みんなのマンション

輪番制で、マンション管理組合の理事になった一素人(現在理事長)が、あれこれ考えた事、見た事、調べた事。その他諸々。

競馬について雑感(2)

2006年10月06日 | その他
さて、現在競馬を離れた私が、競馬について考えた時に気になるのは、その「影」の部分です。

以前、知人のTVカメラマンが言っていたのですが、その人は競馬場の馬場を歩いた事があって、その時の芝の固さに驚いたそうです。
彼は「これじゃ馬も骨折くらいするなと思った」と言っていましたが、そう、有力馬と言われる馬ほど、よく骨折とか屈腱炎(くっけんえん=競走馬の脚の難病。屈腱が炎症を起こして腫れあがり、完治しにくい。えびはら。[Yahoo!辞書=大辞林 提供:三省堂 より])などを発症しやすいのです。
ひどい場合には、引退とか安楽死などを余儀なくされるのですが、そういうケースはけして稀ではないのです。
競馬という産業は、多くの馬の、文字通り体を張った犠牲の上に成立しているものなのだと言えます。

気になる「影」の部分のもう一つは、競馬は間違いなくギャンブルであるという点です。
JRAのCMなどは、一昔前からずうっと、競馬はロマンである、ドラマである、といった感じのものを作っているような気がします(最近はTV自体あまり見ないのでよくわかりませんが)が、ギャンブル性を抜きにして、競馬は成り立たないものです。
単なる個人的な印象ですが、競馬ファンが競馬について語る時に、競馬ファン同士ではギャンブル的な話が多く、ファンでない人向けにはドラマ的・ロマン的な話を持って来る場合が多い感じがします(いや、私の知人がそうだったもので・・・)。
それはともかく、ギャンブルであるという事は、つまり早い話が、それで人生を狂わせている人が多いという事を意味します。
「ギャンブル依存症」と言われるものですね。
「依存症」というのは、その人の精神的な弱さから来るもので、気持ちがしっかりしていれば克服できる、というような考えの人が多いのですが、実はそうではありません。
「依存症」とは、それがアルコール依存であれ、ギャンブル依存であれ、薬物依存であれ、何であれ、間違いなく「病気」であるという事です。
「病気」であるという事は、つまり、ちゃんとそれ相当の「病院」で「治療」が必要であるという事を意味します。
以前、TVで、「夜回り先生」こと水谷修氏の講演会を放映していましたが、そこで水谷氏は「風邪をひいた時、気持ちで治しなさい、と言いますか。そんな事は言わないでしょう。病院に行くはずです。依存症も同じです。依存症は気持ちでは治りません。治療が必要なのです」といったような事を言っていました。
水谷先生の話は薬物依存についての事でしたが、ギャンブル依存についても全く同じ事が言えます。
タバコを買ったら、必ず箱には「吸い過ぎに注意しましょう」と書いてあります。
最近は、あの悪名高い消費者金融でさえ「STOP借り過ぎ」みたいなCMを流しています(まぁ、やむを得ずポーズでやってみました的な感じはありますが)。
JRAも、そろそろ「賭け過ぎ(?)には注意しましょう」みたいな広告を実施しても良いのではないでしょうか。
私自身は自分がギャンブル依存だったとは思いませんが、そうなる要素は少なくなかったと思います。
というか、自分はそうなる可能性は全くないと言い切れる人は、果たしてどれだけいるでしょうか。
ギャンブル依存の問題は、日頃あまりマスコミ、メディア等でクローズアップされる事はありませんが、確実にこれで苦しんでいる人たちは存在します。
依存症に対する正しい理解と、公的対策が進む事を願います。



ギャンブル依存症」(田辺等著・日本放送出版協会)
ギャンブル依存について、簡潔によくまとめられている本です。
この問題を考える上で、とても参考になります。