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新装!中島賢介研究室

勤務大学における授業内容や雑談に関する説明などを中心に綴ります。よかったらお立ち寄りください。

北陸学院をつくった女性宣教師たち

2021-04-09 13:23:27 | 研究
昨年度から、金沢中日文化センターからの依頼を受けて、
「ミッションの中島教授による金沢文学散歩」という講座を担当しています。
これまでの文学散歩
第1回 石川近代文学館 郷土文学全体の理解
第2回 徳田秋声記念館 徳田秋声の生涯と作品
第3回 泉鏡花記念館  泉鏡花の生涯と作品
第4回 室生犀星記念館 室生犀星の生涯と作品
第5回 金沢ふるさと偉人館 ふるさとの偉人の足跡を辿る
第6回 金沢くらしの博物館 金沢の暮らしを振り返る
これまで、各館の学芸員の方々に興味深いお話をうかがいながら、
参加者の皆様と楽しく有意義なひと時を過ごしてきました。

次回は、北陸学院ウィン館です。
来週月曜日から12月17日まで、2021年ウィン館特別展示
「北陸学院をつくった女性宣教師たち Three Female Missionaries」
の開催に合わせて、4月16日(金)午後より文学散歩を行います。
金沢といえば、妙立寺(忍者寺)や尾山神社など有名な寺社仏閣が多いことが有名ですが、
市内にキリスト教会も多く、北陸学院は地元の方に「ミッション」として親しまれています。
今回の展示では以下の3名の女性宣教師たちの足跡と働きを特集しています。
メリー・ヘッセル   金沢女学校創立者
フランシナ・ポーター 英和幼稚園・小学校創立者
アイリン・ライザー  北陸学院保育短期大学初代学長

宣教師たちの第一の目的キリスト教伝道でしたが、
彼らのもたらした西洋文化や技術は北陸の地に
少なからず影響を与えます。
私がいくつか紹介した後、館長の山本悦子先生のお話をうかがいます。

詳しくは金沢中日文化センター
https://www.chunichi-culture.com/center/kanazawa/index.html
まで。

へリゲルに学ぶ

2014-01-30 09:36:30 | 研究
3月に石川日独協会が主催する講演会でオイゲン・へリゲルを取り上げられる予定になっています。
そのこともあって、岩波文庫から出版されている彼の講演録『日本の弓術』を読み直しています。
最初に読んだのが、学生時代だったように思います。
比較文学ゼミでは、ドイツ神秘主義思想を学んでいる先生や先輩たちに囲まれ、
マイスター・エックハルトを皮切りに、卒業論文で取り上げたアンゲルス・シレジウスまで、
翻訳されたものを中心に買ったり借りたりしながら読んでいました。
『日本の弓術』の中にもマイスター・エックハルトが登場します。
恐らくその関係で読んだのではないかと記憶を辿っています。

オリンピックなどでも、科学を取り入れたスポーツが発展し、日々刻々と技術は精度を増しています。
また、精神面においても、心理学理論などを用いたメンタルトレーニングが重要視されています。
しかし、『日本の弓術』の内容は、その真逆を突き進んでいます。
「的をあてることを考えるな、ただ弓を引き矢が離れるのを待って射あてるのだ」
「一旦弓を引き絞れば、沈思の状態は決定的となり、引き絞っていればいるほど沈思は深められ、
その後の一切は意識の彼方で行なわれる。射手がは矢が放たれた瞬間に初めて、ふたたび、
しかも漸次にではなく不意に、我に復る。忽然として、見慣れた周囲が、世界が、ふたたびそこに在る。
自分が抜けだした世界へ、ふたたび投げ返された自分を見る。自分のからだを貫き、飛んで行く
矢の中に移ってはたらきつづけるある力によって、投げ返されたのである」

ここまで来ると、弓を引き矢を放つ先は、もはや的ではなく、自分自身だということになります。
教育という仕事にあてはめると、ある意味、教育が子どもたちに対して行っている行為であるうちは、
まだまだ的をねらっているに過ぎないということができるでしょう。
もちろん、どう教えるか、どう伝えることが効果的なのか、方法論を熟考することも重要です。
しかし、教育の根本は自分自身を射抜くこと、すなわち徹底的な自己吟味自己研鑽であり、自己練磨である。
分からなかったことが分かったと体得することができて、初めて人にものを教えることができる。
もともと成績がよく、得意な科目だったからその教科の教諭になった人は、
分からない子どもの分からなさが分からない。
なぜ分からないのかと問う時、そこには自分がいないことにも気づかない。
むしろ、分からず、もがき、葛藤しながら、苦しんでようやく分かった、いやでももっと分かりたい、
そう思い続けられる人がその教科の「教師」になれるのではないでしょうか。




講座「子どもの本を読み直す」

2013-07-12 09:27:12 | 研究
 秋に2つの保育園で行う「子どもの本を読み直そう」講座の準備をしています。
 今回は、大塚勇三再話、赤羽末吉画『スーホの白い馬』を取り上げます。
 この作品は、保育所幼稚園では絵本として読みますが、
 小学校では国語の教材としても用いられています。
 その両方を読んだ方もいらっしゃれば、どちらかだけ読んだ方も、
 もしかしたら両方とも読んだことがない方もいらっしゃるかもしれません。
 だからこそ、読んでみたい、読み直してみたいのです。

 当たり前のことですが、子どもの教育は、
 幼保の現場で完結するものではありません。
 また、教育は小学校以降で考えればよいということでもありません。
 教育は本来幼保と小学校、さらには中学高校と一本筋の通ったものです。
 ただ、子どもの発達段階、学ぶ時期があるため、何か違うような感じがするだけなのです。
 
 本来は、それぞれ現場の教員は、自分のしている保育教育活動が
 子どもの将来にどのような影響を与え、今後どう生かしてほしいのかを
 考えるながら行うべきであり、教員全員がそのことを意識して教育しなければ
 学校間の連携など不可能です。

 しかし、それぞれの現場教員は日常の業務に忙殺され
 そのことを考えるのが極めて困難であるというのが現状でしょう。
 今回の講座を通して、保育者教育者の皆様に少しでもそのことを考える時間を
 提供できたらと考えています。
 
 
 

こぶた探訪記

2013-01-29 22:20:37 | 研究
 本日の朝日新聞文化欄に土肥あき子氏の「こぶた探訪記」
 に関する記事が掲載されました。
 実は昨日、勤務する大学に朝日新聞文化部の方から氏名掲載の可否に
 ついての連絡がありました。
 以前、土肥氏から氏名掲載についてすでに了解していましたので、
 今回も「問題ありません」とお答えした次第です。

 大学院時代以来20年間、細々とではありますが中村草田男の研究を
 続けてきました。
 そのことが、この度の探訪記に微力ではありますが、
 ほんの少しはお役に立てたのではないかと思います。
 研究を勧めてくださった南原実先生、
 指導してくださった故坂西八郎先生に
 この場を借りて改めて心より御礼申し上げます。