新装!中島賢介研究室

勤務大学における授業内容や雑談に関する説明などを中心に綴ります。よかったらお立ち寄りください。

神技と神の業

2015-06-17 02:17:12 | 日々新
教会学校で以前、「神技と神の業とは違うものだ」という話をしたことがあります。
いや、同じだと答えたくなる人もいらっしゃるかもしれません。
テレビ番組でも、神業をやってのける人に対して、
「この人はカミだ。カミ、カミ!」と連呼するタレントさんもいらっしゃいます。
果たしてそうなのでしょうか。

神技とは、普通の人にはできない業、言い換えれば「離れ技」を指し、
神の業とは、すなわち神が人間に対して働きかける救いの御業を指します。
宗教を必要としない人にとっては同じことかもしれませんが、
そこに救いを見出すかどうかは宗教を必要とする人間にとって
極めて重要なことです。

こうした言葉一つとってみても、道徳の時間がいかに難しいかは一目瞭然です。
国内にも実に多くの宗教があり、それぞれが価値あるものとして
尊ばれなくてはなりません。
宗教を政治に利用することも避けるべきでしょう。
そのことは無神論の方であっても同様のことがいえると考えます。
言葉は大変難しいものですね。それ故にお互いに大切にしたいものです。

児童文学を楽しむ

2015-06-14 21:32:53 | 授業
先週の児童文学では、『小公女』のブックトークを行いました。
バーネットによる同作品と『小公子』との比較や、
明治中期の翻訳者若松賤子について、
更には当時のアメリカとイギリスの文化的相違、
イギリス植民地としてのインドなど背景を探ることで見えてきたことなどを話しました。
子どもの頃には決して見えなかった事柄がわかるとあって、
学生たちもとても興味を持って聞いてくれます。
世界の歴史や文化を学ぶとき、こうした授業があったらもっと楽しく取り組めたのに、
そういう声が聞こえてきます。

そして、「我が国がいかに文学を生かした授業をして来なかったか」ということがわかります。





児童文学を楽しむ

2015-06-06 11:49:01 | 授業
 2015年度の児童文学は、従来のシラバス学修内容に加え、学生と教員のコラボ企画によるブックトークを行っています。
 (シラバスには「ブックトークをする」という内容は予めきちんと記載されていますことを申し添えます。)

 中間報告として、これまでのブックトークをごく簡単に紹介します。

第1回 『ピーター・パン』 担当 中島
テキスト内容に加え、イギリスにおける児童移民に関する話題を提供しました。

第2回 『星の王子さま』  担当 A君
作品冒頭における「献辞」の内容を取り上げ、作者の友人関係へと話題を広げました。

第3回 『はてしない物語』 担当 B君
テキストから本の装丁や『モモ』につながる時間概念や聖書の考え方へとつなげました。

第4回 『ハーメルンの笛吹き男 担当C君
ゲーテの詩やエンデの『ハーメルンの死の舞踏』などを関連づけました。

第5回 『十五少年漂流記』 担当 Dさん 
ロビンソンクルーソー変形譚や教育現場への導入などについて考えました。

第6回 『不思議の国のアリス』担当Eさん 
地下世界への憧憬と特定の子どもたちに対して語ることについて話題提供をしました。

 これらの作品は、すべて学生たち自らが設定し発表してもらうことになっています。大変なのは担当教員です。
 学生の希望を聞いてからの授業準備ですから、当然講義までの内容には至りません。
 しかし、このスタイルにしてからというもの、例年にはない学生の主体性が感じられるようになりました。
 何しろ学生たちは、自分の子どもの頃読んだ思い入れたっぷりの作品を紹介するわけですから、
 その態度たるや堂々としています。
 全員の前で照れながらも真剣に発表してくれるようになりました。
 発表を聞いている学生たちからのコメントペーパーの内容も随分変わりました。
 これからも実り多い授業を目指していきます。受講生の皆さん、今後も乞うご期待。