二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

松脂は劣化するのか?日曜工房営業日。

2021-12-21 09:46:41 | 二胡の救急箱に書かなかったこと
H・Hさん、昨日言い忘れたことです。

普通に販売されている松脂は、どうやら、賞味期限があるようなのです。
メーカーによっても違いはあると思いますが、どうやら10年は持たない、
早ければ6,7年で松脂に混入されているひまし油が劣化するようなのです。

ひまし油柱は調べてもらえれば分かるのですが、酸化しやすい油です、植物性ですから。
ですので水分や温度などで腐敗したり、酸化して劣化します。
置かれている状況次第では、稀に、腐敗することもあり。少し匂って来たりもします。
それだけでなく酸化したものが少し幕を作り、弓毛に乗りにくくなったりもします。

松脂そのものはあくまでも樹脂でありいくら硬くなっていたとしても、植物には違いはないのです。
普通の木でも、湿気の多いところに置いてあったりすると、黴たり腐ったりします。

二胡用と言われている比較的安い、黄色い松脂の中にも、もともとのテレピン油がかなり残っています。
普通松脂を製造する過程では、それほど強い熱にはかけません。
湯煎ですから、最大100度でしょうね。通常はそれ以下ですし90度で松脂は融解しますから。
ですので、本来はかなり揮発性の高いはずのテレピン油なのですが、置かれている環境などによっては、揮発せず塊になったりもします。

こうなると、本来、松脂の粒子が弓毛について振動を起こすはずが、なんだかべたべたの物おを弓毛につけている状態になることもあるのです。
しかし一度熱を通ったとしても、そこは植物ですから自然環境によって変化していくのでしょう。

ただ、二胡の方は比較的沢山松脂を消費しますので、よほど古いものを引っ張り出さない限りは綺麗に消費されていくようです。
あんな綺麗な、黄色だったり赤かったり半透明の硬いものでも、植物なのです。

ヴァイオリンの人たちは、少なければ、月に一度多くとも3日に一回くらい、軽く、弓毛に1,2往復させる程度ですから、7,8ミリの厚みのある松脂が全部使われたとしても、本来は、20年近く持つはずなのです。
それが、案外7,8年で新しい松脂を購入する方が多いです。
一つは割れて、使いづらくなった、そして、何となく塗りにくく鳴ったり、あるいは塗っても、弾いた感じが変わったり。
そしてもう一つは、弓毛を交換した時に今までの松脂だと、音の感じが変わって来たので、他の松脂に替えてみるということもあります。
そして演奏が変わったりした場合も、松脂を交換したりします。
中には古くなった松脂は、ライターで炙ったりして使う方もいるようです。

二胡の場合たくさんつけるのは、弓毛が脱色されて弱くなっているものも多いからでしょうね。
昔の黒毛の弓は、ほとんどつけなかったようですし。

いずれにせよ、松脂は変化します。劣化します。そのことは覚えていていただいて、古いものを使う時には、気を付けてください。
そんな松脂を弓毛につけて、失敗した時には、一度中性洗剤で洗い落してください。(この中性洗剤で弓毛を洗うというのも、今度、ちゃんと教えなければいけないかもですね)

今月は、日曜日に二回ほど調整日を設けました、久しぶりの対面での二胡の調整、大変勉強になることも多く、少しは皆さんに伝えなければいけないことなども、まだまだあるのだと実感できたのと、やはり直接お会いして、少ない数ですが色々見せていただくのは本当に楽しいですね。いつかコロナが終わったらと、とても希望が持てましたし。このひとなら、二胡の調整のことなど教えたいななどとう方にもお会いできます、例えこの蕪ブログでいろいろ書いたとしても、所詮文章でしかなく、技術というのは手に手をとって、(失礼、私の作業中の汚い手は嫌ですね)でも、体全体で、生の感覚で、覚えるしかないのだと、つくづく感じるこの頃です。

工房光舜堂西野和宏 

それからこの先、オミクロン・コロナの広がり方次第では、当分日曜日の営業休むことになります。




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