北近畿経済情報

北近畿各都市の経済ニュースを紹介。

救急受け入れわずか8% 丹波圏内で県立柏原病院

2008-08-10 | 丹波市

神戸新聞(8月9日付)より

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救急受け入れわずか8% 丹波圏内で県立柏原病院

丹波、篠山市の丹波医療圏域の中核病院に位置づけられる兵庫県立柏原病院(丹波市)が深刻な医師不足のため1-6月、同圏域内で発生した救急患者の8%しか受け入れていないことが両市消防本部のまとめで分かった。医療圏域の中核病院が5-6割を収容している淡路や但馬地域との差は歴然。救急病院として機能不全に陥っている現状があらためて浮き彫りになった。

柏原病院は救命措置や緊急手術に対応する三次救急病院として県保健医療計画で7病院の1つに位置づけられている。だが、2006年以降、麻酔科、循環器科、脳神経外科などの医師が去り、常勤医はピーク時の45人から18人に激減し、外科、内科など5つの診療科にいるだけ。夜間の救急受け入れは輪番の週1日だけで、受け入れ可能な症状は限られ、二次救急も崩壊寸前だ。

05年までは丹波市の救急患者の六割前後が柏原病院へ搬送されていたが、06年は40%、07年は30%と急減。08年上半期は12%に。隣接する篠山市からは10%前後が搬送されていたが08年上期は2%に減った。

三次救急病院の公立豊岡病院(豊岡市)は07年、同市内の91%、但馬圏域の48%の救急患者を受け入れ。県立淡路病院(洲本市)は同年、淡路圏域の59%を受け入れた。北播の5市1町にある5つの市民病院にはそれぞれ、地元住民の41-65%が搬送されている。

丹波市では柏原病院に代わる受け皿として民間病院の役割が高まっているが、京都府福知山市や西脇市、三田市、神戸市北区など市外搬送が56%におよび、搬送時間も長くなるばかり。県健康局の高岡道雄局長は「丹波の救急体制は、当面、圏域外と連携せざるを得ない。住民にとって最善ではないが、柏原病院が再生しない限りやむを得ない」としている。

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丹波地域の救急患者を引き受ける豊岡や福知山でも医師不足が深刻化している状況で、ドミノ倒し現象が起きないか非常に心配です。


眼科が不在に 常勤医がピーク時の45%に減少 柏原病院

2008-08-04 | 丹波市

丹波未来新聞(8月4日付)より

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県立柏原病院 眼科常勤医が不在に

県立柏原病院の眼科常勤医が8月1日付で不在となった。入院を伴う治療はできなくなり (白内障などの日帰り手術は継続)、非常勤と神戸大学からの派遣医師で外来診察を継続する。丹波市内で眼科の入院ができる施設がなくなった。
 
同病院は、糖尿病など、眼科以外の合併症を持っていたり、網膜はく離、硝子体切除などの手術が必要な患者の入院を受け入れていた。眼科は、昨年1月から2人だった常勤医が1人となった。非常勤医の応援で手術を継続し、入院患者の受け入れも続けていた。常勤眼科医が不在になる事態を受け以前、同病院で勤務していた3人の医師が応援し、外来診察を継続する。

昨年度の同科の入院患者数は、2,373人。外来患者は、 1万2,627人だった。

40人を超えていた同病院の常勤医は18人となり、 常勤医が在籍する診療科は、 内科 (5人)、外科 (4人)、小児科 (5人)、産婦人科 (3人)、泌尿器科 (1人)となった。

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県立柏原病院では、地域の草の根運動が功を奏し、6月に小児科常勤医が増員されたばかりですが、今回、眼科常勤医が退職し補充できないまま、今回、眼科の診療体制の縮小を余儀なくされました。

柏原病院に限らず、北近畿各都市では但馬地方や丹後地方、また福知山、舞鶴などで医師不足が深刻化しており、対策(医師が働きやすい職場環境や地域づくり)が急務となっています。


産科医の開業補助に応募なし 丹波市、募集継続へ

2008-08-02 | 丹波市

神戸新聞(8月1日付)より

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産科医の開業補助に応募なし 丹波市、募集継続へ

丹波市が、安心して子どもを産める環境を整えようと創設した「市産科医院開設補助制度」の申し込みが31日、締め切られたが、応募はなかった。新たに出産を取り扱う開業医や医療法人に対し、6,000万円を上限に補助する制度。市は募集継続を決めたが、産科医獲得の困難な現状があらためて浮き彫りになった。

同市では昨年3月、柏原赤十字病院が産科を閉鎖。唯一、出産を扱っている県立柏原病院も受け入れ数に限界がある。このため、市が本年度、産婦人科医院の開設に必要な土地や建物、設備などの購入費の一部を補助する制度を設け、6月2日から募集していた。

市は開業を支援しているコンサルタント約50社や、市内の医師らを頼って勧誘。しかし、全国的に産科医が不足化していることもあり、問い合わせはなかった。コンサルタントからは「開設費用と運営など初期投資の支援には5-6億円が必要」との指摘もあったという。

市は募集期間の延長を決定。地域医療課は「産婦人科医獲得へ働きかけを続けるとともに、より有効な方法を検討したい」としている。

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公的病院の勤務医は勤続年数が短く、医師確保が不安定なだけに、長期的な医師確保の対策として丹波市の開業医誘致には期待していたのですが、残念な結果となりました。

