油分です。
以前書いたように、水の中では、音も振動も良く伝わります。
二胡を作るには、木を良く乾かさなければいけません。
多分30年以上100年くらい。
それだけ乾かせば、普通の木なら、含水率15%位にまで落ち、
殆どが繊維質になっているはずです。
ところが、ローズウッド系や、黒檀系は、油分が多く、その油分が、
水分の抜けた後にも、残ります。
その油分が、二胡を良く鳴らすといってよいでしょう。
ところで、水分の多い木というのは、良く鳴ると思いますか?
切ったばかりの木は、叩いても、ズシッと振動はしますが、カーンとなることはありません。
響かないのです。
音が響くには、空洞が必要です。
洞窟の中は音が良く響きます。
手を叩いた時にも、掌を、ふくらませておくと良く響きます。
空間の中で、音が反復して、大きく鳴るのでしょう。
水の乾いた、木は、繊維質の小さな細胞の空間と、栄養素のもう通らない導管という、
空気の含まれている、小さな、管との集まりになります。
駒を伝わって、皮を揺らした振動は、その木の細胞と、導管を伝わって、音が拡大していき
最終的には、棹まで伝わり、全体から音が出てきます。
その時、まったく水分が無いとしたら、音はどう響くのでしょう。
音は、弦で揺れた、皮の周りが大きく響き、
水分の無い事で、伝わりにくい、棹までは鳴らさないのではないでしょうか。
良い例が、花梨です。
花梨は、大きい音がします。
内部に導管が沢山あり、その中の空気が良く反響するのです。
ところが全部、花梨でできていると、棹までは鳴りません。
油分が少ないからです。
花梨をお持ちの方は、棹を触りながら、弾いてみてください。
棹が、他の木より振動しないのが解ります。
振動した、皮が、胴の木を振動させ、その中の空気部分で音になって響き、
更に、そこに油分があれば、その振動は次に伝わりまた、導管や、乾いた細胞で音になり
又次に振動が伝わりということの繰り返しになって、
それがしまいに棹にまで振動が行きつき、棹まで鳴らす。
これが、二胡が遠鳴りする原理だと考えられます。
ですから、あまりにも油分の多い、リグネルバイダや、良く乾いていない黒檀等は、
ズシッという響きはあっても、大きな響きというのはあまり無く、
油分の少ない花梨等は、大きい音がしたとしても、遠鳴りするということは、あまりありません。
そこそこ、油分も多く、導管も多い木というのが、大きい音もし、
遠鳴りをするということになります。
バランスということでしょう。
やはりそこへいくと、ブラジリアンローズ系は、その代表格になると思いますし。
その中でも、良く乾いた、ハカランダ、は、別格だろうと思います。
経験上、楽器を作ってきた人は、それが解っているのでしょう。
不幸なことに、ブラジリアンローズ系は、美しい木です。
この200年、家具材として、その多くが、使われてきてしまいました。
おかげで、輸出規制され、今は、もう、日本には、入ってきません。
今、どこかに、忘れられていた、材料として、残っているのを、さがすだすしか方法はありません。
次に鳴るのは、バリサンダーでしょう。
これは元々ブラジリアンローズを、マダガスカル、や、西インドに移植したものと言われています。
元は、ハカランダと同系列です。
多少成長が速いためか、軽く、又油分も、ブラジリアンローズほどではありませんが、触るとぬれているような感じはあります。
又、導管の多い木です。
おかげで、今中国で、良く鳴る材料と言われている、老紅木、と言われている木を見ると、
そのほとんどが、バリサンダーです。
元の、中国で言われて老紅木という木が、何であったのかは、ついに私には解りませんでした、
多分、紫檀の中でも北方系の、柔らかいものであったのではないかと、
想像しています。
同じ樹種である場合、北に行くに従って、柔らかい素材になります。
続く
西野
以前書いたように、水の中では、音も振動も良く伝わります。
二胡を作るには、木を良く乾かさなければいけません。
多分30年以上100年くらい。
それだけ乾かせば、普通の木なら、含水率15%位にまで落ち、
殆どが繊維質になっているはずです。
ところが、ローズウッド系や、黒檀系は、油分が多く、その油分が、
水分の抜けた後にも、残ります。
その油分が、二胡を良く鳴らすといってよいでしょう。
ところで、水分の多い木というのは、良く鳴ると思いますか?
切ったばかりの木は、叩いても、ズシッと振動はしますが、カーンとなることはありません。
響かないのです。
音が響くには、空洞が必要です。
洞窟の中は音が良く響きます。
手を叩いた時にも、掌を、ふくらませておくと良く響きます。
空間の中で、音が反復して、大きく鳴るのでしょう。
水の乾いた、木は、繊維質の小さな細胞の空間と、栄養素のもう通らない導管という、
空気の含まれている、小さな、管との集まりになります。
駒を伝わって、皮を揺らした振動は、その木の細胞と、導管を伝わって、音が拡大していき
最終的には、棹まで伝わり、全体から音が出てきます。
その時、まったく水分が無いとしたら、音はどう響くのでしょう。
音は、弦で揺れた、皮の周りが大きく響き、
水分の無い事で、伝わりにくい、棹までは鳴らさないのではないでしょうか。
良い例が、花梨です。
花梨は、大きい音がします。
内部に導管が沢山あり、その中の空気が良く反響するのです。
ところが全部、花梨でできていると、棹までは鳴りません。
油分が少ないからです。
花梨をお持ちの方は、棹を触りながら、弾いてみてください。
棹が、他の木より振動しないのが解ります。
振動した、皮が、胴の木を振動させ、その中の空気部分で音になって響き、
更に、そこに油分があれば、その振動は次に伝わりまた、導管や、乾いた細胞で音になり
又次に振動が伝わりということの繰り返しになって、
それがしまいに棹にまで振動が行きつき、棹まで鳴らす。
これが、二胡が遠鳴りする原理だと考えられます。
ですから、あまりにも油分の多い、リグネルバイダや、良く乾いていない黒檀等は、
ズシッという響きはあっても、大きな響きというのはあまり無く、
油分の少ない花梨等は、大きい音がしたとしても、遠鳴りするということは、あまりありません。
そこそこ、油分も多く、導管も多い木というのが、大きい音もし、
遠鳴りをするということになります。
バランスということでしょう。
やはりそこへいくと、ブラジリアンローズ系は、その代表格になると思いますし。
その中でも、良く乾いた、ハカランダ、は、別格だろうと思います。
経験上、楽器を作ってきた人は、それが解っているのでしょう。
不幸なことに、ブラジリアンローズ系は、美しい木です。
この200年、家具材として、その多くが、使われてきてしまいました。
おかげで、輸出規制され、今は、もう、日本には、入ってきません。
今、どこかに、忘れられていた、材料として、残っているのを、さがすだすしか方法はありません。
次に鳴るのは、バリサンダーでしょう。
これは元々ブラジリアンローズを、マダガスカル、や、西インドに移植したものと言われています。
元は、ハカランダと同系列です。
多少成長が速いためか、軽く、又油分も、ブラジリアンローズほどではありませんが、触るとぬれているような感じはあります。
又、導管の多い木です。
おかげで、今中国で、良く鳴る材料と言われている、老紅木、と言われている木を見ると、
そのほとんどが、バリサンダーです。
元の、中国で言われて老紅木という木が、何であったのかは、ついに私には解りませんでした、
多分、紫檀の中でも北方系の、柔らかいものであったのではないかと、
想像しています。
同じ樹種である場合、北に行くに従って、柔らかい素材になります。
続く
西野