10月に見つけた野草の花(長崎県)
ツチトリモチ(土鳥黐)
Balanophora japonica Makino
ツチトリモチ科 ツチトリモチ属
花期 : 10~11月
生育地 : 丘陵地、低山の自然林林床
分布 : 本州~九州
RDB指定 : 環境省カテゴリ:なし 長崎県:準絶滅危惧種
長崎在住時には毎年観察していたツチトリモチだが、大分県に転居してからは見かける事がなかった
今年(2021年)は、機会に恵まれ3年ぶりに長崎でその奇妙な寄生植物に再会できたのだ
地上に出現しているものはキノコにしかみえないだろうが、クロキ等の樹木に寄生する離弁花類の花序なのだ
花自体は表面からは見えないので、受粉はどのように行うのか? と疑問を持つのだろうが、ツチトリモチはアポミクトなので心配は無用、受精する事なく種子を生産できるのである
ツチトリモチは雌雄異株なのだが、アポミクトなので雄株は無用、実際雌株しか存在しないようなのだ
通常寄生植物は宿主へ自己の組織を侵入させて栄養を横取りする訳だが、ツチトリモチは逆なのだ
ツチトリモチは、自己の塊茎内に宿主の根を誘引し、樹状に分枝させて栄養を摂取してしまう
どのような仕組みで根を誘引するのかは、調べたがわからなかった
種子の散布は、昆虫や小動物が関与していると推測されるが、具体的にはわからない
下図は花序の表面を拡大したもの
表面は棍棒状の小棍体で覆われ、雌花はその間に埋もれて見えない
成熟すると、花柱が伸長し、小棍体の間から外に現れる
大分県では絶滅危惧ⅠB類との事で、こちらで観察するのは難しいだろう
私は未見だが、ミヤマツチトリモチの方が観察できる可能性は高そうだ
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ツチトリモチ 長崎県