二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

 皮の扱いについて、ついでに今回の御不快のコメントについて。

2012-03-28 11:19:12 | ■工房便り 総合 
ほぉさんがなんだか赤い字で、とても大げさな感じで書き過ぎたかなというのは反省ですかね。しかし、大げさ過ぎても良い、と判断したのは私です。

と言いますのも、二胡の蛇皮にオイル系を塗る人も多く、その為に折角弾きこんだ張りが緩んでしまって光舜堂に楽器を持ち込まれる方がホントに多いのです。
ですから、多少大げさに書いたほぉさんの文章にもOKを出しました。

また今回(夾竹桃)さんという方から、御不快であるというコメントを頂きました。
成程そう思っている人も多いのかもしれません。
確かににどこの馬の骨ともわからない爺が、いきなり、二胡作りました,凄い鳴りますよ。とか、二胡はこのように扱って下さいとか、オイルを塗るなとか、2,3年の経験でお前に何が解るんじゃいとか思う方はいらっしゃるでしょう。
ましてや二胡をちゃんと本場で勉強して販売までしている方や、ちゃンとした演奏ができ、日本に良い二胡を届けようとなさっている販売会社の方はそのように思われるのかもしれませんが、もし私に対してのちゃんとしたお叱りであるならば、私もきちんとお受けいたします。
勿論私が間違っていると言うのが明確になれば、お詫びして訂正申し上げます。
ただその時には、御不快ということではなく、何が間違っているかということを、ご自身の本名で、コメントしていだだけると、私も謝りようも有ります。どうかそのようにしていただけたら幸いです。それも日本の二胡事情を少しでも良くすることにつながればと考えます。
また私のいいのができたよ、弾きに来てというのは、これは物作りみなそうだと思います。
だからこそ、展覧会もあれば、音楽で言えばライブもあるのではないですか。みな自分の自己表現をしたいのは、これはお許し願いたいものです。そして弾きに来ていただいて、ちゃんと批判、していただくのは、私にとっても技術向上の良い機会になります。まだまだ二胡作りとしては駆け出しですので、是非実際に弾いてみてからお叱り願います。

さて、本題です。

蛇皮に、オイル、あるいはハンドクリーム等は、絶対に塗らないでください。

この事、以前にも書きましたが、多少塗るなら問題は無いのも在るのです。

ただ、料理番組の、砂糖少々というのと同じで、その少々というのが量として表せません。

確かにハンドクリームを手につけて、その手で蛇皮触るぐらいなら問題は無いのですが、

今までに見た物から言いますと、それこそ小匙にいっぱいという感じで皮に塗ってしまう方が多いのです。

ホントにまだ許せるかなという量は、目薬の1滴ぐらいでしかありません。

もし、冬場の良く乾いた時に、蛇の鱗が立つような位乾いた時に、

その1滴ぐらいを丹念に皮に胴の上の方から、拭きこむ位ならば、問題は出にくいのですが。

皆さんかなり盛大に塗ってしまいます。

全体が油光するくらいです。

現行の中国製の二胡は殆どが皮張の最後に蝋引きされています。

音的な問題もあるのかもしれませんが、皮の保護というのもあるのでしょう。

しかし、その蝋分というのがどのような種類かも解りませんし、オイル系とどのような反応を示すかも解らないのです。

たしかに私も試したところ、オイルを塗ると皮が柔らかくなり、音は多少柔らかくもなります。

それも私の言うぐらいな量、目薬の1滴ぐらいです。

それを布地にしみ込ませて、それで、皮を上から、鱗に逆らわないように軽く拭いて下さい。

その後乾いた布で、再度拭きこんで下さい。

冬場に鱗が経っているぐらいならこれで収まります。

又この、光舜堂の営業を始めてからの、2年近くの間にも、数十台、

オイル塗り過ぎで、蛇皮がぼてぼてに柔らかくなってしまった二胡、見ています。

殆ど高音の出ない状態になっている二胡もありました。

様々な知識が、様々なルートで取り沙汰されています。

皮は、(どんな皮でも)オイルやワックス塗ると、柔らかくなることが多いのです。

それと、植物性、動物性のオイルはいずれ酸化して反対に硬くなってきます。

皮に付着したものでも勿論なります。

皆さんも皮のブルゾンなどの端っこが、硬くなってボロボロになったのを見たことがあると思います。

なめされた皮は、最後の工程でオイルを浸みこませて柔らかくしてありますが、手入れが悪いと柔らかさが維持できませんね。

それと同じような事が起こります。

でも二胡の蛇皮は、生の皮です。

元々蛇に含まれている脂分を持っています。

ですから、手で優しくなでてやる程度でも良いのです、手の脂分が有りますから。

しかし、ここで私もオイルは塗っても平気ですよと言ったとして、その量をはっきり言わなければ、皆さんにはその適正な量というのが判らないと思います。

つい皆さん塗り過ぎてしまうようです。

ですから、再度言います。

オイル分は塗らないでください。

音が柔らかくなるから、と言われたり、又ご自分で考えたりしたとしても、

二胡の音が柔らかくなるのは、弾き込む事だけです。

エアコンなど、あるいは、冬場の乾燥などで、音がキンキンしてきたときは、

後ろ(花窓)から息を吹き込んでやってください。

息を吹き込むのを何回か、繰り返しますと、その乾燥は取れるはずです。(在る演奏家にそう話したところ、コンサートの最中にそんなことはできない、だから少量ならばハンドクリームぐらいなら大丈夫とのこと)

