二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

低音二胡考 その3.

2014-03-31 08:34:32 | ■工房便り 総合 
低音楽器だからと言って、低音(第一ポジション)だけを使うわけでもないでしょう。

もちろん、合奏などでは、それで問題ない場合もあります。

皆さん、ご存知のように、音は低くなれば低くなるほど、遠くまで届きます。

ところが、本来ならば、合奏などで、二胡と同じ数だけ低音二胡がいたとしたら、低音二胡の音が強くなければいけないのです。

オーケストラなど、ヴァイオリンが第一第二合わせて40人としたら、ヴィオラが、20人、チェロが10人、コントラバスが5人ぐらいで、全体のバランスをとりますね。(大まかに、場合によりますから)

ところが、二胡の場合、二胡と低音二胡が同じくらいでやっとと言う感じなのです。

これは皆さんも、二胡の弦樂団など聞きに行って感じられることだと思います。

低音二胡のパートが聴こえずらいのです。意外と舞台のすぐそばの席の人には問題いのですが、

120人ぐらいの客席で、真ん中から後ろのひとには、むしろ低音二胡のパートが聴こえてきづらいです。

それは、いわゆる中胡という低音楽器に大きさの割に、音圧が無いからです。

低音が遠くまで通るというのは、低音を出すための振動幕が、大きく厚いかですから、振動させる力も強くなります。

もちろん音響学的には、振動の波長が長くなり、空気中の伸びが良くなるためなどいろいろあるでしょうが、基本的には強い振動であるということが、遠くまで音が通る理由の一つではあります。

今の低音二胡と言うのは、皮の面積を大きくして、低音が出るように仕組まれていますが、

木の厚みの方は殆ど考慮されていません。

そこに、今の低音二胡の問題はあります。

最近二泉二胡にしたいと、古い楽器をお持ちの方が増えて来ています。

ここで問題になるのが、楽器の厚みなのです。

話は少し変わります。

15年ぐらい前の二胡と、今の二胡と比べると、昔の二胡の方が少しだけですが小さいのご存知ですか?

今の二胡はこの10年らい、蘇州系も音を大きくする事を求めて、胴の直径が大きくなってきています。

直径が大きくなればその分、蛇皮の大きさも大きくなります、胴の中に響く音は大きいのですが、どうしても遠くへ音が飛ばなくなってきています。

最近のこれらの大きなものを低音二胡に弦を変えて、使ったとしても、低音は良く出ますが高音部は鳴りません。

それより、昔の少し小さなものでも、皮を張りかえて、低音二胡に作ると低音も高音も大変よく出ます。

雑音も出ないですし、それまで弾きこまれてきた音色も良く残ります。

小さく作ってあっても、その大きさに比例すると胴の木の厚みが低音楽器に作ったとしても十分あるのでしょう。

大きな低音の音と言う感じはしませんが、弾きこんで皮が柔らかくなっていくと、そうとう重低音の感じは出てきます。

今の二胡が音の大きさを求めて直径だけを大きくしてきたために、その振動の強さが、ウルフ音を出してしまう事も多くなってきています。

楽器は、振動板と音色を出す裏板とのバランスです。

なまじ大きく作り始めてしまったために、重厚感も高音部の鳴りも減らしてきてしまったのではないでしょうか。


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