新装!中島賢介研究室

勤務大学における授業内容や雑談に関する説明などを中心に綴ります。よかったらお立ち寄りください。

作家と作品について

2020-11-13 14:43:45 | 授業
2年ぶりの投稿になります。
皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
今年度も「児童文学」「郷土の文学を楽しむ」「教育学文献講読」といった科目を担当しています。
今年度はコロナ禍の状況にあるため、他大学同様感染防止対策をとった授業形態となっています。
前期の「児童文学」や「教育学文献講読」についてはほとんどが代替授業となってしまったため、
講義資料を例年の倍以上に増やして代替課題にあてるなど、学生も大変でしたが教員はさらに大変でした。

今年度は、授業の他に某文化センターからの依頼を受けて文学に関するフィールドワークを担当しています。
その案内記事をご覧になった方から、お手紙と冊子をいただきました。
そこには、ある作家についてのコメントが添えられていました。
ご本人の了解がないのでお手紙の内容について詳しくは申し上げられませんが、
明らかに作家論と作品論を混同している内容でした。

私は作家の生き方がこうだから作品はこう解釈されるべきだ、
こういう作品を書いたのだから、作家はこういう人物に違いないという「方程式」は存在しないと考えます。

作者が自分自身の生き方に反する内容の作品を書くことだって十分に考えられるからです。
具体例を挙げれば、戦時における文学作品がその一つでしょう。
作家本人は戦争を決してよいものだとは考えていない。
しかし、当局から肯定的に書くよう指示があった場合、反体制派とされ投獄されないために戦争肯定の作品を
書かざるを得なかったという場合も考えられるのではないでしょうか。

よって、いただいたご意見については賛成しかねます。
少なくとも私は「戦時の文学」を研究することはあっても「戦争責任糾弾のための」研究はしません。
これがお手紙をくださった方へのお返事です。

せっかく書いてくださったお手紙にも関わらず、このようなお返事になってしまったことを
大変心苦しく思います。ご容赦のほどお願いいたします。

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