最近、企業の組織改革の中で「心理的安全性」と言う言葉がよく言われています。
心理的安全性とは、「何でも安心して話せる環境があり、自分がそこにいても良いんだと思える環境があること」それが心理的安全性の高い組織です。
心理的安全性の高い組織は生産性が高いという報告も多く出ています。企業では組織の生産性を上げるために心理的安全性の向上を目指すのです。逆を言えば、心理的安全性の確保されていない組織では生産性が低い可能性があると言えます。
今の宝塚歌劇団は、全く心理的安全性のない組織に思えます。心理的安全性の低い組織であれば、いくら稽古しても身に付かず良い舞台は見せられないと言うことです。
過重労働を指摘され、それを劇団側も認めているとのことですが、そこが問題ではないのです。宝塚の劇団員は芸の世界に生きる人たちです。憧れの舞台に立ってトップスターを夢見て高い倍率を突破して入団された。もっと輝けるように、自分の芸を磨くために、寝る間を惜しんで稽古します。自分が他の生徒より少しでも劣っていると思えばそれこそです。それが問題なんじゃないんです。それが嫌なら諦めて退団することもできるはずです。寝る間を惜しんで稽古したとしても、体を壊すことはあっても心は壊しません。(限度はありますが)問題はパワハラとイジメです。心理的安全性が確保されていなかったことです。これまで劇団側は、過重労働は認めてもパワハラとイジメは認めていません。これでは、そこをいくら改善しても劇団が変わることはありません。
厳しい環境に身を置くことに誇りを持っている生徒やOGも多くいると聞きます。それが宝塚の伝統であり強みです。でもそれだけではダメです。「人に優しく結果に厳しく」が必要なのです。パワハラや陰湿なイジメがあれば稽古は努力ではなくなり、体罰になってしまいます。
厳しい稽古の後に寄り添ってくれる先輩や上司が必要なのです。寝る間を惜しんで稽古してる生徒がいれば体を気遣って、無理をしないように注意してくれる信頼できる先輩が必要なのです。 謝罪させたり罵ったり、パシリのようなことをして上達するはずないんです。
小林一三さんの言葉に「君が下足番を命じられたら、日本一の下足版になってみろ。そしたら誰も君をいつまでも下足番にはしておかぬ。」という言葉があります。厳しい中にも優しさを感じる言葉です。
改善には、劇団が組織を全くマネジメントできていなかったことを認めて謝罪することが必要です。心当たりのある上級生は、これまでの組織のあり方を認めて謝罪することです。それで初めて組織改革が可能になります。劇団の社会的信頼性も回復でき、ファンも安心して観劇、応援できるようになると思います。
劇団側には、1日でも早く心を改めて組織改革に取り組む勇気と決断を期待します。
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