お城でグルメ!

ドイツの古城ホテルでグルメな食事を。

山形旅行

2023年04月28日 | 旅行

2016年の秋に一時帰国したときに、今まで行ったことがない山形県を旅しました。

まず行ったのは、6世紀の終わりごろから山伏の修験の山として知られている羽黒山です。樹齢300 – 600年の老杉が生い茂るなかに、2445の石段から成る参道が続いています。

  

参道と途中の祠 ・ 社殿の前の鐘つき堂

山頂には立派な神社があり、その前に重厚なかやぶきの鐘つき堂(仏教)が建っているのには驚きました。現在は神社として機能していますが、明治に入って神仏分離がなされるまで神仏習合だった名残だそうです。なるほど、参道にはたくさんの神社や祠がありますが、国宝の五重の塔(仏教)が見事です。参道途中の茶屋で飲食すると石段を踏破した認定証が授与されるのは御愛嬌ですね。

次に行ったのは立石寺(通称: 山寺)。山の斜面にへばりついている、松尾芭蕉があの有名な句を読んだ寺です。

「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」 

 

立石寺の境内の一角 

1926年、歌人の斉藤茂吉がこの句に出てくる蝉についてアブラゼミであると断定したことによって、蝉の種類についての文学論争が起こったそうです。茂吉はその後実地調査などの結果をもとに誤りを認めて、ニイニイゼミであったと結論付けました。ちなみに芭蕉が山寺を訪れた7月上旬という時期、山形に出る可能性のある蝉としては、エゾハルゼミ、ニイニイゼミ、ヒグラシ、アブラゼミがいるとのことです。

芭蕉の句に関して、ウソかホントか分からない話があります。

山寺でガイドからこの句のことを聞いた観光客、

「蝉の声はどの岩にしみ入ったんですか?」

ガイドさん、少しも動揺せず、右手にある大きな岩を指差して、

「この岩です。この岩にしみ入りました。」

天童温泉にも行きました。この町は温泉よりも将棋の駒の製造で有名です。日本で使われる駒の90パーセント以上を作っているそうです。天童駅舎の中にある将棋資料館は必見です。桜の時期に行われる人間将棋を見てみたいと思いました。

  

山頂の公園にある将棋の駒の碑 ・ 人間将棋の模型 

温泉がある地域は狭くて静かで、普通の温泉街の賑わいはまったくありません。食事は、まぁ、普通の温泉宿の食事らしく作り置きの料理がほとんどで、暖かいものは少しだけ。まずくはないけれど、特に感激もしませんでした。

  

夕食 ・ 朝食

私は旅館に泊まることに慣れていないからか、いつ女中さん(死語かな? 差別語かな?)が部屋に入ってくるかわからない状態では落ち着かずに、くつろげませんでした。しかしながら、旅館での宿泊を日本旅行のアトラクションとして楽しむ外国人には良いかもしれません。

羽黒山と山寺には外国人の観光客が少なからず来ているようです。深い日本の心を感じてくれればいいですね。

 

〔2016年11月〕〔2023年4月 加筆・修正〕

 

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リュデルスブルク宮殿

2023年04月23日 | 旅行

昔塩の生産で栄えたハンザ都市リュ-ネブルクのすぐ近くにある城館です。ハノーファーの自宅から2時間弱で行けます。

  

リュデルスブルク宮殿 (正面 と 裏側) 

考古学的には西暦800年頃からこの地に人が住んでいたようですが、リュデルスブルク村と宮殿を含む大農場が古文書に現れるのは13世紀の前半だそうです。農場の所有者は何度も代わり、20世紀の中頃まである家族が住んでいました。現在の宮殿がどのように建てられたのかは、第2次世界大戦の時に古文書保管所が破壊されてしまったのでよく分からないとのことです。住んでいた家族が引っ越した後15年間は全寮制の学校として使われましたが、その後は使用されないままになっていました。1980年代の初めになってやっと建物の腐朽を防ぐ為に大規模な復旧作業が行われ、宮殿と他の2棟の建物はゴルフ客のための中期滞在用簡易ホテルになったのです。同年代の終わりごろからゴルフコースと建物群はしだいに拡充されていきました。こんにちのクラブハウスは昔の豚小屋ですし、納屋は改装されて客室の棟になりました。どちらも21世紀初頭のことです。その後家畜小屋を改装したり牧羊場に新築したりして、現在では72の客室とスイートルームが9棟の建物に分散しています。このゴルフホテルは、サウナ、蒸し風呂、マッサージ、ビューティーサロンなどを備えたリラクゼーション設備も整っています。

