ブタの事で知っている《真実》
検死の結果、ブタの体中に古い傷の後が大量にあった事が判明する。それは
両親の虐待を受けていた過去を意味するものがほとんどだった。
ブタが10歳の時に、近くの湖で母親が溺死体として発見される。事件性が
薄いと判断されて、自殺として片付けられた。
急に都会生活を強いられたブタは苦痛の毎日だった。ブタの性格に徐々に
暴力性が現れてきた事をオーナーである父親は知らなかった。アルバイトを
休みがちのブタに対して、注意と言う折檻をする父親に今までのストレスが
爆発し、ブタは父親の首を絞めて殺害したのである。狂気の末、父親の首を
切り落としている。初めて味わう快楽。その後、異常性を発揮して行く。
ブタを悩ませたのは死体処理だった。どこかに捨てようにも発見される
可能性が高い。運転免許がないブタにとって、自分の私有地の山に
埋めに行く事も出来ない。ブタが考えた証拠隠滅は「喰う」事だった。
喰ってしまえば、何も残らない。死体遺棄であり、死体損壊。常軌を逸した
人間の思考は私達には理解できないが、ブタにとってはその方法以外は
考える事が出来なかった。早速、米国製の業務用冷蔵庫を購入する。
ずさんな調理で肉を頬張り、作りすぎた肉は刻んでゴミ捨て場に捨てていた。
しかし、都会には肉を捨てている事をバラす犯人がいる。それはカラス、犬、
猫などの畜生だった。奴らが全て喰ってくれれば言う事はない。だが、奴らは
散々荒らしまくって食べ残す。成長した犬を飼って喰わす事も考えたが、人間
同様に動物と過ごす事もブタには出来ない。畜生ごときでバレる事はないと
思っていても、2階の窓からゴミ捨て場を見張るのがブタの習慣となっていた。
ある日、近所の浮浪者がゴミ箱をあさって、肉を喰ったのである。それが
きっかけとなり、ブタは肉を捨てるより、他人に喰わして証拠隠滅を計る
ようになった。調理して作りすぎた肉は、“おすそわけ”として近所の公園で
たむろしている浮浪者や路上生活者に振る舞った。彼らのほとんどは礼を
言うが文句は言わない。喰わなかったり、喰い残す奴は殴って喰わした。
同時期に、ブタが働いているコンビニの弁当に何件かクレームが出ていた。
そして、証拠隠滅が目的で「喰う」という手段を使っていたのだが、気づけば
人肉を喰らう事が目的となっていた。今まで虐められて「人に喰われる」
人生だったブタは、今度は逆に、読んで字の如く、人を喰う側になったのである。
怒濤の最終章、おたのすぃむぃぬぃ!! ボスヒコ
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