goo blog サービス終了のお知らせ 

二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

楽器としての二胡、その4

2012-03-09 10:00:54 | ■工房便り 総合 
楽器としての二胡は、ある意味大変優れているところが有ります。

演奏が自由に出来ると言うことです。

バイオリン等のように、決まった、或いは決められた部分、というのが少ないからとも言えます。

そして、初めて二胡をライブで聴く人が一様に言うのは、あの小さなボディーからは想像できないほど音が大きい。

確かにあの胴の大きさから考えると、大変大きな音がします。

しかし、バイオリンなどに比べると、と今の二胡の演奏家たちは考えてしまうのだそうです。

ですから良い二胡ということの基準の一つに、

大きな音がすると言うのを、どの演奏家も、皆さんおっしゃいます。

勿論二胡の製作者たちもそれを目指します。

現状、今の二胡の音は、バイオリン一台に対して、二胡4台くらいでしょうか。

ボリュウムという点では、そのあたりなのだと思います。

それは、上野の文化会館で、二胡の演奏を聴いた時に、あの500席ぐらいのちょうどまんなかぐらいまでしか音的には届きにくいからです。

以前バイオリンの演奏を聴いた時には、一番後ろの席でも十分届いていましたから。

(上野の文化会館の小ホールというのは全体に扇型をしていて、元々後ろの方へは届きにくい形をしています)

別に、今の二胡の鳴る範囲のホールを使えばよいではないかという意見もあるとは思います。

しかし、演奏家は、ただ大きく鳴らすということではないのだと思います。

演奏上、ピアニッシモというのも有ります。

音が小さくても、届いて欲しいのです。

ですから、大きく鳴る楽器というよりは、正確に言うと、遠くに届く楽器が欲しいのではないでしょうか。

音は大きければ大きいほど、遠くに届きます。

しかし音が小さくとも、遠くに届くには、どうすればよいのかという問題です。、

それには楽器全体が鳴る、楽器の大きさ全てが鳴れば、小さい音でも、ある幅を持って音は走ります。

二胡の胴の部分だけの振動、それも皮の部分だけの振動だとすると、その鳴る面積は、直径9センチぐらいの面積の振動でしかありません。

ところが、棹まで鳴ったとしましょう、そうすると、その面積は、倍くらいになります。

長さで言ったら、8倍になるのです。

同じ大きさの音でも、全体になれば、80センチの幅になって、音は進みます。

胴だけでの音の幅とはかなりの違いになるはずなのです。

バイオリンでも、三味線でも、棹が鳴ると言うのは、遠鳴りの条件になります。

特に、二胡の場合は、胴に対して、棹の長さは、8倍あります。

そこが鳴るか鳴らないかというのは、音の迫力として、全然違う物になるでしょう。

棹が鳴るには、棹が揺れなければいけません。

それには、胴が鳴った時に、棹と、胴の接触している部分の密着度というのが大切になります。

棹が入っている穴と、棹との間に隙間があったら、棹は鳴りません。

ところが案外、今の二胡は、ここに隙間のあるものがかなり多いのです。

ですから弦を外したとたん、胴だけ落下してしまうようなものがたくさんあります。

(弦を外す時には気を付けて下さい)

この事は、今の二胡の構造として、仕方のない事なのです。

棹が、経年変化で、痩せてきます。

そうすると、最初はぴったりしていた、胴の穴との間に隙間ができてきます。

勿論、私の作った二胡も同じ事ですが棹は痩せてしまいます。

私の作る二胡は、棹の上の方に向かって、少し太くなっていますから、

多少棹が痩せても、棹と胴の穴は密着しています。

楽器の精度というのは、最初に作られた時だけの問題ではないのです。

何年も弾きこんだ時に、どうのように、木の変化に対応するかというのは、

メンテナンスということも含み、製作段階からその事を考えて作られていなければいけません。

そうでないと現状の二胡のように、直しも出来ず、ただ廃棄ということになります。

Comment    この記事についてブログを書く
« 楽器としての二胡。その3 | TOP | 楽器としての二胡、その5 »
最新の画像もっと見る

post a comment

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | ■工房便り 総合