KIMISTEVA@DEEP

新たな「現実」を構成するサブカルチャー研究者kimistevaのブログ

てなわけでコムスン

2007-06-08 14:04:57 | ニュースと政治
最近は、介護職に関するニュースが多いですね。
今度は、コムスンですか。

わたしと同じ学部出身で、コムスンに就職が決まっていた
わたしの知り合いが、
「介護派遣会社コムスンの限界」というテーマの卒業論文を書いていて、そのときは爆笑しましたが、笑いごとではなかったんだなぁとあらためて実感します。

でも、きっとこれから先、
主に男性週刊誌の言説でたたかれる中で、
「結局、ジュリアナ東京だろっ!金儲けだろ!」みたいな言われ方するんだろうなぁと思うと、今からとても不憫です。

耳学問で申しわけないが、マクロ経済学の授業でM.フリードマンの議論にちょこっと触れていたわたしとしては、金儲けが悪いとはちっとも思わない。
たとえ、介護だろうが、福祉だろうが、
そこに価値の交換があってしかるべきだし、
「福祉は優しさ」「介護は優しさ」という「タテマエ」がどれだけ、現場の人々を苦しめているかを考えると、
本気で、「お金のこと考えて何が悪い!」と言いたくなる。

とはいえ、最近の記事を見てると、
コムスンの搾取っぷりはものすごいらしいので、むしろそれが、糾弾されるべきだろうと思っている。

金儲けはいいんだよ。
だって、人に役立つこと、人が欲することをやって結果的に金持ちになるなら、それはすばらしいことじゃないか。
わたしは、ビル・ゲイツをそれなりに尊敬する。


だけど、搾取はいかんよ!搾取は!
特に、福祉は「やさしさ」をタテマエに搾取がはたらきやすいから怖い。
実際、今でもあたりまえに「介護は嫁の無償労働」と考えている輩は多いわけだし、いたるところで搾取の嵐なのだ、この業界は。


だから、
コムスン問題を、「福祉で金儲けしようなんて!」という議論にもっていかずに、きちんと、「現場の労働者を搾取していたなんて!」という議論にもっていってほしいと、わたしは切に願っている。


なんだか、「赤」っぽい議論だといわれて非難されそうですが、
そういう視点でしか見えてこないものは、確かにあると思います。
「社会学はマルクスから始まるひとつの宗教」と教育社会学のO先生はいいました。
そんなわけで、そういう視点もアリかと。
経済学でしか見えない事実があるように、社会学でしか見えない事実もあるはずです。

少なくとも、
介護の問題を、「やさしさ」の問題にしてきた結果、
介護の現場がさまざな側面で破綻してきているのは事実なのだから、
これまで当たり前に前提としてきたことを見直す時期にきていることは確かではないでしょうか。


ちなみにわたしが、大学に入ってはじめて書いたレポートのテーマは、
「売春はいかにして労働になりうるか」
というものでした。
社会学で「感情労働」と呼ばれる…そういうプライベートな感情や「やさしさ」やアレコレを売り買いするということには、いまだにすごく興味があります。