みんなのマンション

輪番制で、マンション管理組合の理事になった一素人(現在理事長)が、あれこれ考えた事、見た事、調べた事。その他諸々。

エレベーター死亡事故2年

2008年06月10日 | エレベーター
港区のマンションで、シンドラー社製エレベーターの死亡事故が発生してから、6月3日で、丸2年になるのだそうです。
以下に関連の新聞記事を掲載しました。
どうも、シンドラー社の立件は難しく、保守管理業者のSECが立件される見通しのようです。
ご遺族としては、おそらくそれでは納得が行かないでしょう。

「原因の説明も、遺族以外の同席を認めないだけでなく直接スイスに来るよう求めるなど、誠実な態度が感じられない」というのがもし本当であるならば、シンドラー社の、企業としての姿勢に疑問を感じざるを得ません。

ただ、保守点検業者が立件される見通しであるという事は、いろいろ考えさせられます。
「海外のギシギシすごい音がするエレベーターに比べれば、日本のエレベーター技術はしっかりしていて、とても安全です」みたいな話をよく聞きますが、こうした話も額面通りには受け取れない雰囲気になりつつあります。

いずれにせよ、人の生命を預かる機械なのですから、業界全体が安全性向上と信用回復を目指して頂きたい。
そして、マンション管理組合という立場で申し上げれば、住民側(=利用者側)も、しっかり業者を監視し、ただ安いからという安易な理由で業者を選んだりするのでなく、安全性や、技術的レベル、危機管理等について、どこまで配慮されているか、住民全体がそれを納得できるか、といった事まで、充分に考えなければならないのだと感じます。

改めて、被害に遭われた方のご冥福をお祈り致します。


エレベーター死亡事故2年、再発防止へ遺族らが署名提出

東京都港区のマンションのエレベーターで都立高校2年、市川大輔さん(当時16)が死亡した事故から丸2年となった3日、大輔さんの母、正子さん(56)らは東京地検を訪れ、事故の再発防止と原因究明を求める署名を提出した。正子さんらは同日午後にも同様の署名を国土交通省と警察庁に提出するという。

正子さんらは昨年、大輔さんの同級生の有志らと「赤とんぼの会」を発足させて署名集めを開始。全国で約13万人分の署名が集まった。正子さんは「署名を通じて励ましの手紙をもらった。署名活動は要求が実現するまで続けたい」などと話す。

事故から2年が過ぎた今も正子さんはエレベーターに乗ることはできない。「恐怖感が今でも消えない。心の整理は全く進んでいない」という。事故原因について警視庁などの捜査が続いているが、正子さんは「原因究明を目指す第三者機関が必要だ」と訴える。

(2008年6月3日 日本経済新聞)



エレベーター高2死亡事故、点検作業員を6月中にも立件

東京都港区のマンションのエレベーターで都立高校2年、市川大輔さん(当時16)が死亡した事故で、警視庁は3日までに、事故機の保守管理業者「エス・イー・シーエレベーター」(台東区)の点検作業員を月内にも業務上過失致死容疑で立件する方針を固めた。エス社の作業員が事前の点検で事故機のブレーキ部分の異常を見落としたことが事故につながったとの見方を強めた。

製造元の「シンドラーエレベータ」(江東区)については、事故機の動きをコンピューター制御する制御盤などに構造上の欠陥はなかったとして、刑事責任は問えないと判断したとみられる。

(2008年6月3日 日本経済新聞)



芝のエレベーター事故死:シンドラー会見「遺族に原因説明したい」/東京

◇被害者側、「態度不誠実」と反発

港区のマンションで06年に起きたエレベーター事故で亡くなった都立小山台高校2年、市川大輔さん(当時16歳)の事故から2年が経過した3日、「シンドラーエレベータ」のスイス本部の代理人が都内で会見し、「事故直後と違い、捜査に支障のない範囲で遺族に事故原因を説明する方針に変わった。今後も遺族との接触を続けたい」と述べた。

代理人の楠元みのり氏によると、同社側は当初、捜査への影響を考慮し、遺族への説明を一切拒んでいた。しかし、遺族に不信感を与えたため、昨年4月から数通の手紙を送付。事故を謝罪した上で、捜査への影響がない範囲で事故原因を説明する準備があることを伝えたという。

楠元氏は「今も遺族の心痛が癒やされていないのは耐え難いこと。依然として会社側の説明を聞いてもらえないが、今後も遺族にアプローチしたい」と話す。

一方、遺族の代理人は手紙があったことを認めた上で「『哀悼の意』という文字はあったが明確な謝罪の文章はない。原因の説明も、遺族以外の同席を認めないだけでなく直接スイスに来るよう求めるなど、誠実な態度が感じられない」と話しており、平行線が続いている。【川上晃弘、古関俊樹】

