二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

日本製の二胡の出来上がるまで、その13(雑音は消せるか)

2010-06-18 19:09:35 | ■工房便り 総合 
雑音は消すことができる。

どうやって?

最初から自分の作った二胡では無くても、雑音は消せるようにはなった。

但し、皮をはがして、中に手を入れることができれば。

これが問題だろう。

皮は、基本的には、消耗品である。

その張り方、使い方にもよるが、10年から、15年位で、皮が疲労してくる。

普通、バッグや、服などに使う時、皮は、ナメシという工程で、柔らかくする。

ナメシの最後の工程は、油をしみこませて、柔軟性を保つようにする。

二胡の場合、これはできない。

柔らかくなってしまったら、音は出ない。

全く出ないのではなく、十分楽器として鳴るという感じにはならない。

ナメシと言う工程を経ていない分、二胡は、老化が早い。

雑音が、と、困りながらも、弾いているうちには、愛着も湧き、

皮はがしてまで、とはなかなか、思わないものだ。

ましてや、高価な楽器は、比較的雑音少なく、

安価なものに限って、雑音が多い。

ある意味、雑音が多いから、安かったというのも有るが、私としては、此処まで酷いの良く売ったな、と感心するものもある。

なまじ、紫檀だの、紅木だのと言われた楽器より、これは花梨ですからといわれ、安く買った物の方に、雑音の無い良い楽器が有ったりする。

この前の項で書いたように、胴の部分は、一枚の板から取るのが、一番雑音が無い。

花梨は、日本でも中国でも、太い材料が多く、大量に作るには、経済的に効率的である。

そのため、比較的に、同じ木から作りやすい。

当然、雑音は出にくい。

いくら良い木でも、昔の家具から、あちこち部材を寄せ合わせれば、違う木も入りやるくなる。

それにしても、やはりさすがに、40万を超えて売られるようなものは、雑音が有っては話にならない。

問題はそれより下、20万台の楽器の場合、雑音があるからと言っても、

まさか皮張り替えてまでもとは、思いにくいと思う。

そういう意味では、胴の皮を張るあたりに、手を加えなければいけない、雑音消しは、

難しい。

そういうことも有り。一度皮を張って作ったものは、鳴らしてみて、値段が決まってしまうのだろう。

これは、後から思ったことなのだが、最初の先生の時に買った6万なにがしの二胡、

その時もう二人同時に買った人がいた。

でも先生は、

はい、これ貴方の二胡、はい、これは貴方にと、配っていた。

なんとなく受け取ってはしまったが、後から考えたら、何で選べないのか、不思議だった。

みんな同じなのか?と思いこんでしまった。

それでも、やっぱり、気になるのは、その時に一緒に買った人の方が、良い音がしたような気がした。

これは、単なるやっかみ?

単に私が下手だっただけなのだが、釈然としない気持ちは、残った。

これは、今、この文を読んでいてくれる人の意見聞いてみたい。

話がそれた、雑音消しの話し。

もうひとつの、雑音消しは、皮を、加工する方法が有るということ。

今まで何台か、やってみた、かなり良好、但し、これも但しがついてしまうが、

花窓を壊しても良いなら、という条件。

残念ながら、花窓は、壊さない限り、殆どの場合取れない。

花窓は、各メーカーそれぞれに工夫していることも有り、サイズも微妙に違う。

まさかあれを、日本で作るとしたら、量産しない限り、相当な値段になってしまう。

そこまでして、という方は多いだろう。

というわけで、雑音消しというのは、一種、手術に近い物が有るが、

命に別条有るわけではないし、私としても、そこまではなかなか、お勧めできない。

私がここで言いたいことは一つ。

そろそろ楽器屋さんも、先生方も、あまりにも酷いもの、売りつけないでほしい。

特に通販の場合、クーリングオフという物が有るとは言いながらも、

二胡とは、こんなものか、と思わせてしまい、

折角始めたのに、CDから聞こえてくる音とのあまりの差に、やめてしまう人も多いだろう。

また、きちっとしたメンテもできずに、売るというのはいかがなものか?

「雑音がひどいのですが」と持ち込んでも、二胡とはそんなものです、と言われたら、

そうですかと、引きさがるしかない。

商売上、いた仕方ないとは言え、「ウチでは、自社の販売したもの以外は直しません」

と言われたら、例えば、中国や、台湾などで買ってきた人は、手の施しようがない。

二胡が出始めた10数年前と違い、最近では、中国へいって二胡買う人も多いと聞く。

楽器の値段だけ考えるとしたら、最高級と言われるものでも、日本円で15万円くらいでは買える。沢山ある中から選ぶことも可能。

また、ワシントン条約の、問題をクリアーする。許可証(sites)も比較的速やかに出ると言われる。

今までに日本で販売された二胡の数、25万本位あると言われている。

そろそろ、二胡弾く人日本人の中にも、プロやプロ級のひとたちも沢山いるようになった。

どうだろう、楽器屋さん、先生方、それから通販の会社の方、ちょっと楽器の販売の事、考えても良い時期に来てはいないだろうか?

続く

西野和宏



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