二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

音色のもとは?

2019-05-21 12:44:55 | 二胡の救急箱・補習講座
当然、木の樹種の違いによってそれぞれの二胡の音色が出てきます。

更に、蛇皮の厚みや質などによって、耳に聞こえてくる音色も変わります。

そして、それを引き出すための駒の種類でも変わります。

皆さんもこれはご存知でしょうが、駒の種類,形状、質量などでも音色が変わります。

もっと言うと、皆さんの弾き方でも音色は変わってくるのです。

先生や音楽家が、皆さんの楽器を弾いた時に皆さんの弾いた時の音色と違うというのは、

経験のある方もおられるでしょう。

それこそ腕の違いによっても音色は変わってしまうのですね。

そこで、人それぞれ、考え方も対応も違います。

中には楽器のせいにする方もいます。

根本的に弾き方の違いであると考えて、一生懸命先生に聞いたり、練習したりする方も多いでしょう。

しかし、これがなかなか難しいですね。

先生からはっきりした答えが返ってこない場合が多いからでもあります。

それでは弾き方の違いというのはどこにあるのかというと、

これはほとんどの方が脱力のことを言う方が多いと思います。

脱力というのができる人には何という事もなくできるのですね。

そして、これがやり方がとても説明しにくいのですね。

色々な書物や参考書など読んでも、自分で会得しない限りできないのです。

皆さん覚えていらっしゃいますか。

自転車に初めて乗った時、いきなり乗れる人は少ないでしょうが、

基本的には手の脱力そして体の脱力なのでしょうね。

現在自転車に乗れる人でも、普段と違ってガチガチに手に力を入れてみてください。

これ、かなりふらふらすると思うのです。

その上、自由に自転車が動きませんね。

でも自転車は皆さん乗れるようになってきたのですよ。

たぶん子供の頃ですから何となく脱力を会得したのでしょうね。

ハンドルから手を放して乗ったことがおありでしょう。

手放しで乗っている時の体の感覚覚えていますね。

ちょっと、腰のあたりに重心を感じるようにして、体をとてもリラックスさせていますね。

片手ハンドルも同じですね、

手に力を入れてしまうと、ふらふらしてしまうでしょう。

ハンドルは軽く、抑えているぐらいではないですか?

子供のころに自転車に乗るのを教わった時に、手の力を抜いて体を脱力してと言われても、

多分何が何やらわからず余計、緊張して乗れないのかもしれません。

大人になればなおさらですね。

弓で弦を弾くというのは、一つの運動ですから、これは覚えていくしかないのです。

とこんな話を書いても仕方がないでしょう。

弓の毛はぴんと張っていないと弦を鳴らせません。

ヴァイオリンの弓は、後ろのねじで、毛をぴんと張ることができます。

二胡の弓にも、ネジはついていますね。

これで多少は毛をぴんと張ることはできるのですが、

二胡の弓の竹はかなり弾力のあるものですから、完全にはぴんと張ることはできません。

ものによってはねじをどんどん回していくと、曲がってきてしまうものも多いのです。

そこで、曲がっていかないように、竹を内側にそらせます。

ヴァイオリンの弓も同じですが、反らせることで張力を得ようとしているのです。

ここで二胡独特の問題が出ます。

外弦を引くとき、竹を胴の上にのっけてガイド代わりに使います。

ですから上手な人が弾くと、胴の上に竹がピシッと張り付いたように乗っているのがわかると思います。

ところが、竹をそらせることで、しっかり押し付けていないと、運弓が安定しません。

ですからここで力を入れてという先生もいるのです。

多分この力を入れてというのが、誤解のもとで手に力を入れ、竹をしっかり押さえこんだりします。

当然脱力しにくくなりますから、良い音色が得にくくなるのです。

脱力していないと、手の重さが十分に乗らず、

十分に弦を振動させられず、木そのものの振動が出てきにくいです。

そうなると、どんな楽器を使おうと、いくら高い紫檀を買おうとも良い音色にはならなくなります。

そこで考え出したのが、竹をもっと強化して、竹にそりを入れなくとも、毛をぴんと張りやすくしたのです。

弓の重さで弾けるようにした、音風です。

変に力を入れなくて済みますから、脱力もしやすくなります。

良い弓は、良い音色を実現しやすくなります。

追記

ヴァイオリンや、二胡、そして、胡弓、馬頭琴など、擦弦楽器の種類によっても、

その弦の張り方によっても、この毛をぴんと張るというのは、それぞれ独自のものがあるようですので、

指板のある楽器無い楽器それぞれに弦のタイプも違いますし。各楽器それぞれの特性があるのだと思います。

だからこそ、難しくそれぞれの楽しみがあるのでしょう。


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