(毎日新聞 2008年6月4日 都内版)



エレベーター高2死亡事故あす2年  シンドラー立件、焦点

東京都港区のマンションで二〇〇六年六月、都立高校二年市川大輔(ひろすけ)さん=当時(16)=がエレベーターに挟まれて死亡した事故から三日で二年。警視庁捜査一課は直接の事故原因の解明をほぼ終え、業務上過失致死容疑で保守点検業者を立件する方針だが、最大の焦点は製造元のシンドラーエレベータ社(東京都江東区)の刑事責任を問えるかどうか。同課はさらに関係者から事情聴取を重ね、東京地検などと慎重に協議を進めている。

同課の調べで、かごが突然上昇したのは、機械室内のブレーキパッドが摩耗していてブレーキドラムを制止できなかったことが原因と判明。鑑定や再現実験を重ねた結果、同課は、パッドを制御する電磁コイルの損傷により、パッドとドラムが接した状態で運転が続き、徐々にパッドが摩耗したとみている。

同課は、保守点検を担っていた「エス・イー・シーエレベーター」(台東区)が事故の九日前に定期点検した際、パッドの摩耗を見落とさずに部品を交換するなど適正に対応すれば事故を防げたとして、点検作業員らを立件する見通しだ。

一方、シンドラー社は事故機を製造して一九九八年に設置し、〇五年三月までは自社で保守点検もしていた。だが事故当時は、部品交換など事故を防ぐ直接の手だてを講じる立場にはなかった。

ただ、同課などによると、事故機ではシ社が保守点検していた当時から目標階で停止しないなどの不具合や故障がたびたび生じていた。しかし、シ社はトラブルについて十分な情報をエス社に開示していなかったという。

原因解明と安全 両親、国に要請へ

市川大輔さんの三回忌となる三日、父和民さん(54)と母正子さん(56)は東京地検と警察庁、国土交通省に約十二万人分の署名を添えた請願書を提出する。その骨子は速やかに事故原因を徹底解明し、安全なエレベーターに利用者が安心して乗れるようにすることだ。

事故後も、シンドラー社による点検作業資格の不正取得が明らかになったり、別の大手メーカーがずさんな保守点検を続け、六本木ヒルズのエレベーターでは火災が発生した。

両親は業界にはびこる安全軽視の体質を耳にする度に「やっぱり息子は殺されたんだ」との思いを強くしてきた。「このまま何も変わらな「のでは突然奪われた息子の命が浮かばれない」。事故の背景まで含めた徹底的な原因究明と再発防止を強く願っている。

<シンドラーエレベータの事故> 2006年6月3日午後7時20分ごろ、東京都港区芝のマンション「シティハイツ竹芝」の12階で止まったシンドラー社製エレベーターから、市川大輔さんが後ろ向きで自転車を押しながら降りようとした際、扉が開いたままかごが上昇し、かごの床面と乗り場の外枠に体を挟まれて圧死した。事故後、全国のシンドラー社製でトラブルが多発していることが表面化し、国交省は同社製全機の緊急点検を要請した。

(2008年6月2日 朝刊 東京新聞)

EV保守点検業者社員の資格問題

2007年04月01日 | エレベーター
エレベーターの保守点検会社の問題が、ニュースになっていました。
社員の資格の問題で、資格がない、あるいは資格を詐称していたという事です。
管理会社や管理組合では、正直ここまではチェックできないので、業者の良心を信用するしかないのですが、これが一部の業者の話なのか、業界全体の問題なのかが知りたいところです。

エレベーター会社、また不正 大卒なのに「中卒」、資格のため詐称

エレベーター保守会社の社員が実務経験年数を詐称してエレベーターの法定検査の資格を不正取得していた問題で、大学卒の点検員が中学卒とあえて学歴を低く詐称して検査資格を得ていたケースが30日、新たに別の社で発覚した。

「エス・イー・シーエレベーター」(東京都台東区)が30日、社員2人が他社に在籍時、経歴詐称して資格を得ていたと発表。うち1人はメーカー系社員で32歳だった98年、大学の文系卒で実務経験が9年余りと当時の条件の15年以上に満たないため、つじつまを合わせようと、中学卒と虚偽申告していた。「会社に指示された」という。もう1人は国土交通省が厳重注意したハイン社の退職者。エス・イー・シー社は、東京都港区の公営マンションで昨年6月、死亡事故が起きた当時の保守会社。

(2007.03.31 朝日新聞)



