墨工房日記

墨職人の楽しみながらの、奮闘記

松煙用の松と松脂(ロジン)

2007年08月08日 | Weblog
工房HPのトップページには松が燃えている写真を貼っています。
この松煙を採る油ののった松はナカナカ少なく、集めるのに苦労しています。
以前、『そんなに苦労して松を集めなくても、松脂のロジンを使ったらイイ、安いし、量も確保できる』
とアデバイスを戴きました。
ロジンとは松から松脂だけを取り出したもので、主に中国、ブラジルで作られています。
 塊のロジン

用途にはイロイロあるようですが、野球選手がズボンのポケットから出しぽんぽん
白い粉で滑り止めをします・・そう、ロージンバック!その粉です。
渡りに舟!!早速、試作用に購入して煤を採り、墨にしました。
松煙墨の出来上がりです。
でも、ダメでした。
この墨は油煙墨の性質の墨になってしまい、松煙墨独特の味が出ないのです。
イロイロ考えた結果、松煙墨の微妙で、変化にとんだ味わいは単に松脂を燃やしたのではなく、一緒に燃え混じる木の灰、ロジン以外の揮発性の油分などその他の働きの賜物である!!と再認識しました。
 油ののった松

以後は、代替は無いと決め一途に松を集めています。
日本でも、この工房だけになりました。 急がず、あわてず、確実にです。