全部で十数棟の建物群からなる昔の大農場ですが、生け垣や樹木の整備がすっきりしていて良い感じです。ほとんどが年配のゴルフ客で、連泊や長期滞在が多いようです。

  

敷地の一部 ・ ゴルフのクラブハウス

私の部屋は残念ながら城館ではなく、昔納屋だった建物にあります。それも最上階の重苦しい屋根裏部屋です。結構広いのですが、窓が小さくて部屋の真ん中に柱が2本あります。カテゴリーが „スタンダード“ なので、たぶん一番安い部屋なのでしょう。わりと高級ホテルのようで、生地の良いバスローヴと使い捨てのスリッパ、それに、やわらかい厚みのあるバスタオルが用意されています。そしてアメニティー・グッズは有機製品です。

 

私の部屋

昼食をクラブハウスのテラスでとりました。ちょうど旬のアンズタケ(杏茸)が入ったリゾットです。ホタテ貝やトマトなども入っています。クリーム味は胃に重いのであまり好きではないのですが、それなりに美味しいし、ていねいに作っているのがわかる料理でした。

  

クラブハウスのテラス ・ リゾット

このホテルにはクラブハウスの他に、イタリア料理とドイツ料理のレストランがあるのですが、夕食はファルケンシュタイン(鷹の石)というドイツレストランにしました。

  

レストラン ・ この他に黒パンが一つ

まず、まだ暖かい焼きたてのパンとバターとニンニクがたっぷり入ったクリームが出てきました。ニンニククリームが旨い。

前述のように、このホテルは連泊客が多いからでしょう。3品の日替わり定食があります。

前菜はメロンとパルマ産ハムで、トマトとルッコラサラダが添えてあり、バルサミコが少々かかっています。盛り付けが芸術的で見た目はいいのですが、いぶしたハムが少し塩辛いのが残念でした。

  

前菜 ・ メインデッシュ

次に出てきたのはフライパンで焼いた3種類の魚です。魚の種類はわかりません。少し多めの油でたくさんのネギを炒め、その時に出た汁をソースにしています。魚の味が薄かったのですが、塩と胡椒でまあまあの味になりました。メインデッシュのなかではホクホクのジャガイモが一番美味しいと思いました。

デザートはマスカルポーネ・チーズで、ブルーベリーとイチゴとミントの葉をのせています。甘味は少ないのですが、チーズの脂肪分が非常に高そうなので少し残しました。医者にトリグリセリドの値が高いと言われているので、脂肪分には要注意です。

 

デザート

朝食もファルケンシュタインで食べました。パンをはじめ各食品の種類が多く、結構豪華なビュッフェです。満足のいく朝食がとれました。

  

ビュッフェの一部 ・ 私の朝食

このホテルで感じたのは、スタッフが男性も女性もみんな明るく愛想が良く、目が合うとすぐに声をかけることです。さらに動きが軽やかなのはスポーツ関係のホテルだからでしょうか。

名実ともにゴルフのためのホテルで、ゴルフトレーナーが3人常駐していてレッスンを受けられます。週末の土日でレッスン計10時間のプログラムなどがあるようです。もし将来ゴルフを始めたくなったら1週間ぐらい滞在してゴルフ三昧もいいかな、と思ってしまいました。

 

ゴルフの練習風景

 

〔2016年9月〕〔2023年4月 加筆・修正〕

 

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コルムベルク城塞

2023年04月20日 | 旅行

アウトバーン7号線をヴュルツブルクの少し南で降りて田舎道を1時間ほど走ると、小高い山の頂上に見えてきました。コルムベルク城塞です。

 

コルムベルク城塞

この城塞の歴史は13世紀までさかのぼります。何回か個人所有者が代わったあと、18世紀の末にプロイセン王国の管理下に置かれ、19世紀にはバイエルン王国の役所が置かれました。20世紀の前半には、在日ドイツ大使が所有したこともあるようです。第二次世界大戦の時アメリカ軍に攻撃されましたが被害はたいしたことはなく、そのおかげで今でもオリジナルの城塞の雰囲気が保たれています。終戦後、1964年に城を購入した地元の家族がレストランを併設したホテルに改装して現在まで営業を続けています。人気のある城塞ホテルで、セミナーや学会の他、個人的なお祝いパーティーにも使われるそうです。なるほど、山の上にしてはスペースが多く、駐車場も比較的たくさんあるのは催し物に好都合です。高い位置にあるので、周りの村々や森や耕地を見渡せる良い景色が楽しめます。

