ファイザー、新型ウイルスワクチンの緊急使用許可を申請 アメリカで初
(2020・11・21 BBC NEWS)
米製薬大手ファイザーと独ビオンテック(BioNTech)は20日、開発中の新型コロナウイルスワクチンの緊急使用許可を米食品医薬品局(FDA)に申請した。新型ウイルスワクチンの緊急使用許可申請はアメリカ国内で初めて。
FDAがファイザーとビオンテックのワクチンの安全性を判断することとなる。データ評価にどれくらい時間がかかるかは不明だが、米政府は12月前半にも緊急使用が承認されると予想している。
ファイザー製ワクチンの臨床試験の第3相では、65歳以上の接種者の94%を守ることが示された。
イギリスは4000万回分の供給を予約済みで、年末までに1000万回分を確保するとみられる。
新型コロナウイルスによる死者数が25万人を超えたアメリカでは19日、1日あたりの死者数が6月以来初めて2000人を超えた。こうした中でワクチンの必要性があらためて浮き彫りになった。
■ワクチンはいつ手に入るのか
来月前半にFDAの承認が下りれば、ファイザーとビオンテックは「承認から数時間以内にワクチン候補を配布する準備が整えられる」とした。
新型ウイルスの遺伝子コードの詳細が明らかになってから10カ月以内にワクチンの緊急使用許可申請にこぎつけた。これは、ワクチン開発としては驚くほどの速さだ。アメリカでワクチンが承認されるまでには平均で8年近くかかるとされる。
ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は19日、緊急使用許可の申請は「世界にCOVID-19(新型ウイルスの感染症)ワクチンを届けるという我々の取り組みの節目だ」と述べた。
しかし初回の供給量はごくわずかになるとみられ、最初の接種対象者は米疾病対策センター(CDC)が決めることになる。
欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長は、欧州でも年内にワクチンを承認できるよう迅速に対応すると述べた。
しかしワクチン承認には、複数の注意事項がある。ロンドン大学衛生熱帯医学大学院の薬剤疫学教授のスティーブン・エヴァンズ氏は、FDAも欧州医薬品庁(EMA)も「非常に慎重に検討する」はずだとした。
BBCのナオミ・グリムリー保健担当記者は、今回のワクチンは特に、過去に1度も承認されたことのない実験的技術を採用していることもあり、広く普及するまでにはまだ長い道のりが残っていると指摘する。