産婦人科は特に激務な上、訴訟事件も多発するなどし、医師不足が顕著化。兵庫県北部だけでなく、京都府北部など北近畿全域で不足しています。国立舞鶴医療センターなどでは助産師による出産などが行われていますが、やはりリスクのある出産には産科医師が必要なだけに、今後も医師確保のために、医師の働きやすい環境整備が必要不可欠になっていくと思います。


丹波県民局存続へ 兵庫県が方針転換

2008-07-09 | 丹波市

日本経済新聞(7月9日付)近畿版より

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県民局の統廃合断念 兵庫県 行財政改革2次素案

兵庫県は8日、2008-2018年度にわたる「行財政構造改革」の第二次素案を発表した。昨年11月にまとめた第一次案で目玉に掲げていた、出先機関である県民局の統廃合を二次素案では断念。二次案の検討課題だった外郭団体の見直しも小規模にとどめた。県は11年間で約1兆1,200億円の収支不足を穴埋めする見通しは一次案と変わらないとしているが、市町などからの反発を受け、「聖域」が残った格好だ。

(中略)

一次案では10局ある県民局の再編を提案。県庁や神戸市役所と重複する神戸県民局を県民センターにし、市町が減少している丹波や中播磨を廃止して5局・1県民センターにする計画だった。しかし県民局がなくなる地元市町などから「サービスが低下する」との強い反発を受け断念した。

一方、県民局内の県税、保健、土木などの事務所は削減する。現在は県内に101ヶ所あり、千葉県(75ヶ所)など兵庫県と同規模の都道府県では突出して多い。71ヶ所に削減し平均的な水準に落とす。

県民局の数は減らさないが、当初案では再編後も残す予定だった各局の部長や参事などの役職をなくすなどスリム化。事務所の再編と合わせて部長職50、所長職90など合計290の役職ポストを削減することで、県民局を再編するのと同様のコスト圧縮になると県は説明している。

(以下略)
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柏原病院の小児科医が増員へ

2008-06-04 | 丹波市

神戸新聞(5月28日付)より

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夜間小児救急、丹波地域で対応可能に 柏原病院が増員

県立柏原病院は6月1日、小児科の常勤医が1人増えて5人になるのを受け、入院が必要な夜間、土日の重症患者の受け入れ日を、現在の週3日から週6日に増やす。医師不足対策として、約2年前から丹波地域外の病院とともに輪番制を敷いてきたが、兵庫医大篠山病院と合わせて、丹波地域内で入院患者を収容できる態勢が復活する。

丹波地域では過去、夜間の子どもの重症患者は、県立柏原病院と柏原赤十字病院、兵庫医大篠山病院で受けてきた。だが、医師不足で2006年8月、地域外の病院も含めた輪番制が設けられた。現在は柏原病院が週3日、篠山病院が週1日で、残る週3日は小野市や神戸市北区の病院へかかる仕組みになっていた。

柏原病院の小児科医は2人まで減ったが、「県立柏原病院の小児科を守る会」が医師の負担を減らす運動を開始。共感した小児科医が自ら勤務を申し出るなどし、今年四月に四人に増加。6月には男性医師が新たに着任することが決まった。

小児科医は5人態勢になり、丹波市の支援で非常勤医も勤務。篠山病院とあわせ、月-金の平日午後五時から午前九時までと、土、日の週七日、丹波地域で診療時間外の重症患者を受け入れ可能になった。柏原病院の酒井國安院長は「医師が増えただけでなく、救急医療を利用する市民の意識が変わったことで実現した」と話している。だが、柏原病院には脳外科医や麻酔科医がおらず、可能な緊急手術は限られている。

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素晴らしいですね!
県北部に限らず、いたる地域で医療崩壊が続いている中、県立柏原病院の復活は大いに評価できます。そして医師確保に一番貢献したのは、紛れもなく市民の意識の変化でしょう。

現在、いわゆる「コンビニ受診」などにより医師の肉体的、精神的負担は大きくなってきており、また長時間労働により医療過誤などが起きるリスクが高まってきている現状があります。

今回の「県立柏原病院の小児科を守る会」の取組みは医師の負担を減らすだけでなく、「医師への感謝の気持ちを持つ」という医師の「やる気」を起こさせる意味でも大きいと思います。この考えが全国的に広がれば、過酷な労働環境にある医師達も少しは救われるのではないでしょうか。


石本紙工が氷上工業団地への進出中止を通告

2008-05-30 | 丹波市

丹波未来新聞(5月19日付)より

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石本紙工 氷上工業団地への進出中止

氷上工業団地内の 「丹波工場 (仮称)」 の建設工事を中止した印刷業、 石本紙工 (本社・東大阪市、 石本隼人社長、 資本金5000万円) が15日までに、 同工業団地の土地を管理する兵庫みどり公社に、 同工業団地への進出を中止すると伝えていたことが分かった。 同公社によると、 「休止」 でなく、 「中止」 と言い、 事実上進出はなくなった。 建設途中の建物と、 土地の 「後処理」 という課題が持ち上がっている。

同公社によると、 同社は、 進出中止の理由について 「業界不況など、 現場の事情」 と、 詳細を明らかにしていないという。

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同工業団地への18年ぶりとなる新規進出だっただけに非常に残念です。
聞いた話では「労使対立」や「印刷業自体の長期低落傾向」と言われていますが、果たして…。

企業誘致に関して「勝ち組」の兵庫県ですが、
主だった進出先は県南部ばかりで、県北部(丹波・但馬)へは昨年度、1件も誘致できませんでした。企業誘致、産業育成のためにも北近畿豊岡道の全通等、社会基盤整備が強く望まれます。