日本政府は昭和27年に日米安全保障条約を締結したことに伴い行政協定も併せて締結した。この行政協定で、日本政府は、自衛隊の指揮権、電波権、航空管制権をアメリカに売渡してしまった。その後、70年間に渡り日本を治外法権国とすることに全力をあげてきた自由民主党であったが、令和5年3月2日、ついに秘密協定が存在したことを認めることになった。近日中に国会議事録に登録されたならば紹介する心算である。
ところで自由民主党が売渡した主権の一つである航空管制権は、令和5年3月6日の寄稿文「ヌーランド米国務次官は横田空軍基地という裏口から入国する」で、外交文書と共に明らかにしてきた。本日は、自由民主党が売渡した「電波権」について、その全容を外交文書から明らかにする。
まず電波権とは、昭和25年5月2日に制定となった「電波法」のことである。この法律の目的は「第一条 電波の公平且つ能率的な利用を確保することによつて、公共の福祉を増進することを目的とする。」となる。ところが、この法律は、昭和27年6月に「周波数の分配及び妨害除去」とする協定で日米合同委員会の制御下に組込まれてしまった。
『……
周波数の分配及び妨害除去
昭和27年6月の日米合同委員会で次のように合意されている。
1.日米周波数分科委員会の設置
日米合同委員会の下に、郵政省の代表者と合衆国軍隊の代表者で構成する日米周波数分科委員会を設置すること.この分科委員会は、合同委員会に対し、米軍の電波の使用、調整及び管理に関する勧告を行うことを任務とする.
2.技術連絡部の設置
日米周波数分科委員会の下に、技術連絡部を設置すること。この連絡部の一方を郵政省電波管理局周波数課とし、他方を駐日合衆国軍司令部J6部周波数分配課とすること。
この連絡部は、電波の使用、調整及び管理に関する日常の作業に必要な取極めをし、また、日米電波施設間の混信の防止及び除去上必要な措置を関係当局に勧告することを任務とする。
3,電波の使用に関する基本方針
(1)27.5MC/S以上の周波数帯における電波
この周波数帯の電波の使用は1947年アトランティックシティの国際電気通信会議で定められた無線通信規則に従うこと,
(2)27.5MC/S以下の周波数帯における電波
1951年ジュネーヴの臨時無線通信主管庁会議の最終協定が実施されるまでは、1938年のカイロの一般無線通信規則に従うこと。
(3)日本側の電波の割当及び使用は、周波数割当の原則に従うこと。
(4)国際規則に適合しない米軍の「周波数帯外」の電波の使用は日米間で協議して調整すること。
(5)米軍による27.5MC/S以下の電波の使用は付属書Aに掲げる。
(6)米軍による27.5MC/S-328.6MC/Sの関の電波の使用は付属書Bに掲げる。
(7)米軍による328.6MC/S以上の周波数帯の電波の使用は付属書Cに掲げる。
(8)米軍の必要とする電波の取扱い。
米軍の開始する新業務に対する周波数の分配は、米軍の要請により、且つ、そのときに日米間で合意するとおりに行うこと。
(9)施設及び区域内で米軍が使用する電波の選定等
施設及び区域内で米軍が使用する電波の選定、国際的調整管理、国際電気通信連合に対する通告、登録は米軍が行うこと。
(10)日米政府間の約定に基づき米軍が使用する電波の選定等
日本政府と締結した約定に基づいて米軍が使用する電波の選定、国際的調整、管理、国際電気通信連合に対する通告、登録は日本政府が行うこと。また、この種の電波には、国際的に日本に分配された呼出符号の系列の中から呼出符号を割り当てること。
(11)電波施設の設置及び運用の基準
日米双方の電波施設間の混信を防止するために、電波施設の設置及び運用は、1947年アトランディック・シティ無線通信規則に定める基準に従うこと。
(12)米軍に不要となった電波についての措置
米軍は、不要となった電波を遅滞なく郵政省電波監理局に通知すること。
(13)混信対策
日米のいずれか一方の電波が他方の電波に混信を与えた時は、混信を受けた方が混信を与えた方に通報すること。またこの日米間の混信及び根源の不明な混信を技術連絡部を通じて妨害除去のために必要な措置をとること。
(14)電波監視
(イ)米軍側が不明な根源からの電波により混信を受けた場合、それを日本側に通報し、日本側はその電波を監視すること。監視の結果を混信除去のため混信を与えた方の局を管理する機関に送付すること。右の混信が日本国外から来る電波によるものであれば、監視の結果を米軍側に送付し、米軍側がその混信除去の処置をとること。
(ロ)米軍側が日本国内の不法電波と認められるものを覚知した場合は、それを日本側に通知すること。日本側が監視した結果、それが米軍所属のものであると判明した時は、それを米軍側に通報し、米軍側がその不法運用を除去すること。
(ハ)日本側は、監視の結果を、要請があれば、米軍側に送付すること。
(ニ)前記(イ)、(ロ)及び(ハ)の監視に関する情報交換は、郵政省電波監理局と駐日合衆国軍司令部J6部周波数分配霖との間で行うこと。
4。補助軍用無線局の設置、運用
(1)米軍の人員(軍属を含む。)は軍事上、アマチュア・バンドで無線局を運用することができること。
(2)米軍司令官は、無線従事者及び無線局に許可書を発給すること。
(3)米軍司令官は、右の許可の責任をとること。また、右の許可及び運用管理に必要な規則を定めること。この規則は、日本のアマチュア・バンド内で運用する局に適用される規則に一致させること。
(4)補助軍用無線局には、国際的に米国に割り当てられた呼出符号の系列の呼出符号を割り当てること。
(5)補助軍用無線局の電力は、速信機の最終段への最大入力が1キロワットを超えないものであること。
(6)米軍司令官は、補助軍用無線局のリストを日本側に送付すること。
……』
日本には、主権国としての権利である電波の利用権は著しく制限され無償で提供しているのだ。アメリカは、日本政府がアメリカに無償で提供している電波権を利用してアメリカ本土を守るミサイル防衛網を構築しているのだ。
ところで日本国内では、電波法を利用した事業として携帯電話がある。その事業規模は、大手に2社で、NTT-Docomo4.65兆円、KDDI5.24兆円と約10兆円となっている。
ならば、日本の主権である電波が、アメリカ本土を守るという重要な役割を担っているのであるから主権国日本は電波使用料を徴収するのは当然のことであろう。その規模は10兆円としても間違いではないであろう。
以上(近藤雄三)
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