、私はまだ全文は読めていません。
ほぼ同じ時刻に、民主党は、衆議院議員立法「情報公開法改正法案」(第185衆法1号)を提出しました。
こちらは、民主党ホームページで、概要、要綱、法案全文、新旧対照表をすでにみられるようになっています。
この3法案が、衆議院国家安全保障に関する特別委員会の議題となることになりました。当ブログは、2か月以上前から「特定秘密保全法案(仮称)提出へ 情報公開法改正とセットで議論すべきだ」と主張しており、この「セット審議」で与野党が折り合いました。
本会議では、菅義偉・官房長官が趣旨説明。この時点で提出されていない、特定秘密保護法案も各党が質問しました。
[画像]NSC法案の趣旨説明をする、菅官房長官。
民主党は大島敦さん。特別委の筆頭理事に選出済み。
大島さんは「民主党政権がつくった2010年防衛大綱に、NSC設置の検討が入っており、これが今回の法案に反映されているか議論したい」として、民主党としての論点を示しました。
そして、「NSCの文書はすべて公文書として管理し、情報公開法の対象とすべきだ」と語りました。
[画像]代表質問する大島敦さん。
これに対して、安倍首相は現在の9大臣によるシビリアン・コントロールから、4大臣(首相、官房長官、外相、防衛相)による体制にし、内閣官房の国家安全保障局が各省を指揮命令するのが狙いだと答弁しました。これは、「シビリアン・コントロール(文民統制)からポリティカル・コントロール(選挙で選ばれた政治家による統制)へ」 という英国など議会制民主主義の先進国での時代の流れを反映したものと考えられます。
ただ、この後から、首相の答弁に説得力を欠く点が出てきました。たとえば、「特定秘密の指定という行為」の公文書管理・情報公開が話題になっていますが首相は「特定秘密の指定は外部の有識者がつくった基準にもとづく」と答弁。これでは、一度「基準」ができれば、その後は、「閣議」しかチェック機関がないことになります。維新の藤井孝男さんへの答弁。
[画像]答弁する安倍首相。
特定秘密保護法案の答弁は森まさこ大臣が担当します。きのうの参・予算委でみんなの党の小野次郎さんが「特定秘密の中に重大な違法行為があり、それを公益通報した者は保護されるのか」と質問したところ、森大臣は「政府中枢の違法行為は重大な失態であり、特定秘密の指定たりえない」と順番あべこべ答弁。
で、そういったことが、橋本行革の一環として成立した情報公開法の下となった報告書でも「インカメラ審理は、情報公開法施行後に専門的な観点からの検討が望まれる」としています。裁判官が省や審査会が「不開示」とした文書を見て、証拠採用するかどうかまで含めて判断する「インカメラ審理」が情報公開法に入っていない理由は、民事訴訟の話なので、法案作成の「情報公開部会」のメンバーが対応できなかっただけでしょう(行政改革委員会最終報告書=注「行政改革会議」とは別組織)。
そして、橋本行革から13年経って、いまだに情報公開法が抜本改正されていないのは、自民党政権が官僚主導だったから。枝野幸男国務大臣が第1次与党期の2011年4月にまとめた情報公開法改正法案は、「最初から分かっていた最大の宿題」がようやく盛り込まれたのです。
ちなみに、枝野さんの議員立法は、たいてい弁護士さんの仕事が増える法案が多い傾向があります。第1次野党期に提出「消費者権利保護院設置法案」は、政府自民党案と修正して現在の「消費者庁設置法」になっていますが、これは弁護士の出番が増える法案です。今回の法案もそうです。が、情報不開示をめぐる裁判は、さほど数は多くないでしょうし、弁護士も儲からないでしょうから、よろしい。
マスコミが、「知る権利」「報道の自由」「取材の自由」を入れ込もうとロビイングして、法案にはそれらが配慮規定としてはいるようです。ただ、すでに憲法の派生的権利として確立されているものであり、あまり意味がない。
記者には「取材源の秘匿の権利」があります。これは最高裁判例で確定しています。これは読売新聞社が最後までたたかったから確立した事件です。森まさこ大臣は特定秘密保護法案について、西山記者事件の判例からすると、記者が捜査対象になるうる、との発言をしています。では、なぜ西山記者事件は最高裁判例になっているかというと、西山元記者が最高裁までたたかったからです。では、なぜ西山元記者は元社員なのに最高裁までたたかう経済的余裕があったか。それは彼は駐車場を持っており読売新聞社北九州支社が借りていたから、その賃料があったから、ということのようです。ここにもやはり読売新聞社が出てきます。政治部記者として西山さんを助けた、渡辺恒雄さんのおかげで、これらの最高裁判例は確立していることを、人物の好き嫌いは別として、ツネさん(ナベツネ)の功績は大いに評価されてしかるべきです。
取材源秘匿の権利があるから、日々の取材がしやすいように、裁判官によるインカメラ審理が最高裁まで可能とする法律を制定することが、新聞記者の取材をしやすくさせます。当然にして、特定秘密からのスクープもできるでしょう。こうやって人がつながり、国がつながっていく。
ところで、独立行政法人情報公開法(旧・特殊法人情報公開法)という法律があります。「政府が特殊法人情報公開法案を国会に提出する」と最初に新聞に書いたのは、私です。1997年で、入社1年目にして日経新聞の1面に書きました。そのような経緯もあって、情報公開法には思い入れがある、という情報公開をして、ぜひ、行政文書の管理と開示に関して立体的に議論する、「公文書管理・情報公開国会」になってほしいと考えます。
それはまた、わずか3年3か月で下野したことで犠牲になった人たちへの報いにもなると考えます。
期待してます。
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