  

城がある村 ・ 〈天守閣〉への登城道

いろんな古いものがごちゃごちゃ置いてある薄暗いロビーには、民族衣装を身に着けたつっけんどんな女性がいるフロントがあります。建物に入ってすぐ感じたのですが、久しぶりに古城の雰囲気ムンムンのホテルです。内部は迷路のようで古い木の階段があり、廊下のあちこちに古い家具を置いてあります。城内に礼拝堂や図書館もあるのです。客室は増築した部分にあって、ツインの部屋にしてはだいぶ狭いのですが、私は一人なので何とかなりました。

  

ロビーの一角 1 & 2 

  

迷路のような階段部分 ・ 広い廊下

  

礼拝堂 ・ 図書館

 

客室がある棟

さて夕食です。中庭のテラスでも食べられますが、少々暗いけれど古城的雰囲気が色濃く出たレストランにしました。バイエルン地方の民族衣装を着た8頭身のかわいい、そして応対も丁寧な女の子の給仕がいます。

 

レストラン

飲み物は私の定番のノンアルコール・ビールです。

オードブルは付近の山で生きる野獣で作った前菜の盛り合わせです。わさびクリームをつけて食べます。焼きたてのバゲットが付いているようですが、多すぎるといけないのでお断りしました。全部で4種の野生動物を使って作ったサラミやハムの類です。肉が少しずつ違うのはわかりますが、どれが何の動物かはわかりません。〈8頭身〉に聞いても、「鹿やイノシシなど森の動物です。」というだけです。サーヴィススタッフとしては少し勉強が足りませんが、まぁいいか。かわいいから許す。 全部それなりに美味しいのですが、脂っこいので多くは食べられない感じがします。野菜サラダが上に置かれていますが、それにかかったイチゴソースが旨いのです。

 

前菜

主菜は〈城主の焼き串〉です。何かというと、ミニチュアの剣に刺して焼いた牛肉、豚肉、ベーコン、そしてタマネギです。ソースは肉汁ソースで胡椒をたくさんふっています。味は、肉を普通に焼けばこうなるであろう、といったごく普通の味ですね。付け合わせは焼きトマトとクリームがのったパン一切れ。そして生野菜が少しです。マッシュポテトを円盤状にして揚げたポテトパンケーキは、表面がパリパリで食感が大へんに良いのです。〈8頭身〉が頻繁に来て、「万事オーケーですか。」と聞いてくれます。

 

主菜

最後は、いたって普通のエスプレッソで食事を終えました。

そして朝食は建て増ししたガラス張りの部屋でとりましたが、明るくて雰囲気が非常に良く、ゆったりとした気分で楽しめました。朝食の内容は普通でしたね。

   

朝食部屋 ・ 私の朝食

コルムベルク城塞は古城としては特筆に値するほど素晴らしいのですが、食事に関しては可もなく不可もなく、ごくごく普通です。ヨーロッパの歴史に興味があり、古城めぐりが趣味の人にお勧めです。 

 

〔2016年9月〕〔2023年4月 加筆・修正〕

  

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マウテルンドルフ城塞 と モースハム城館

2023年04月17日 | 旅行

オーストリアのルンガウ地方にはここかしこに古城がありますが、そのうちのふたつがマウテルンドルフ城塞とモースハム城館です。ザンクト・ミヒャエルにいる間に遠足に行きました。

マウテルンドルフ城塞

この13世紀に建造された城塞の中を当時は道路が通っていて、そこを通る人から通行料を徴収していました。15世紀には拡張工事が行われ、こんにちの姿になりました。何人かのカトリック司教の夏の居城にもなりましたが、19世紀初めの教会財産没収により、国の所有となりました。が、その後、住む人が居なくて荒廃して行くにまかせていました。何回か所有者が代わった後、19世紀の末頃にある医師が購入して昔の姿に修復したそうです。そして20世紀の中頃オーストリア共和国が手に入れて、そのすぐ後にザルツブルク州の所有になり、大々的な改装が施されました。2008にはメルヘン映画〈眠り姫〉の舞台になったそうです。こんにちオーディオガイドを手にしながら内部を見学できるのですが、この地方の産業や人々の生活がテーマの博物館やテラスのあるレストランがあります。その他、時々コンサートや展覧会などの催し物が開かれているそうです。

