二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

どんな松脂でも全ての擦弦楽器を鳴らせます。

2024-04-22 12:00:15 | 光舜松脂
たぶん、市販されている松脂で擦弦楽器を鳴らせないものはないでしょう。
例えばバレーのトゥシューズにつける松脂でも、野球のピッチャーが手に付ける松脂も、体操の選手が手につけるものも、弓毛につけて弦を弾けば、音は出てきます。もちろん市販されている全ての擦弦楽器用の松脂も。
あとは選ぶ人の感覚と好み、そして実際のそれぞれの機能と効率の良さでしょう。
要するに、演奏者がどんな音を求めるかだと思います。どんな松脂でも音だけは出ますから。

今ヴァイオリンだけでも世界で年間60万台くらいは生産されていると言われます。
いくら、量産だとしても、それぞれに鳴りも響きも違います。
その上, 弦の種類も50種類くらいはあります。
そしてヴァイオリンの一番細いE弦は0,25ミリG弦は0,75ミリ(メーカーによってそれぞれ違います)
コントラバスは1,5~2,9ミリくらいの差があります。
弦は太くなれば太くなるほど打撃、擦弦楽器の場合摩擦力が強くならないと鳴りません。
そのために弦が太く長くなるごとに、弓の方が太く重くするように擦弦楽器の弓は作られていますね。

ですから、同じくらいの摩擦力の松脂でも一応は全ての楽器を鳴らすようにはなっているはずなのです。
ところが、弓は皆さんが思ったよりも、とんでもなく良い弓というのもありまして、軽く当てるだけで十分な振動を引き起こします弓もあります)あらゆる演奏上のテクニックにも対応します。
たぶん、銘弓と言われるのでしょう。
しかし、20世紀に入って演奏家も増えました。
第一次世界大戦のころヴァイオリン制作が十分にできなかったヨーロッパへ日本の鈴木バイオリンさんは年間10万台輸出していたといわれます。
現在では中国が年間50万台、世界では60万台くらいの生産だと言われています。
これ毎年なのです。
当然それに伴って弓も作られていますね。
そんな中で安定して生産できない天然松脂では皆さんの需要に追いつきません。
それででしょう、天然ではなくいわゆるガムロジンで皆さんの需要にお応えするべく、沢山の実験を通して今では3,40種類の松脂が販売されています。
ガムロジンにしろ精製の仕方によって10数種類あります。
中に残っている油分によって摩擦力が変わります。
完全なロジンは大変細かい粒子です。
それだけですと擦った瞬間ただの粉になってしまいます。
摩擦力にはなりにくいのです。
そこで各社独自にそのガムロジンに何らかの油分やロジンの粒子が固まるようなものを添加して、中には糖分やさらには金属粉を混ぜ込んでいるものまであります。
要するに引っかかり具合を加減しているのです。
その加減の具合でヴァイオリン用チェロ用コントラバス用と変化していきます。
特化したおかげで合う楽器が少なくなったのかもしれません。おかげで沢山の松脂メーカーが沢山の種類を作り出しているのではないでしょうか。
ヴァイオリンのG弦0,75ミリとE弦0,25ミリを同じ引っかかり具合で同じように響かせるというのは厳密にいうとかなり難し事です。
それで演奏家の方は弓の使い方など色々訓練していくのでしょう。
だからこそ難しくまた、面白くもあるのではないでしょうか。
そして、この引っかかり具合を特化したヴァイオリン用などではコントラバスは弾きにくいです。
科学が進歩してきて細分化されたおかげで用途が決まってしまい応用が利かなくなったものというのはたくさんありますね。
ボンドなどもそうです。素材によって沢山の種類が作られています。
ところが、漆などはあらゆるものを接着出来ます。
木や紙から金属そしてプラステイックまで。
木の樹液を精製して作られた漆が万能なのです。
まあ、乾燥というか酸化重合させるのに時間と環境作りに時間はかかります。
それと同じように木の樹液が天然に熟成された松脂は、擦弦楽器の弦を太さに関わらず鳴らします。
ただし、かなり良い弓と楽器が必要でしょう。
たぶん、今回作りだした、「1」と「2」はそんな銘弓ではなくとも、全ての擦弦楽器の愛好家に楽に楽しく弾いてもらいたいと考えて、多少松脂の硬さを変えることである程度の幅を持たせて楽器の違い、弦の太さの違いに対応させています。
そいう点でもコントラバス用の「B」は必要だと考えました。銘弓などは世界にもそれほど多いとは思えませんし。
明日、クロサワ楽器新宿店さんに「B」を納品します。
松脂工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ


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