kiske3の絵日記

一コマ漫画、トホホな人の習性、

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泊まり込み 13

2006年08月07日 | ボスヒコの「恐怖夜話スペシャル」

脱衣所の扉の前でライトが一瞬薄暗くなった。思わず、高田さんの腕を掴んで
しまい、彼を驚かしてしまう。「す、すいません…。」「ああ、気にしなくて
良いよ。しかしこの電球、まだ代えてなかったんだ…。」前々から接触が悪い
電球なのは知っていたが、この現状で体験すると心臓に悪い。でも、それも
もうすぐ終わる。高田さんのケータイで全てが解決する。

用心のために音を立てずに脱衣所のドアを開けた。室内のライトをつける。

あ、忘れてた。パソコンがあったんだ。会社のウィンでメールやミクシーで
助けを求めるって手があった。返信に時間はかかるかも知れないが、外部との
繋がりは切れてなかったので少し安心する。高田さんにこの事を報告しなければ。

「ん?」

高田は何かを踏んだ。それは小さな欠片だった。よく床を見ると、大中小と様々な
大きさの欠片が散らばっている。その中から数字が書かれてある欠片を見つける。

「……これは……僕のケータイ……??」

確かめに室内へ入る2人。バラバラになっているモノは高田の携帯電話だった。
その証拠に高田が電話につけているサッカーチームのストラップも傍らに落ちて
いる。彼女は思い出した。これだけバラバラにされた携帯電話を見るのは今日で
2回目……ブタがこの会社の中にいる。ブタの侵入を防ぐ為にバリケードを作った
のに、かえってブタにとって好都合の場所となってしまった。2人は何も話さずに
状況を把握した。高田は奥のシャワー室を疑い、ドアをジッと見ている。彼女は
今来た方から来るかもしれないと考え、いつでもドアを閉めれるようにしている。

また、脱衣所前のライトが薄暗くなった。


「……おばさん?……そこにいるんだろ?……もうこんな事はやめようよ……」

高田は奥のシャワー室に声をかけたが、反応はなかった。ゆっくり近づく高田。

「……いるんなら、返事をしてくれよ……。……いるんだろ!返事をしろよ!」

シャワー室のドアノブに手をかける高田。彼女は脱衣所のライトが薄暗いままに
なっているのに気づく。疑問に思った彼女は脱衣所前のライトの下まで出て来た。
トイレの方角から何か音がした。下水の音? ドアの音? 全身に鳥肌が立つ。

「…前もって言っとくけど!こっちは武器を持ってるからな!抵抗するなよ!」

高田がドアを開けると同時に会社中のライトが一斉に消えて真っ暗になった。

「うあぁぁぁっ!!な、なんだ?!!停電か?!!」
「きゃあぁぁっ!!何何何何???何?もう!やめてぇ!!」
「なんだ?!!どこにいる?!!どこいった?!!ババァ!どこだぁっ!!!」
「高田さん?!どこ?!!どこなの!??!トイレの方から何か音がっ!!!」
「ええっ!?!?!何だって!!??トイレ!??」
「そ、そうよ!!トイレの方からよっ!!どこなの!?高田さんっ!!!」
「こっちだ!!!こっちだよ!!!そう、そうだ、ここだ!!!」

ライトが突然ついた。高田が掴み寄せたのは彼女ではなく、ブタだった。










おいおいおい、もうヤメてくれよ。              ボスヒコ

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