 

城塞の遠撮

  

登城道 ・ 城への入り口(料金所)

そして、マウテルンドルフ城塞から比較的険しい遊歩道を歩いてモースハム城館へと向かったのですが、途中のベンチで妻の手作りの弁当を食べました。主食は梅カツオや塩コンブや大根葉の漬物が入ったおにぎりです。おかずはソーセージ、キクラゲ、糸こんにゃく、パプリカ、大根なます、そして鶏肉。広々とした草原で草を食む牛たちを見ながら、美味しくいただきました。

 

弁当

モースハム城館

古文書にモースハム城館の名が初めて現れるのは12世紀の末です。そして16世紀の後半まで常に拡張されていきました。この城館は18世紀の末ごろまで刑事裁判の場でした。例えば1543年から1762年までの200年余りの間に、証明できるだけで66の死刑判決が出たそうです。その後城館は使用されず、だんだんと腐朽崩壊していきました。19世紀の後半に某民間人が城館を購入して、今でもその家族の所有です。しかしながら、ガイドに案内される形で見学が可能です。城内には豊富な美術品の他に、魔女裁判が行われた時代の拷問器具が展示されています。この城館もメルヘン映画の舞台になったことがあるとのことです。

  

山の中腹に建つ城館 ・ 山の中にポツンと建つ

   

登城口 ・ 中庭の一部

 

〔2016年8月〕〔2023年4月 加筆・修正〕

 

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ルンガウ の ザンクト ・ ミヒャエル

2023年04月15日 | 旅行

3週間目の滞在地は、オーストリアのザルツブルク州にあるザンクト・ミヒャエルです。世界のあちこちに同じ名前の町があるので、わざわざ〈ルンガウの〉と付けます。ここは多くの谷が合流するところで、それぞれの谷に遊べる所がたくさんあります。

 

ザンクト・ミヒャエル

行程の途中の村で昼食を食べました。

チーズ・ヌードルというのはこの地方の名物。生チーズにペパーミントなど、いろいろなハーブを混ぜ込んで、餃子よりかなり厚めの皮で包んで茹でている料理です。それが溶かしたバターに浮かんでいます。癖のないチーズ味と薬味が混ざって結構旨いのですが、溶かしたバターがいかにも不健康なのでバターを切って食べたのです。

七面鳥入りカレーライスは、辛くはないけれどもしっかりとカレーの味がして美味しい。

このほか、野菜のミックスサラダを食しました。

 

村の中心部

  

チーズ・ヌードル ・ 七面鳥入りカレーライス

登山やトレッキングの途中、休憩で立ち寄る山小屋で食べる物の中では、パラチンケとアップル・ストゥルーデルがオーストリアでは人気です。

パラチンケは、つまりオーストリアのクレープです。昔のパラチンケはシンプルで、ジャムか砂糖をくるんで食べたのに、今回食べたのはヴァニラ・アイスクリームを巻いていて、チョコレートソースをかけて生クリームを添え、アーモンドを散らしていました。付加価値をつけて値段を上げているようです。

アップル・ストゥルーデルはアップルパイです。ヴァニラソースに囲まれています。本当は生クリームが付くのですが、それは遠慮しました。

  

パラチンケ ・ アップル・ストゥルーデル

過去に何度かオーストリアに来た時には気が付きませんでしたが、アップルの代わりにタッフェンが入ったタッフェン・ストゥルーデルという食べ物もあります。タッフェンとは、ドイツのドイツ語ではクヴァルク、日本ではカテージ・チーズ(非熟成チーズ)といいます。これはこれで結構いけますね。

 

タッフェン・ストゥルーデル

このルンガウ地方は有名ではありませんが、スキー客のためのインフラが整っているし、歩きやすいトレッキングコースが無数にあります。そのわりには観光客が少なくて気分的にのんびり出来るし、何といってもドイツ語が通じるのがいいですね。

  

ある山頂から ・ U字谷

  

人造湖とその周辺 ・ 岩山

  

道しるべ ・ 偽マッターホルン 

牛があちこちにいるのは楽しいけれども、その糞もあるので注意しなければなりません。特に弁当を食べるときは、それが視界に入らない、匂いも来ないところを探します。

 

草原でくつろぐ牛たち

 

〔2016年8月〕〔2023年4月 加筆・修正〕

  

 

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