確かに少量ならば、大丈夫でしょう、その演奏かもオイルは絶対駄目と言っていたのですが、皆さんが誤解しているというのもあるのかもしれません。

ハンドクリームというのをオイルもと、

水を吹けという人もいますが、これだと木が水を吸いかねません。

折角乾いた木が、水を吸うと、木が動くこともあります。

オイルと塗料が反応することも有ります。

再度言います、

皮にどんな加工がされているか、解らないですから、オイルやハンドクリーム、

あるいは皮用のワックスなど、塗らないでください。

その使う量によっては、問題の出ない場合もあるでしょう。

しかし、場合によっては、まったく復活しない場合も有ります。

この場合は、皮を、張りかえるきり方法は、ありません

皮は、二胡作っている方が、どんな考え方にしろ、
最善という形でみなさんに、お渡ししているはずです


弾き込むことが最善の、音色作りだと考えてください。

最後に、今度オイルを二胡の胴の皮半分に塗った物を光舜堂に置きます。

それが、どのように変化するものなのか、もし気になる方がいらしたら、光舜堂に見にいらして下さい。
皮の半分にだけ塗りますから、違いが良く解る事と思います。




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真の認識に至るには時間のかかるもの (hiko)
2012-03-28 16:01:44
「二胡の皮に油を塗るな」という3月20日の記事は、昔から一種の呪縛のように半ば常識化して伝えられて、ついやってしまいがちな処置に対して、きっぱりと異を唱えたもので、こってりと油を塗られてしまって可哀想で残念な状態に陥った二胡をあまりにもたくさん目にしたなかから出てきた言葉なので、それが自然に赤色大書となったものでしょう。私はむしろ微笑ましいくらいに思っていました。例えが違うかも知れませんが、津波の危険を知らせるのに「避難してください」ではなく「逃げろ!」と叫んだほうが、今の今を救うことができるのと同じように。
 私も28年前に初めて二胡を習った先生からも油を塗るという手入れを教わりましたが、そのとき先生の「うすーく、うすーく」という言葉と指先の仕草が記憶に残っていたので、二胡の皮を油浸しにするようなことはありませんでした。ちょうど一本裏の路地を油売りさんが通って行くくらいの感覚でよいのだと思います。呪縛を解くことに対しては必ず抵抗もあるでしょう。けれど、だからこそ光舜堂さんの存在価値があるのだと思います。ほかに誰もそんなことをわざわざ言ってくれる人はいませんから。
 それから、一方、「夾竹桃」さんのような少なからず悪意と偏見に染めあげられた意見だって、光舜堂さんの「商売」のやり方、あり方を見ているうちに考え方が変わってくるのではないでしょうか。どんな意見でも削除しないで載せておいた方が、あとで真実とのギャップが明らかになって、よりよい認識と理解の上に役立ってくれるでしょう。
 光舜堂さんの営業の一つ、仲介中古二胡の紹介をとってみても、二胡の売り手(元の所有者)と買い手本位で、営業利益は調整費の3,000円だけです。もし、「こんな商売許せない!」というのなら、「夾竹桃」さんの意見の意味するところがだんだんわかってきます。世間の常識からは大分はずれているという見方も成り立つかも知れませんが、二胡という楽器が好きというだけで、二胡をめぐる人間関係を大切に人間本位にできているのが「光舜堂」さんなんですよ。だんだんとそれがわかってくるまでには時間がかかるのかも知れません。
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hikoさん (nishino)
2012-03-28 18:02:31
音楽というのは、人を感動させるものです。それを表現する人が、十分に表現できるように作り上げるのが、楽器職人だと思います。またその鳴りを、いつでも良いコンディションにしておくのも、楽器職人の役目だと思います。楽器職人はその二つの事のみ商売にすれば良く、それ以外の利益はえるべきではないと思います。楽器屋さんもそうあるべきでしょう。作らなくとも、その楽器店としてのポリシーに基づいて仕入れをし、メンテナンスをすべきです。「この人が、このお店が売るなら良い物であろう」と、お客様に納得してもらえるような営業が商売ではないでしょうか。ホントに良い物であるならば、これだけ情報の得やすい世の中ですから、ちゃんと広がって行くと思います。今はむしろその情報が得やすいということが、仇になっていることも多いのですが。
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