二胡工房 光舜堂

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蛇皮の事!

2022-10-12 10:53:37 | 蛇皮
皆さんには、あまり関係ないかとも思いはしますが、このところ蛇皮の皮の張替えの方法を考え直しています。
「皮を張り替えてほしい」というお話をいただくことが多くなってきています。
CDMにしてほしいという方はたくさんいらっしゃいますが、最近は蛇皮を張りたい。
殆どのかたが、もう15年も使ってきて、20年経ったから。
蛇皮には、寿命がありますね。
皮そのものは、乾いた所に置いておけば、100年以上持つようです。
それ以上前のは私はあまり知りません。
私の家族が残してくれた皮は、おおよそ、100年ほど前に作られたもののようです。ただし楽器として振動板としては役には立ちません。
ただ皮そのものとしては、劣化はしていても形にはなっています。
通常皮類を何か生活の物に使う時には、あるいは衣服などの場合、皮を鞣します。
鞣すというのは、読んで字のごとく皮を柔らかくする、ということでもあり、腐敗や劣化から防ぐ加工方法です。

左側が蛇皮を鞣したものです。
随分白くなっていますね。
友人が苦労して鞣してもらったものです。
とても柔らかく布地のような感じです(工房に来られた方は一度生の蛇皮と触って比べてみてください)
ただ鞣してしまうと、楽器の振動版としては役に立ちません。張力が無くなるからです。
ですから太鼓の類も弦楽器の振動板に使う皮もすべて生のままを使います。
生ですから、必ず劣化します。
湿度の高いところで空気の動かないところへなど、仕舞いっぱなしにしておくとカビが生えることもあります。
ですから保管する場合空気の良く動くところの方が良いです。
蛇皮を張る時張力を上げるために、かなり強い力で引っ張ります。
その時に伸びるのは、鱗と鱗の間の柔らかい部分です。
その部分部分の伸縮が振動を生み出すようです。
この部分は楽器を振動する度に徐々に伸びていくのです。
ですから、最初は硬いし音もそれほど大きくはなくまた、安定して音が出にくいものですが、弾き込んでいくたびに少しずつ音も大きくなり安定していきます。
馴染んでいくのですね。
そして、どうやら、早いものなら12,3年長くても20年近くで振動版としての働きが弱くなります。
勿論音が全くでなくなるわけではないのですが、音の立ち上がりが遅くなり、高音部の音が出にくくなってきます。
ある先生が「そんなことはない私は100年前の楽器弾いたけれど全く問題ない」とおっしゃっていましたが、良く聞くとその楽器はその100年の間ほとんど弾かれず乾いた場所でよい状態で保管されていたようです。
ですから蛇皮の振動版の役割の寿命というのは弾き込んだ時間の長さ、そして保管の状態によって変わってきます。
そして、制作した時にどのくらい皮を傷めずに制作できたかということにもよります。
生皮ですから、その振動の与え方でも弾き方でも多分様々な変化をしていくのでしょう。
二胡に使う蛇皮はあくまでも生皮であると、覚えていてください。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ




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