EV死亡事故、点検員資格なく・警視庁、保守会社の体制調査

昨年6月、東京都港区のマンション「シティハイツ竹芝」のシンドラーエレベータ社製エレベーターで起きた死亡事故で、事故機の保守点検を担当していたエス・イー・シー・エレベーター(東京・台東)の点検員が、法定定期検査に必要な昇降機検査資格を取得していなかったことが30日、分かった。

事故機の法定定期検査は昨年9月の予定で、同社側は「法律上の問題はない」と説明。事故前の日常点検にこの資格は不要だったが、警視庁捜査1課はブレーキ系統の不具合を点検員が見落としたことが事故につながったとの見方を強めており、経験の浅い点検員1人で事故機を担当させていた同社の点検体制を詳しく調べている。

(2007年3月31日 日本経済新聞)

エレベーター保守費用について

2007年03月23日 | エレベーター
(3月理事会)

これは12月9日のブログに書いたことの続きになります。

現在のエレベーター(2基)の保守費用(某大手業者)が約17万円。
一方、某独立系業者の見積額が約10万円。

そこで、管理会社に、現行業者に再度見積を出してもらうように頼み、その結果が出て来ました。

見積額:約17万円→約16万円(1万円値引)

しぶっ! むちゃくちゃ、しぶっ!!
さすがに大手業者。強気ですなぁ。
書籍やネットでは、独立系の見積を提示したら、半額近く下げて来たとか、そういうエピソードが聞かれますが、どこでもうまく行くとは限らないのね。

たしかに、今、エレベーターの事故が盛んに報道されています。
独立系の業者の名前も聞かれます。
こうなると、業者変更に対する住民の理解は得にくくなります。
そこまで見込んでの、大手業者の強気の対応なんでしょうか。

では、さて、これ以上は、打つ手無しなのか。
理事会では、今後の対応までは話が及びませんでしたが、これで諦めてる場合ではないですよね。やっぱり。

それはそうと、エレベーターの保守点検費の問題って、1年ずっと問題になってたような気がしますが、未だに決着できない(先が見えない)というのは、問題自体の難しさという事なのか。
それとも、理事会だけで解決するには、そもそも無理がある問題なのか。
あるいは、管理会社に時間稼ぎされているというべきなのか・・・。

エレベーター保守点検費用

2006年12月25日 | エレベーター
エレベータ2基

現在大手某メーカー系業者=月約17万円
某独立系業者(見積額)=月約10万円

管理会社見解:メーカー系の方が良い(長い目で見ると得、緊急時の対応が良い)

理事会結論:現行業者と、独立系業者の比較検討をしつつ、現行業者への値下げ交渉を進める
12月9日付参照)

エレベーター管理保守費について

2006年10月15日 | エレベーター
8月29日10月13日の記事にも書きましたが、当マンションでは、管理費削減策の一環として、エレベーターの管理保守費の問題が、話し合われています。

やはり各種管理費支出の中でも、エレベーター関連の費用はバカにならず、また交渉によっては下がる可能性が高いというイメージがあるのでしょうか。1期目の時から、理事会の議題として取り上げられていたようです。

これも10月13日のおさらいになりますが、エレベーター管理保守費の問題を考える上で、ポイントになる点が2つあります。

(1)「フルメンテナンス契約」か。「POG契約」か。
(2)現行業者のまま(メーカー系)か。業者を変更する(独立系業者)か。

※フルメンテナンス契約=ほぼ全ての部品交換・修理・調整等を含む契約
 POG契約=点検・調整・消耗品の交換しか含まず、修理費用・修理部品代は別途請求になる契約

各種書籍を見ると、だいたい以下のような事が書かれています。

●築年数の浅いマンションであれば、POG契約にするのも、選択肢の一つである。
●独立系業者はもともとメーカー系の下請だった所が多く、技術的な能力に差はない。
●かつては、メーカーの系列以外への部品売り渋り等があったが、公取委の指導等が入り、現在は部品調達には問題がない。

一方、当マンションの管理会社は、以下のように言っています。

●長い目で見ると、フルメンテナンス契約の方が得である。
●何かあった時の、緊急時の対応が違う。(メーカー系の方が対応が速い)
●部品の発注も、独立系の方が、費用・時間がかかる。

当マンションでは、相見積を取って、現行業者と交渉をしていくという選択をしましたが、やはり、いきなり業者を変更するという思い切った対応は、なかなか取りにくいものがあります。

また、フルメンテナンス契約かPOG契約かという問題も、POGの方が得であるという確たる根拠がない上に、エレベーター保守点検業者や管理会社がフルメンテの方が得であると説明している以上、それでもPOGを選択するという事は、なかなか考えづらいのが現状です。